日曜に開催される愛媛のホームゲームは、今季初の「PRIDE OF 中四国」。徳島と鳥取が抜けた一方、新たに讃岐が加わったことで、今季は岡山を含めた3クラブが中四国のJ2クラブとして互いに切磋琢磨をしていく。その初戦が、愛媛と讃岐というJ初対決のカード。同じ四国勢で隣県ということもあり、これまで愛媛と讃岐はトレーニングマッチなどで対戦することはあったが公式戦では初顔合わせ。四国のサッカーに、また新たな歴史が刻まれていくことになる。
その記念すべき一戦を前に、愛媛は前節のアウェイ札幌戦で6試合ぶりの勝利をつかんだ。ゲームの内容は悪くないものの勝てなかった札幌戦までの5試合とは対照的に、前節は守備に追われる時間も長くなった。それでも、苦しみながらも藤直也の先制点を守り抜いて勝点3を得た。ただ、その決勝点は右サイドを深くえぐり、ファーサイドの藤が飛び込んできた理想的な形の1つ。「チーム全体で取った1点だと思う」という藤の言葉通り多くの選手が関わり、連動して奪ったファインゴールだった。そして守っても、4試合ぶりの完封勝利。「苦しい状況を乗り切った。だから、連勝するにはもってこいの舞台」と西田剛は今の状況を語るが、だからこそ愛媛にとっては次も結果が重要な意味を持つ一戦。この讃岐戦で弾みをつけ、リーグ中盤戦での反撃に出たい。
一方で、愛媛とは対照的に讃岐はまだJの舞台で勝利をつかめない苦しい状況が続いてる。その中で、前節の群馬戦からはつなぐサッカーを意識し、新しい可能性を模索している。それが特効薬として直ちに結果をもたらすことはなかったが、群馬戦では多くの時間帯で讃岐が主導権を握っていた。讃岐には我那覇和樹をはじめ高橋泰、高木和正ら経験豊富な選手も多い。彼らがリードしながら、アンドレアの攻撃力など個の力を引き出していければまだまだチームのポテンシャルを引き出せるはず。その点では、かつて愛媛に在籍した持留新作も技術の高い選手で、今後の立て直しの中で鍵をにぎる選手の1人になりえるだろう。あとは、チームとして1つのきっかけをつかめば、讃岐もまたリーグ中盤戦以降で巻き返しを図れる。
しかし、愛媛としてはここでしっかりと主導権を握り、ゴールを目指す自分たちのサッカーで勝利をつかみたい。全員で守備を怠らず、奪ったマイボールを大事にすることで讃岐の狙いを出させない展開に持ち込めるか。その上で前節の藤がそうであったように、チャンスの時には積極的にゴールに向かう大胆さを持ち続けることが肝心だ。愛媛から見れば変化を加える讃岐は未知数の部分もある。だからこそ、相手に合わせるのではなく自分たちのサッカーに持ち込み、その中で今季初の連勝を勝ち取りたい。
その結果として、この初対戦でどういう結末がもたらされるのか。その積み重ねが四国の新しいダービーとしての歴史になってくるし、その中でダービーを盛り上げる要素も生まれてくるだろう。例えば今回、高橋や持留に恩返しゴールが生まれれば、それが愛媛に火をつける要素になるかもしれない。また、昨季は鳥取で讃岐に敗れてJ3への降格を味わった林堂にとってみれば、今回はその雪辱戦。「J2で一番勝たないといけない相手。どんな形でも勝ちたいし、借りを返すためにも勝利をつかみたい」と静かに闘志を燃やしているが、こうした因縁が生まれ、積み重ねられるのもダービーという戦い。全てはこれからはじまることで、まずは日曜のニンジニアスタジアムでどんな戦いが繰り広げられるのか、そのピッチに注目したい。
以上
2014.05.17 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
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