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【J2:第13節 山形 vs 千葉】プレビュー:もどかしい状況が続く山形と千葉が対戦! 反撃の狼煙はここから上がる。(14.05.11)

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4勝4分け4敗の勝点16で並んでいるのは11位から16位までの6クラブ。独走状態の湘南を除けば今シーズンもJ2は流動的で、2位までの勝点10差、5〜7位までの4差は、残り30試合を考えれば深刻なものではない。ただし、J2では戦力的に整った両クラブ、山形と千葉にとっては、いつまでもここにとどまるわけにいかないポジションでもある。

開幕から連勝はないが、連敗も連分けもなく4勝4分け4敗に落ち着いている山形。今季初の連勝へ向けた4度目の挑戦だった前節・群馬戦は、ディエゴのゴールで1-0とリードした後半アディショナルタイムに追いつかれてのドロー。敵陣深くから始まった相手のロングスローが失点の出発点だったが、一度は奪ったボールを再度失ったこと、そこから広いスペースの逆サイドに展開されたこと、センターバックがゴールを離れて相手選手を追い自陣ゴール前が手薄だったこと、サイドの1対1で競り負けたことなど、いくつもあったポイントで修正・阻止できなかった。それ以前に、どこかのタイミングで追加点が取れていればとも悔やまれるが、この試合のシュート数は9対18と劣勢だった。連戦で思うように体が動かないなか、後半はマイボールの時間をつくることもままならず懸命にこらえている状態。「むしろ、ディエゴのあのゴールがなかったら…と思うとぞっとする」と語る選手もいた。

ここまでスコアに関わらずシュート数で相手を圧倒する戦いを続けてきたが、開幕からの複数得点は3試合のみ。やはり終了間際に追いつかれた第7節・京都戦が複数得点を取った最新の試合となっている。高い位置からプレッシャーをかけるのをスタイルとし、いわゆる「堅守速攻」、縦に速い長距離カウンターを得意としていない。自陣でプレッシャーを受けると前線で収まらずに守備の時間が続く。ここ数試合は時間をつくって全体を押し上げ、クロスの際にゴール前の人数も増えつつあるが、敵陣まで運んでもワンタッチのパスが少なく、相手ブロックを崩しきれずにいるケースも多い。

シュート数ほど攻撃での成果や充実感を得られず、勝ちきれない印象の試合が多い一方で、上位との差がそれほど開いていない要因は、ブロックを構えて堅く守れるスタイルが機能していることもある。終了間際などに失点しているイメージは強いが、ここまでの12試合で12失点は悪い数字ではない。シーズン前から掲げている「J2優勝」や自動昇格圏はまだ先にあるが、この一戦に勝利すれば、開幕から続いてきた二桁順位から一桁順位に入る可能性がある。ブレークスルーとしては規模が小さいかもしれないが、それはのちに得られる大きな目標達成への確実な一歩でもある。

連敗がなく、2連勝1回、2連分け1回の千葉も、選手個々の能力を勝点に結びつける難しさの直中にある。勝点16で並ぶ6クラブのうち最下位の16位に位置するのは、第7節・湘南戦で0-6という屈辱的な大敗を喫し、得失点差-5となっているためだ。その後も富山、讃岐といった20位台のクラブに先制しながら追いつかれるドローに終わり、続く磐田戦以降の3試合はいずれも2点の先行を許す苦しい試合運びを強いられている。このうち、前々節・群馬戦は3得点で逆転勝利、前節・岐阜戦も追いつくなど、ここというときの攻撃精度は持ち合わせているが、失点前に迎えたいくつかの決定機では決めきれず、「追いつけたのは良かったけど、そもそも0−2になること自体が良くない」(谷澤達也)と試合運びに課題を残している。

高いポゼッションの技術でボールを保持しながら攻めるスタイルは不変だが、今シーズンはより鋭く相手ゴール前に切り込む有効な武器を手に入れている。山形から獲得した左サイドバック・中村太亮。ドリブルでの仕掛けと高速クロス、セットプレーは、攻撃の強力な得点源としてチーム全体に認識され、中村が個で勝負できる場面が数多く演出されている。群馬戦ではフリーキッックから2アシストを記録し、岐阜戦ではペナルティーエリアで仕掛け、ケンペスの同点PKを獲得している。得点に直結するもうひとつの武器が、今シーズンはボランチに定着している兵働昭弘からのフィードだ。縦にラインを突破する森本貴幸へ、ダイアゴナルに裏を突く田中佑昌へ、カウンターでスペースへ飛び出す大塚翔平へ、味方の動き出しを見逃さず質の高いボールが供給されている。ここ2試合でケンペスがゴールで結果を残していることも大きい。

その一方で、守備には不安を抱えている。攻守の切り換えやセカンドボール争いで後手に回り、1対1やセットプレーのマークでも相手をつかまえきれないシーンも多い。両サイドバックを高く上げるスタイルは、攻撃で効果を上げるのと同時に、相手にとってもおいしい攻めのポイントになる。そこで相手に合わせ過ぎれば、現在アドバンテージとしている攻撃面での「らしさ」が発揮しづらくなる。前節に続くアウェイの地で、今後につながる戦術的バランスの落としどころをつかみたい。

この試合では、見ごたえあるマッチアップ駆け引きの局面は多い。
中村と谷澤がいる千葉の左サイドと、中島裕希、山田拓巳が並ぶ山形の右サイドは、攻撃的な4人が鎬を削るホットゾーン。守備ではボランチのサポートやディフェンスラインのスライドも得ながらグループでの連係も必要となる。
前節でゴールを挙げたディエゴは、バイタルエリアの浮いた位置にポジションを取ることが多い。ディフェンスライン前方にスペースができやすい千葉がこのディエゴをどう監視するか。ディフェンスラインからのアプローチが遅れればフリーでミドルシュートを狙われ、慌ててアプローチに行けば背後へのスルーパスもある。
さらに、山形の宮阪政樹と石川竜也、千葉の中村と兵働と、ともに質の高いセットプレーのキッカーを擁している。

中村のほか、ボランチの佐藤健太郎、そして鈴木淳監督。かつて山形を経験した選手がNDスタのピッチでプレーし、指揮官が采配を振るう。もちろん、現在進行形で山形のために戦う側が負けるわけにはいかない。

以上

2014.05.10 Reported by 佐藤円
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