Ｊ２日記のネタはいろんなところに落ちているというが、私はまだうまくそれを見つけることができない。ネタを探してウロウロ、キョロキョロ。ダメだ、見つからない…と途方にくれているところに、北野誠監督が登場してひとこと「ネタなんて、いっぱいあるでしょ？」。ここは優しい監督にすがるしかない。「いえ、よう見つけんのです。監督、なんかネタください」と直球でお願いしたところ…。
「このネタはすごいよ〜。実は、モッチーが最近しゃべるんだよ」
な、なんとモッチーこと持留新作選手がしゃべるですって!?それは大ニュース！真相を探るべく持留選手探しに出発だ。

と彼を探しに行く前に、まずは皆さんにモッチーを紹介しておこう。
背番号７。ＤＦ登録ではあるが、中盤や前線もこなせる讃岐屈指のテクニシャンだ。Ｇ大阪ユースで10番を背負い、卒業後の２００７年に愛媛とプロ契約。２００９年、武者修行として愛媛のアマチュアチームだった四国リーグの「愛媛ＦＣしまなみ（当時、現：ＦＣ今治）」へ。
讃岐も当時は同じ四国リーグに属しており「男前でえらくうまい持留という選手が『しまなみ』にいるらしい」との噂が伝わってきていた。私も、その持留選手とやらのプレーを見ることを楽しみにしていたのだが、讃岐のホームで行われる試合を前に、持留選手は愛媛へと戻されて対戦はかなわず。そんな訳で、持留選手がその後長崎を経て２０１３年７月に讃岐に期限付き移籍してきた時には、離婚報道が飛び交っているあの芸能人夫婦じゃないけれど「やっと会えたね」という感じだった。…いけない、話が逸れてしまった。

持留選手の加入後、讃岐サポーター（主に女子）の間で「かっこいい選手が来た！」と話題になった。イケメンが多いと噂の讃岐の選手たちの中でも、持留選手はベスト５に入る。そして、饒舌な選手が多い中でダントツの無口。サポーターからの声援にも、はにかんだ笑顔で応えるのが精一杯。取材では一生懸命に言葉を探し真摯に対応してくれるのだが、
Ｑ：ここまでの戦いを振り返って、感想をお願いします
「う〜ん、なんて言うんでしょうね、あの………（沈黙が続く）」
なんてこともある。そんな持留選手がしゃべる!?

あっ、いたいた持留選手！サポーターと談笑中だ、どうやら噂は本当か？
話していたのは、サポーターの岡田さん母娘。２人揃って讃岐サポーターで持留ファン。この日、誕生日を迎えたお母さんが「どうしてもモッチーに今日会いたい！」ということで、娘さんがわざわざ仕事を休んで練習見学に来たそう。
２人が讃岐の試合観戦に初めて訪れたのは昨年６月。２回目の観戦で持留選手のプレーを見て、すっかりその魅力にはまってしまったんだとか。「かっこいいし優しい。寒い日の練習見学では、自分のほうが寒いだろうに『寒いのにありがとう』と声を掛けてくれる。無口だけど、試合ではハードなところもイイ！」と語り出したら止まらない。食卓での話題は讃岐と持留選手のことばかりで「これまでインドア派だったけど、今では休みといえば必ずサッカーのために出掛けていくようになった。モッチーと讃岐のおかげで人生が変わった」のだとか…。
人生まで変えちゃうなんて、持留選手と讃岐、そしてサッカーってやっぱりすごい！

そうそう、変わったといえば持留選手だ。
Ｑ：最近しゃべるようになったとか？
「う〜ん、完全移籍になったし、今年はちょっとそっちも頑張ろうかなと思って……」
Ｑ：チームメイトの影響もある？
「監督が、なんか、そういう……」
Ｑ：のんびりした香川県が持留選手に合っているから？
「そうかもしれないし……」
Ｑ：じゃあ、今年は新生・持留新作が見られるんですね？
「う〜ん、でも僕はクールキャラだし……」

以前より口数が多くなったとはいえ、やっぱりシャイで無口。持留選手は26年の人生の中で怒ったことがないと言うほど感情の起伏を表情に出さない。讃岐がＪ初勝利をあげた時、彼は感情を爆発させてこれまで見たことのない姿を見せてくれるのか、それともいつも通り静かに喜びを噛みしめるのか。前者の姿を見てみたいが、この際ぜいたくは言わない。早くその日が来ることだけを楽しみにしよう。
『モッチーで人生が変わった』と言ってくれるファンのためにも、頑張れモッチー!!

以上

2014.05.09 Reported by 中條さくら（オフィスひやあつ）