徳島は強い執念と気迫を持って戦った。中断期間前の最後のホームゲームで何としても結果を出そうと、選手たちは体を張ってボールに向かい、自分たちのすべき戦いを非常にアグレッシブに徹底したと言えるだろう。
目指したJ1ホーム初勝利にまでは届かなかったものの、間違いなく今節のゲームはスタジアムへ詰めかけた人たちの気持ちも揺さぶる勇敢な戦いであった。
事実、徳島は立ち上がりすぐ、まず先にチャンスを作ってみせる。右サイド奥をえぐった小島秀仁が狙い澄ましたセンタリングを上げると、中央で待ち構えた高崎寛之がそれに飛び込みヘディングシュート。見事な形をいきなり作り出した。
そしてその後は守備にまわる時間が増えるも、受けるような消極性は一切見られない。両サイドを激しく攻め立てられ、中央で変化を付けられても、チームはボールへ食らいつく積極的かつ粘り強い姿勢で対応。ひとりひとりが最後まで体を寄せ、2人で厳しく挟み込むタイトなチェックも見せて危ない場面を凌いでいった。また、GK長谷川徹が感じさせた安定感も徳島の守りに勇気を与えていたと言えよう。前記のような対応をしていてもF東京の攻撃力の強さからヒヤリとするフィニッシュを何本か放たれたが、それらを背番号31が落ち着いて処理したことにより、チームはそうしたいい姿勢をどんどん強めていけた。
さらに迎えた後半も、積極的で粘り強い徳島の守備は全く変わらない。それどころか選手たちの集中力は前半にも増して高いものに。特にセンターバックの福元洋平と橋内優也は的確な位置取りでシュートコースに立ちふさがり、何度もそれをブロックして見せた。
それともうひとつ、前半から後半に至っても、前節・G大阪戦で露呈した問題の改善を、チームはかなり出来ていたと言っていい。実際、F東京がバイタルエリア付近で何度もダイレクトを絡めた細かなパスワークを仕掛けてきても、選手たちはしっかり人へ付こうとしていたし、何度か抜け出されそうになった時には福元や橋内が素早いカバーでそれを潰せていた。
すると、そうした素晴らしい守備が次第に果敢な攻めにも繋がっていく。後半から左サイドバックに投入されたアレックスが徐々に深いところまで進出し、濱田武らと絡んでチャンスメイクすれば、60分には高崎が自らのチェックによって徳永悠平からボールを奪い、そのまま迫力あるドリブルを開始。F東京のペナルティエリア付近まで一気に運んでシュートにまで持ち込むという個の勇ましいプレーでも得点を狙っていった。繰り返し入れたクロスがピタリとまでは合わなかったこと、前記の高崎のドリブルシュートも含めフィニッシュがなかなか枠を捉えられなかったことは今後への課題となったが、それでも徳島はこれまでと違う前線の活性を後半存分に披露していたと評価できよう。
こうして最後まで緩まないアグレッシブさと気持ちを貫き、ホームでの初勝点を手にした徳島。その内容には選手たち自身もある程度の納得を得られたようで、橋内も「GW(の連戦)だけで見ると(失点)ゼロの試合も2回出来ているので、まずはゼロ失点の試合を増やし、そのうえで少ないチャンスをものにするという形で勝点を取っていければと思います」とコメント。早速次への意欲を覗かせていた。
いずれにしても、このような戦いをすれば徳島も勝点を積み上げていける可能性は十分ある。選手たちにはこの日の90分をぜひ今後へ繫げてもらいたい。
さて、対しF東京に関してだが、攻撃連携の質はやはりとても高いレベルにあった。サイドを攻略するグループ連動は目を見張るほどスムーズなものであったし、密集した中央エリアを突破する細かなパスワークはスタジアムのため息を誘うほどだったと言えるだろう。しかしながら、22本のシュート、15本のCKを記録しながら無得点に終わったことについては、当然猛省が求められるところ。今後上位へ浮上していくためには、前節やこの一戦で見せた上手さに加え、強引に勝負を押し切ってしまえるだけの強さも身につける必要があろう。
「立ち止まるわけにはいかないので、練習から前を向いてやっていくしかない」とは渡邉千真の言葉。今は確かにひとつの壁に直面しているが、選手たちはこれを乗り越えればきっともうワンランク上の集団になれるはず。彼らのこれからには要注目だ。
以上
2014.05.11 Reported by 松下英樹
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