想定以上の結果が出ている時には、誰でも嬉しいものである。逆に、想定に結果が伴わない時は、どこまでも不安になる。その状況が、今節対戦することになる鳥栖と大宮ではないだろうか。並み居る強豪を押しのけて、第13節を終えて鳥栖は首位にいるし、大宮は下位でもがき苦しんでいる。お互いにけが人はいるものの、鳥栖は攻守のバランスが取れて結果が出ているし、大宮は守備的に臨んだ前節も浦和の攻撃力に屈してしまった。今節は、鳥栖の攻撃力に対して、大宮が守備で耐えて好機をいかに多く作ることができるのかに絞られそうだ。
鳥栖は、リーグで3番目に失点が少なく得点は4番目と、現段階では非常に攻守のバランスが取れている。その要因の一つは、2列目の好調さが挙げられる。
第9節名古屋戦(4/26@瑞穂陸)でFW豊田陽平が得点を決めたもの以外は、トップ下に入った選手が得点を決めている。金民友(第9節・第13節)、谷口博之(第9節)、水沼宏太(第10節広島戦)、早坂良太(第12節)、池田圭(第13節)である。第11節清水戦でも、MF藤田直之がペナルティエリア外から見事なミドルシュートを決めている。
これだけ多くの選手が得点を挙げているということは、攻撃がうまく機能している証だろう。しかも、DF丹羽竜平、DF安田理大と左右のサイドDFもアシストを記録している。前線だけでなく、左右からの攻撃参加も見せている。これでは、相手も守備の重点をどこに置くのか絞り難いはず。今節もこの多彩な攻撃を見せることができるのか注目しておきたい。
対する大宮は、攻撃の核となっていたFWズラタンが右ハムストリング肉離れでチームを離れている。したがって、得点を挙げるためにも前節の守備的な戦い方よりも、より攻撃的に出てくるものと予想される。鳥栖の攻撃に対し人数をかけて耐え、その中からどれだけ攻撃に移れるかにかかっている。大宮がボールを保持すれば、鳥栖は前線からプレスをかけてくるだろうから、その隙を狙って一気に攻め込みたいところ。サイドに入ると思われるMF渡邉大剛、FW富山貴光らがどれだけボールを前線に運べるかに注目しておきたい。
そして、もう一つの見所を挙げておきたい。鳥栖は多彩な攻撃を仕掛けてくるチームなのは前述通りだが、それができるのも豊田陽平が前線で身体を張っているからこそ。豊田陽平にマークが集まれば周りの選手のプレーエリアが広がるし、彼へのマークがゆるくなればあの高さと強さが生きてくる。大宮のFW長谷川悠もここ一番での決定力は持っている。この両チームのワントップの働きにも注目しておいてほしい。
サッカーの華と言われるゴール。誰が決めるのか、どのようにして決まるのかはサッカーの醍醐味でもある。しかし、それを阻止するのもサッカーで、MF高橋義希(鳥栖)は静かに語ってくれた。
「前線が好調な時ほど、後ろでバランスなど気を付けておかないといけない」。
攻守のバランスがとれてこそのサッカー。今こそ、チーム力が試される試合となりそうだ。
練習通りにボールを運べれば負けることはない。ミスがなければ失点はしない。想定通りに試合を運べないからこそ、その瞬間での判断に重要性が増す。相手がいるからこそ試合が成立し勝敗がつくわけで、そこに一喜一憂のドラマが存在する。選手たちの果敢なチャレンジに声援を送り、結果には惜しみない拍手を送りたい。観ている側ができるプレーはそこにある。サッカーは、選手とともにサポーターも戦えるスポーツなのである。
以上
2014.05.16 Reported by サカクラゲン
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