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【J2:第13節 山形 vs 千葉】レポート:比嘉のキャノン弾で山形がドローに持ち込む!千葉は4試合ぶりに先制した試合で勝ちきれず。(14.05.12)

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山口智からサイドに付けられたボールを中村太亮が受ける。猛然と寄せる秋葉勝の到着前に入れたアーリークロスには、右サイドから入り込んだ田中佑昌がダイブした。クロスのスピードを加速させたような鋭いヘディングシュートは左にそれたが、ディフェンスラインからパス2本でシュートに至った開始6分のプレーが、この試合の千葉の戦いを象徴していた。

「自分たちからバランスを崩してというふうには思わなかった」と山口智。5連戦の最終戦にしてアウェイ連戦、加えてこの日に合わせるようにピンポイントで気温が上がった13時キックオフのゲームという条件もあるが、それ以上に3試合連続で2点先取されている現状をなんとかしたいとの思いがもっとも顕著に表れていたのが両サイドバックのポジショニング。山形の右サイドでプレーしていた中島裕希は、対面する千葉のストロングポイント、中村の背後を狙うプランを懐にして試合に臨んでいたが、「お互い探り合って、全然前に出て来なかったし、こっちもアイツが出てこないからスペースが全然なくて、お互い探り合っていたという感じでした」と述懐する。

「守備についてはラインのコントロールやセカンドボールを拾う意識は最近のゲームの中では割といい方だったかなと思います」と鈴木淳監督。相手の長所を消すというより、自分たちの欠点を消す千葉の試合運びは、守備での落ち着きをもたらしていた。20分に山形のスローインから中島にポスト強襲のシュートを許す場面はあったが、試合全体を通して相手が攻めるより早くブロックを準備できていた。その低い重心から、サイドチェンジからの中村のクロスや山口、ボランチの兵働昭弘、さらにはトップ下から下りてきた大塚翔平から質の高いフィードが前線に送られる場面はあったが、それは散発的。「もっとシュートで終わるシーンを増やしたかったですけど、前に人数が少なかったり、そこまで行く回数が少なかった」(大塚)、「結構相手がボールを蹴ってくる展開で同じように自分たちも慌ててつなげずにという状況があった」(佐藤健太郎)と、攻撃の長所と引き換えにして得られた安定感でもあった。

ロングボールを効果的に使う千葉に対し、山形もシンプルに長いボールを多めに組み立てたが、序盤はロングボールを入れた際、前線が追う距離ほど後ろが押し上がらず、セカンドも拾えない。最終ラインと中盤をぴったり閉じる千葉とは対照的に、間延びした状態で相手の攻撃を受けるバランスの悪い展開が続いた。20分ほどで守備の対応に慣れ、30分ほどで4枚-4枚の2ラインがコンパクトに並んで中盤のスペースを自由に使われる機会は減少。その間、中島の強烈なシュートがポストを直撃し、石川のオーバーラップから預けたディエゴが中央の川西翔太にクロスを上げ、イ ジュヨンの縦のフィードを、オフサイドポジションのディエゴと入れ替わるように川西が飛び出すなど、徐々に攻撃の糸口をつかみかけていた。

しかし、この試合では山形が攻撃するより早く千葉の守備が整っている状態。想定よりもディフェンシブに構える相手ブロックを揺さぶることができなかったが、ここでもう一段の変化をもたらそうとしていたのがボランチの松岡亮輔だった。37分、大岩一貴にプレッシャーをかける川西と連動し、バックパスが渡ったGK岡本昌弘に猛然と襲いかかりフィードを体に当てると、それまで分が悪かった敵陣でのセカンドボール争いでも積極的に前に出て拾った。「結局はそういうことで、一人一人がボールホルダーに対して行けてないし、距離感も悪かった。誰かが息を切らしてしんどい思いをしてでも、あの時間帯はボールに行かないと流れが変わらないなあと思ったので、自分が行きました」。前半のうちに得点を挙げることはなかったが、ハーフタイムを待たずにピッチ内で状況を修正しようとする試みが見られた。

後半は少しばかりリフレッシュしたことで、大塚の強烈なミドルシュートや、左スペースに入り込んでバウンドに合わせてはなったディエゴのシュートなど、互いに決定的なシーンをつくったが、時間とともに双方の足は徐々に重さを増していた。互いにガードを意識しながら力なくジャブを打ち合う時間帯に、最初のカードとして投入されたのが千葉・町田也真人だった。田中と交代で入るとトップ下でプレーし、「間でボールを受けてサイドへ散らしたりとか、そこからコンビネーションをやるプレーが得意なので、そういうプレーを期待して投入しました」(鈴木監督)。鋭い出足でボールに反応し、マイボールを増やした町田の成果は、投入から3分後にひとつの形となる。

相手と交錯しながらサイドへ展開した大岩のボールを受け、攻撃で目立たなかった中村が久しぶりに高い位置に顔を出したのは73分。ハーフウェイラインを越える位置までドリブルで運ぶと、バイタルエリアの町田に預けて自らはペナルティーエリアに潜り込んだ。ボールは左サイドの大塚に預けられたが、大塚はすぐに町田へ戻す。ここで瞬間的に局面が2対1になっていた。ペナルティーエリア深くまでフリーでランニングする大塚に町田からスルーパスが送られ、マイナスのクロスにダイレクトで合わせたのは中村。古巣相手にゴールを奪った。山形は町田のスルーパス直前に2対1に持ち込まれたのが失点の発端となった。ゴール前に残っていた中村は山田拓巳が見ていたが、フリーの大塚に対応するためにマークを放し、スライドして中村に対応した松岡はシュートに間に合わなかった。

ビハインドとなった山形は、山崎雅人、萬代宏樹と攻撃の選手を次々に投入。2トップ、中盤ダイヤモンドの追い上げパターンをここでも踏襲したが、相手ゴールに迫るシーンもあったが、逆に焦りからのミスでピンチを迎えるシーンもあり、効果的に追い詰めることができずにいた。山形最後のカードは84分、川西に代えて比嘉厚平。その比嘉が2分後、目の覚めるようなミドルシュートで同点弾を叩き込んだ。右からのスローインが左サイドバックの石川竜也に渡り、縦のスペースに流し込むと、縦への突破をにおわせて走り込んだ比嘉は右足アウトでボールを止めると中央へカットイン。ほかの選手がゴール前になだれ込んだことで中央にぽっかり空いたスペースのなかで、思いきり右足を振り抜いた。「シュートは素晴らしかったですけど、あそこでカットインされて中に入られること自体が問題だと思います。もっとサイドに持っていって、センタリング対応でもいいんじゃないか」と山口智が話す千葉にとっては悔やまれる失点となった。

その後、コーナーキックからファーサイドでフリーになった西河翔吾がヘディングを合わせきれず、その2分後には山形が自陣でのクリアミスを続けたところで途中出場の田代真一がシュートを枠に飛ばすなど、互いに決定機を迎えた試合は、長い笛と同時に山形のディフェンダー3人が倒れ込む印象的なシーンとともに幕を閉じた。

両チームの攻撃的なスタイルのぶつかり合いを期待していた向きには、やや魅力に欠ける展開に映ったかもしれないが、統率の中で持ち味を出した結果の1-1。試合としての見ごたえは十分にあった。ただし、それは総論。各論としては、勝点3が欲しい試合で勝点1に終わった悔しさが、追いついたほうにも追いつかれたほうにも残る。7月30日のフクアリで迎える再戦を上位同士の対戦にするには、越えなければならないハードルが数多くある。

以上

2014.05.12 Reported by 佐藤円
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