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【J1:第13節 柏 vs 新潟】レポート:プロデビューを飾った小林祐介の躍動と鈴木大輔の一撃で、柏がスピーディーな激戦を制する。敗れた新潟は11試合ぶりの黒星(14.05.11)

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立ち上がり、主導権を握ったのは新潟である。
頻繁に縦と横の動きを繰り返す川又堅碁と岡本英也、サイドに張るだけではなくインサイドにも入る成岡翔と田中亜土夢、この攻撃の4枚に対する柏の警戒が強すぎたため、自ずとレオ シルバと小林裕紀が空き、フリーの状態でボールを持つことができたボランチが起点となって攻撃を組み立てていく。13分と18分に川又が柏守備陣の裏を突いた決定機は、ともにボランチの起点だった。

押し込まれていた柏も、25分過ぎになると茨田陽生と小林祐介が新潟のダブルボランチへの寄せの意識を強め、出どころを抑えてそれまでの新潟ペースを押し返すようになった。中でもこの試合がデビュー戦となった小林祐介は、物怖じすることなくレオ シルバに真っ向から挑み、ボールを奪い切れないとしても相手に自由を与えない。逆に自分がボールを持った時には簡単に奪われないなど、弱冠19歳の若者は決壊の原因になるどころか、相手に少なからず驚きを与えたことだろう。
「祐介がすごく良いプレーをしてくれて、後ろの選手も勇気をもらった。引っ張られた部分はあった」(鈴木大輔)。「自分の苦手な守備の部分で祐介が前に行って潰してくれたので助けられた」(茨田)。「祐介が頑張って身体を張っていたのはチーム勇気を与えるし、守備にも勢いを与えた」(菅野孝憲)。3、4年前、工藤壮人、酒井宏樹、茨田がそうだったように、小林の躍動はケガ人多発で主力選手の多くを欠く柏に活力をもたらした。
一方の新潟も、68分に成岡に代わって出場したのが4月に19歳になったばかりの小泉慶だ。「スピーディーでタフなゲームに、慶だったらすんなり入れるだろうと思った」と柳下正明監督をして言わしめるルーキーが、このハイテンションの試合で交代のファーストチョイスとして起用されたのは新潟としても頼もしい限りである。

柏も新潟も守備力が高い。双方とも遅攻では相手の堅い守備ブロックを攻略できず、ゆえに試合はボールを奪った後のスピーディーなカウンター勝負という様相になった。そしてそのカウンターを食い止めるためにお互いが帰陣を素早くするため、目まぐるしく速い展開が続く。シュートまで持ち込むシーンは少なかったが、それは単調な試合内容によるものではなく、激しい球際の競り合いや集中力の高さが相手の攻撃をそこまで至らせなかったからであって、試合全体の展開としてはスリリングだった。
そして、こうした拮抗した試合に決着をつけるとすれば、やはりセットプレー。柏は73分、田中順也のフリーキックがポストに当たり、その跳ね返りに反応した鈴木大輔が詰めてようやく均衡を破った。「古巣だったし、自分がやってやろうという気持ちはものすごく強かった」(鈴木)という渾身の一撃である。

また、工藤と川又がノーゴールに終わったことで、FIFAワールドカップに出場する日本代表入りへの「アピール失敗」と捉えられる傾向にあるが、そうは思わない。もちろん2人ともストライカー、ゴールを決めることが最大の仕事ではあるが、日本代表に選ばれたいという個人的な感情を押し通すあまり、自分のゴールだけを求めてリズムを壊すようなことは一切なく、勝利を最優先に考えて90分間献身的なプレーを続けた。いかなる状況でもチームのためにプレーができる、それを実践した彼らは、むしろアピールに成功したとさえ思っている。

どちらに勝敗が転がってもおかしくはない試合は、紙一重の差で柏が制した。スピーディーでハイテンション。それぞれの局面で見せた球際の攻防は激しく、タフな戦いの中にも悪質なファウルのないクリーンなゲーム。そこに未来を担う若手の躍動あり、日本代表候補選手の献身的な姿勢ありと見どころも多く、両者が貪欲に勝利を目指して90分間繰り広げたファイトは、この連戦の最後を締めくくるに相応しく、素晴らしい好ゲームだった。

以上

2014.05.11 Reported by 鈴木潤
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