リーグ戦とヤマザキナビスコカップ予選で2週連続アイスタで対戦する清水と神戸。しかもリーグ戦は中断前最後の試合で、ナビスコカップは予選突破のカギを握る試合。特にホームで戦う清水にとっては、ここで連勝できるかどうかが、今シーズンの今後を大きく左右することになりそうだ。
ここまでの清水は、無失点での4連勝の後、ゴールデンウィーク連戦で3連敗を喫し、前節の広島戦(アウェイ)でようやく連敗を止めたが、勝てる試合を逃したという印象が強い。ただ、試合内容に関しては、「自分たちの戦い方を全員がよく理解し、組織や規律を前後半を通して保てている」(アフシンゴトビ監督)という言葉通り、疲労のたまる連戦の中でも90分間組織のバランスを維持して戦い続けるという意味で明らかな成長を見せている。
そんな中で結果を出し切れない主な原因は2つ。セットプレー絡みの失点が多いことと、長沢駿の負傷離脱後に攻撃力を回復しきれていないことだ。特に守備に関しては、ここ4試合での6失点のうち、オウンゴールが2点、セットプレー絡みが3点で(オウンゴールのうちの1点もセットプレー)、流れの中から奪われたのは1点だけ。相手に決定機を与える場面も少なく、セットプレーの失点さえ減らせれば、公式戦5試合連続した堅守は取り戻せるはずだ。
神戸もセットプレーから4得点しており、ここは試合のカギを握る部分。「新潟戦以外では流れの中から数えるぐらいしかチャンスを与えていないので、まずはセットプレーを相手に与えないために、チーム全体で前から守備していくのが大事。それでもセットプレーになった時は、増川選手や河本選手はヘディングが強いし、マルキーニョスはイヤなところに入ってくるのがうまいので、そこはしっかりと抑えたいです」(平岡康裕)といったあたりが見どころになるだろう。
ただし神戸は、ここまで25得点とリーグ1位の得点力を発揮しているチーム。最大の武器は、得点ランク1位のペドロ ジュニオール(9ゴール)と同3位のマルキーニョス(7ゴール)というブラジル人コンビで、2人でチーム得点の64%を叩き出している。「何もないところからゴールを生み出せる選手たち」とゴトビ監督が評する彼らは、相手のミスやわずかな組織の綻びを突くのもうまく、そこをどう抑えるかが清水守備陣にとっては最大のポイントになる。
「しっかりとオーガナイズを保ち、彼らにディフェンディングサードでスペースを与えないことが重要。それでも相手は一瞬のスキを狙っているので、我々は本当に90分間集中力を保ち続けなければいけない」(ゴトビ監督)という部分が基本となるが、もうひとつ非常に大事なポイントがある。ペドロ ジュニオールと対峙することになるであろう左サイドバックの吉田豊は、次のように語る。「最後は1対1の個人能力の勝負になってくる場面が必ずあると思うので、そこは絶対に負けられない。逆にそこで勝つことによってチーム全体のムードが良くなるので、自分の持ち味をしっかり出したいと思います」。センターバックの2人と右サイドバックのヤコヴィッチを含めて、今のDFラインは1対1に強い選手が揃っているので、彼らにとっては見せ場の多い試合になるはずだ。
そうして清水が神戸の攻撃を抑えることができれば、神戸はここまで16失点で上位陣の中ではもっとも失点が多いチームでもあるので、清水にチャンスはあるはずだ。今はやや攻撃が低迷しているとはいえ、「最近の試合でも決定機は何回か作れているし、自分たちが普通にやれればチャンスは必ず何回か来ると思うので、それを決めて先制点を取ることが大事だと思います」とボランチの六平光成は言う。最近の試合では、相手に先制点を取られて苦しい展開になることが続いており、とくに神戸は先制点を取られたらやっかいな相手。だからこそ清水としては、限られたチャンスを決めて先制点を奪うことが本当に重要になる。
もうひとつ、これは両チームに言えることだが、「15日間で5試合あって非常にスイッチが入った状態でしたが、それが一段落してスイッチが切れてしまうことがあります。そこから心身両面でどう回復させて、再びスイッチをしっかりと入れられるかという部分が大きなカギを握ると思います」(ゴトビ監督)という面も、連戦明けの試合で難しい要素だ。とくに清水は、過去にこういう状況でスイッチが入りきらない試合が多かったので、まずは技術・戦術以上に精神的なエネルギーの面が重要になるだろう。
もちろん、その意味ではどれだけ多くのサポーターがスタジアムに駆けつけ、選手たちのハートに火をつけてくれるかという部分も、勝敗を大きく左右する要素になるはずだ。
以上
2014.05.16 Reported by 前島芳雄
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