負けはしたが、ACLのFCソウル戦は内容のある試合を見せてくれた。川崎Fのパスワークに対抗すべく5バックで試合を進めたFCソウルに対しても、川崎Fは決定機を作り続け、小林悠の先制点を皮切りに2度のリードを奪う。しかし3つのミスを突かれて3失点。非常に惜しい敗戦となった。
負けはしたが、風間八宏監督は「結局あれで(攻撃して)防御してるわけだよ。しかもチャンス作れている。崩しているからね」と敗戦を気に病む様子もない。もちろん現実問題として、ホームで敗れているのだが「次(アウェイで)点を取ればいい」のだと話し、選手たちへの信頼感を示す。「あと3試合、全力でやるしかない。何点取られても、1点多く取ればいいんだから」と話している。
内容では上回れたという風間監督の評価もあり、負けはしたが、選手たちも気持ちを切り替えて練習に臨んでいる。チームの雰囲気を聞かれた大久保嘉人は「いや、もうかなりいいよ(笑)。かなり切り替わっている」と笑顔で話しつつ「ああいう負け方しても、雰囲気は悪くならない。普通だったらあまり良くないけど、すごくいいから」と述べている。
中2日という試合間隔で行われることもあり、選手たちはごく軽めの練習メニューをこなすのが精一杯。ただ、対戦相手の戦いを研究し、相手の良さを殺すような戦いを行っていない川崎Fにとってコンディション調整のみの練習で準備は十分だとも言える。
いずれにしてもワールドカップの中断期となる横浜FM戦まであと3試合。長かった戦いの日々もようやく一つの区切りを迎えようとしている。そんな川崎Fと対戦するのが鹿島である。今季の鹿島は大胆な若返りを実行し、序盤から快調に勝点を積み上げてきていた。しかし、ここにきて失速が目立つようになった。直近の柏、名古屋の2試合で2連敗を喫した鹿島にとってこれは第7節の新潟戦、第8節の神戸戦に続く連敗であり、これ以上負けられないという相当な意気込みで試合に臨むはず。
その鹿島の強みといえば、前線に位置する攻撃的な選手たちがコンスタントに得点を積み上げているという点。1トップのダヴィと並び、2列目の遠藤康が5得点。トップ下の土居聖真が4得点とゴールを積み重ねている。得点力のある選手を前線に並べたことにより、どこからでも点が取れる強みを見せており、リーグ2位の23得点という数字を残している。また、守備面では、ここまでのリーグ戦12試合すべてに先発フル出場している昌子源に植田直通を加えた若きCBコンビに率いられた最終ラインは、その12試合で12失点と結果を残している。鹿島の得失点差11という数字はリーグ首位だ。
この試合に臨む川崎Fは、ACL出場のため第12節が7月15日に振り返られており、広島、C大阪、横浜FMと共に試合数が1試合少ない。その中で、鹿島との勝点差はわずかに3。タイトル争いに生き残るためにもどうしても勝っておきたい試合である。ちなみに11試合を終えた川崎Fの得失点差は+9。共に攻守のバランスの取れたチーム同士の戦いとなることもあり、1点を争う緊迫感のある試合展開が予想される。
攻守のバランスの取れた鹿島は、若返っているとはいえ、「したたかなチーム」という典型的なイメージを着実に継承していると見ていい。だからこそ川崎Fはタフな戦いを覚悟せねばならない。ただ、相手がどのような戦いを仕掛けてきたとしても、それをかわせるだけの技術を川崎Fの選手たちは身に付けている。臆することなく戦えば、勝機は見いだせるはずだ。選手たちの奮起に期待したいと思う。
以上
2014.05.09 Reported by 江藤高志
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