「やってしまったね」。神戸の安達亮監督は5月8日の練習後にそうつぶやいた。4−3で敗れた前節のアウェイ仙台戦の話である。前半2点リードで折り返した神戸は、後半の序盤で2失点し、一度は勝ち越しに成功したものの結局は後半45分間に計4失点を許して敗退。「去年のJ2の時も含めて、(こういう試合を)何回かやってしまう。内容がひどい訳ではないのに…。あれをひっくり返せるメンタリティが無いとタイトルは取れない。もう一つ上のステップに行きたい」。言葉は厳しいが、なぜか指揮官の表情は意外にも穏やかだった。
この仙台戦の結果を受け、神戸は6位に後退。だが、首位・鳥栖との勝点は4差、2位の浦和とは3差、3〜5位の鹿島・広島・新潟とはわずか1差である。ワールドカップによるリーグ中断まで残り2節を連勝すれば、充分にタイトルを狙える位置でリーグ後半を迎えられる。優勝請負人として期待される神戸のマルキーニョスは「この2試合は連勝あるのみ。まず甲府戦ではみんなが100%以上の力を出す」と、仙台戦の悔しさを今節の甲府戦にぶつける構え。安達監督の穏やかな表情の裏には、選手たちが今、何をしなければいけないかを分かっているという安心感のようなものがあるのかも知れない。
一方の甲府は、2連敗で迎えた前節の浦和戦を引き分け、14位に後退となかなか波に乗れていない。いい守備がいい攻撃につながる印象の甲府だが、ここ3試合は持ち味の守備を相手に崩され、攻撃のリズムがつかみ切れていないのが現状だろう。現在リーグNo.1の24得点を挙げている神戸の攻撃をいかに抑えるか。ここが勝負のカギとなりそうだ。
前節を参考に両チームのフォーメーションを比較すると、神戸は4−2−3−1、甲府は3−4−2−1。神戸はビルドアップの際にボランチ1枚がDFラインまで下がり、CBが左右に広がることで両サイドバックを高い位置へ押し上げるようなシステムを取る。極端に言えば、神戸がボールポゼッションしている場面では、ボランチ1人とCB2人がゲームを組み立て、残り7人がオフェンス要員となる。人数をかけた神戸の多彩な攻撃は、このシステムとも関係があると言ってもいい。これを迎える甲府の守備陣形は、両ウイングハーフの福田健介と阿部翔平がDFラインまで下がり、5バックを形成。ボランチ2枚と合わせて7人で守備ブロックを組むイメージである。つまり、乱暴を承知で言えば、神戸の攻撃7枚と甲府の守備7枚の攻防を制した方がゲームの支配者となる。
この視点で見た場合、ポイントの一つになるのが“個の力”。マルキーニョス、ペドロ ジュニオール、小川慶治朗、森岡亮太に加え、松村亮、田代有三など個性際立つタレントを揃える神戸の方がやや上と見ていい。それをベースに、彼らが連動して生み出す“崩しの方程式”は無限に存在する。神戸にとっての勝負所は、最後のフィニッシュをしっかりものにできるかどうか。先述した安達監督の「もう一つ上のステップに行きたい」とは、この部分にあると言えるだろう。
神戸は2007年の第31節以降、甲府には3試合負け無し(2勝1分け0敗)。ホームでは全勝と相性もいい。ワールドカップ前のホームラストマッチで勝点3はもちろん、内容でもワンランク上のチームへと押し上げたいところだ。
以上
2014.05.09 Reported by 白井邦彦
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