勝点3という結果は得たものの虚しさが残った。キックオフ直後から讃岐に押し込まれた群馬はかろうじて失点を避けると、前半終了間際にロビーニョが決めたPKによる虎の子の1点を決死のディフェンスで守り抜いて、3月30日以来となる8試合ぶりの勝利を挙げた。秋葉忠宏監督は「勝ったことは素晴らしいが、良かったことを見つけるのが難しいゲームだった」と渋い表情で振り返った。
群馬はクォンハンジンが3バックの中央に入った以外は前節と同じメンバー。全体のコンビネーションは上がっていたはずだったが、立ち上がりから歯車が合わずに拙攻を繰り返していく。対する讃岐はケガ明けの我那覇和樹をトップに配置する新システム4−5−1を採用。高木和正とアンドレアが2列目で流動的に動いてリズムを作り出す。群馬は、序盤から讃岐の新布陣に劣勢となり数回の決定機を許すなどロープ際まで追いつめられていく。
煮え切らないゲーム展開にしびれを切らした秋葉監督が下した決断は青木孝太の交代だった。38分、攻撃のキーマンである青木孝を躊躇なくベンチへと下げ、2年目の野崎桂太を前線に投入。ギャンブルとも言える選手交代だったが、その采配が奏功する。投入からわずか2分後の40分、坂井洋平のパスをペナルティエリアで受けた野崎がソンハンキに倒されてPKを獲得。それをロビーニョが確実に蹴り込んで先制に成功する。
1点リードで折り返した群馬だが、後半もギアは低速のままだった。讃岐の攻撃をブロックで受けてカウンターから追加点を狙うが、パスの精度が低く、周囲の押し上げも遅れた。カウンターがスピードダウンするたびにスタンドからはため息がもれ、同点もしくは逆転という最悪のシナリオすら浮かんできた。群馬にとって幸いしたのは後半アディショナルタイムに藤井航大が放ったヘディングシュートが右ポストに当たってゴールを逸れたこと。守り抜いたというよりも讃岐に助けられた群馬は、1−0のまま逃げ切りに成功した。
讃岐にとっては、悔しいゲームとなった。前半は4バックの新システムが機能し3度の決定機を作り出した。だがシュート精度が甘く、ゴールを奪うことができなかった。そしてクリアミスからカウンターを受けるとPKを献上。結果的にはその1点に泣いた。ポゼッションスタイルの新布陣を採用した北野誠監督は「これだけ負けているのでオレのやりたいサッカーをやろうと思った。選手もそれを望んでいる」と説明。讃岐は、新たなサッカーでJ初勝利を目指す。
群馬は、負けられない一戦で勝利を収めた。勝点3は評価できるが、最下位讃岐だったから勝てたという印象は否めない。上位陣相手に同じ戦いをしたら、間違いなく痛い目に合う。17位群馬がここから巻き返しを図るためには、勝利に安堵することなくチーム力アップを図るしかない。今ゲームは主要メディア3社による集客試合だったにもかかわらず入場者数は今節J2最低の2929人(12日札幌戦は除く)。チーム成績だけではなく、この入場者数を危機と感じなければクラブの成長はない。愛されるクラブになるためにはピッチ内外でのさらなる努力が必要だ。
以上
2014.05.12 Reported by 伊藤寿学
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