5月9日、Jリーグの村井満チェアマンが、岡山の専用練習場『政田サッカー場』に視察に訪れました。午前9時30分過ぎからトップとネクストの選手が練習中の天然芝、人工芝コート、そしてクラブハウス内を視察した後、メディアからの質問に答えていただきました。その様子をお伝えします。
Q:視察を終えて。
「クラブハウスはちょうど今見終わったところですが、十分な施設だと思いました。建物というハード面もそうですが、中の従業員がみんな立ち上がって『こんにちは』と挨拶をされて、人もすばらしい。もちろん設備は十分に検討されて、研究し尽くした内容になっていますので、十分な施設だと思いました。練習場の視察は今、25クラブ目ですが、人工芝のピッチも黒いゴムチップが照り返しで非常に熱くなるんですが、熱を吸収しない最新のものを使用してクッション性もいい。天然芝もまったく問題がなく、これだけいい設備を整えていただいて、非常にありがたいと思いました」
Q:岡山は今年J2で6年目ですが、岡山のJ2での歩み、地域での定着度合いはどのように感じられますか。
「ひとつの結果指標ですが、お客様の平均来場数が毎年500人くらいの単位で上がっている。いい成績でどんと上がったり、悪くて落ちたり、スター選手が来て上がったり下がったりというのではなくて、クラブがひとつの明確な経営理念、経営ポリシーをしっかりと持って、地域とコミュニケーションを取りながら一歩ずつ上がっている。そういうイメージですね。結果が数字でも出ていますし、僕はJ2のクラブとして、成長していくひとつの理想的なスタイルだと思います」
Q:練習を見学されている時、サポーターの方とも言葉をかわされていましたね。
「サポーターとクラブとの距離感が近いですね。実際にゴール裏の1mくらいのところで見ているわけで、クラブと市民が近い関係にあると思いました」
Q:村井チェアマンが就任された時、「3つの約束」をされた中で、「無駄な時間稼ぎをやめよう」というものがあります。今、岡山はJ2でアクチュアルプレーイングタイムがもっとも長いチームとしてリーグ戦を戦っているわけですが、そのことについて。
「僕の『3つの約束』の1番目が『笛が鳴るまでプレーを止めない』。プレーをし続けよう、身体が当たったからといって簡単に倒れない、レフェリーが止めていないのに、選手が倒れているからといってボールを外に出したりしない。これは数年来言われている、岡山の戦い方が原型ですよね。僕の意識の中で、『3つの約束』に、岡山の戦い方はありました。一時的に高いとか低いではなく、全力でプレーをする、ハードワークで最後まであきらめずに走り切る、倒れない。こういう全力プレーはお客様に伝わるし、その結果お客様は集まってくださる。Jリーグはひとつの曲がり角に来ていると言われていましたが、きちんとした戦い方をすれば、岡山のようにお客様は付いてくる。倒れている姿を見に来るわけじゃなく、プレーを見に来るわけですから、まさにアクチュアルプレーイングタイムが長い岡山というのは、掲げている『3つの約束』の指標ですよね。模範になっている」
Q:今後どういう形で、岡山がサッカーを地元の文化として成長させていってほしいか、クラブとして成長していってほしいか、その点ではいかがでしょうか。
「欲を言えばきりがないんですが、決定的に大きな重要な要素、もし岡山に欠けているものがあるとしたら、サッカースタジアムだと思っています。競技をする場という意味ではなくて、『劇場』、エンターテイメント。お客様がそこに楽しみを求めてやって来て、デートでもいいですし、家族でもいいですし、とにかく人が集まる所。そのファジアーノ岡山のスタジアムが、サッカー専用で、屋根がついていて、駅から非常に近くて中心となるような所が、最終的には不可欠だと思います。それ以外のものはほぼ揃った。例えば地域との関係性、クラブ経営の哲学、クラブハウスと練習場、セカンドチーム。人が育っている環境は、たぶん経営陣が設定して一歩一歩進んできた結果だと思うんですが、『大きくJ1に羽ばたく』とか『世界のクラブと戦っていく岡山になる』とか『ナンバー1クラブだ』と地域の人が胸を張るためには、サッカースタジアムが必要な時期にもう入ったな、と僕は思っています」
Q:岡山というクラブについて。
「クラブが繁栄することは人が育つということ。人が育つことで、その伸びしろがクラブの成長だということを、池上三六GMがおっしゃっていましたが、非常に僕は正しいと思います。例えば高額で選手を獲ってきても、外れちゃうとファンが離れてしまったり、特定の個人に依存するとそういうことがありますよね。まだJ2である今の岡山で言えば、ビッグネームに依存するのでは継続した成長はとれない。高校生は高校に通わせて人間教育をしっかりとして、大学生世代はセカンドチームで大学に行ってもらって、人間的な成長も期待する。サッカーの技術的な成長だけでなく、人間的な成長が、すごく岡山には大事なんだということをずっと彼は言っています。結局、技術的なことだけでは上を突き破ることができないんですよね。日本のJリーグでは、J2からJ1に上がったチームがいきなり優勝したり、天皇杯でジャイアントキリングがいっぱいあったり、技術的にはJ1とJ2でそれほど格差はないですが、大きく突き破る可能性があるとしたら、サッカー以外の人間的な成長は不可欠なので、そこに目をつけているGMの話は僕にはすごく参考になりました。日本にあったんだな、こういうチームが、という感じでした。広島もそれに近い感じですが」
Q:たくさんメモを取られていたようですが。
「いっぱい書いてます(笑)。少年団と接触するのが年に160回、1万人の子どもたちとやっていること、すでにアカデミー世代から6人がプロ契約していること、学芸館高等学校の話、セカンドチームの話、いろんな話をしました。
僕の話になるのですが、チェアマン室の壁全体にサッカースタジアムの写真が貼ってあるんです。このあたりではG大阪のスタジアム計画が進んでいますが、京都も亀岡にスタジアムができたり、広島でもう40万人の署名が集まったり。実はこのゴールデンウィークにJ3・長野の、客席4面に屋根が付いたサッカースタジアムの建設現場に行って来ました。クラブを運営する経営の方々も監督も選手もそうですが、どうしても彼らだけではできないこと、それはスタジアムです。チェアマンの僕ができることはなにかなと思った時、それはスタジアムだと思ったのです」
以上
2014.05.09 Reported by 尾原千明
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