新時代のライバルマッチがここからスタートする。名古屋は2年ぶりのG大阪との対戦を「RIVAL MATCH」として打ち出し、その上で今季2度目の連勝を狙う。クラブの公式HPなどからアクセスできる特設サイトを見れば、なぜ名古屋がG大阪をライバル視するかはわかるだろう。2009年シーズンの天皇杯決勝や2012年の20周年記念試合など、ここ数年で名古屋はG大阪に煮え湯を飲まされてきた。そして今季、G大阪で名を上げた名将が名古屋の監督に就任したことで機は熟したと、クラブは判断した。名古屋から最も近い大都市・大阪をホームとする青の昇格組に対し、赤い軍団は必勝の態勢をもって試合に臨んでいる。
前節のアウェイ鹿島戦での快勝で、その気運もにわかに高まってきている。カシマスタジアムではケガから復帰のDF牟田雄祐がブランクを感じさせない動きで自身の公式戦初勝利を自ら演出し、攻撃陣では負傷を押して出場した玉田圭司が獅子奮迅の活躍を見せた。惜敗したC大阪戦後には「自分が得点できるポジションにいないとね」と語っていた背番号11は宣言通りの動きで1得点し、守備でも奔走しチームの勝利の立役者になった。牟田もまた負傷者続出のDFラインにとっては救世主とも呼べるプレーぶりで貢献。鹿島戦の翌日は遠征の疲労を考慮し主力組は練習を免除となったが、負傷箇所のケアとトリートメントのためにクラブハウスに姿を見せた。入念なケアの後に報道陣に対応した牟田は、落ち着き払った様子で自身のプレーを振り返る。
「鹿島戦は良かったとは思いますけど、特別良かったというよりはあのパフォーマンスを安定して出していかなければという気持ちの方が強いです。あれが自分の一番良いプレーというわけでもないですし、まだまだ修正点はあります。自分はゲームメイカーではないので、まずは守備を思い切ってやること。攻撃は簡単に、シンプルにやることですね。去年は攻撃で何とかしたいと考えすぎていたので、今はクリアに考えてパスとサポートを繰り返すことを考えています。そうした意味では、去年とのプレーの変化は出てきました」。
鹿島戦でのハイパフォーマンスを見れば、牟田の今節のスタメンはほぼ間違いない。田中マルクス闘莉王との連係も上々の大卒2年目DFは、福岡大学の後輩の大武峻に奪われていた定位置奪還へ向けても、重要な試合がここから続く。
さて久々に豊田スタジアムに乗り込んでくるG大阪だが、名古屋同様に厳しいリーグ戦を送っている。前節は同じ昇格組である徳島に快勝し連敗を3で止めたが、今季はすでに6敗しており現在は15位。昨季のJ2リーグ戦42試合で99得点した攻撃力はまだ発揮できていない様子だ。しかし序盤を負傷欠場していた前線の要・宇佐美貴史が前節でスタメン復帰し今季初得点するなど上昇の気配は漂ってきた。日本代表の遠藤保仁、今野泰幸で組むボランチコンビに隙はなく、若いDFラインとサイドハーフは躍動感あふれる人材が揃う。就任2年目の長谷川健太監督のスタイルは縦に速い印象で、縦と横のワンツーで緩急をつけつつ、推進力をもって前に出る迫力は名古屋にとっても脅威だろう。
試合はまさにそのG大阪のスタイルを名古屋がどのようにコントロールするかが焦点となる。牟田が戻って安定感を増したとはいえ、名古屋のDFラインはいまだ経験不足の感が否めない。特に両サイドバックの守備での対応はここ2戦で失点につながっていることもあり、G大阪の馬力とスピードには警戒を強めたいところだ。右の大森晃太郎やオ ジェソク、左の阿部浩之や藤春廣輝などとのマッチアップを制することは、そのまま試合の主導権争いにも直結する。中央で遠藤、今野らと対峙する田口泰士らの負担を軽減するためにも、矢野貴章、本多勇喜が守るサイドは一つの注目すべきエリアになってくる。
だが、古巣対決となった西野朗監督はさらなる強敵の攻略法に頭を悩ませている。G大阪との対戦自体には「言われれば、というくらいで感慨はない」とあっさりしたもの。「キャリアの半分になるから、それは財産ですよ。お世話になったクラブです」と変わらぬ愛情を垣間見せたが、現在は名古屋の監督である。ここまでホーム6戦1勝5敗、豊田スタジアムでは全敗という結果の方をより大きな問題としてとらえている。
「ホームでなかなか勝てていない。そこなんですよ。だから対ガンバじゃなく、対豊田スタジアムなんです。どう攻略するか。毎回思うけど、何かがいるのか、何か足りないのか、何かのせいなのか。その何かをやっぱり探っていかなければいけない。何かを処方してもどうにもならないチーム状況というのはあると思うし、オレも2003年、ガンバでの2年目に“アディショナルタイム病”にかかったことがある。内容は90分良いのに、+3分、+4分、+5分でいつも何かが起こる。ベンチも何か意識してしまって、それでまた拍車がかかってしまうようなシーズンでした。でもどうして断ち切れたかはわからない。追求していけばどこかに、何かがあるんでしょうけど」。
百戦錬磨の将ですら処方箋が見いだせないホームでの勝利欠乏症の根は深い。今季ここまでのベストゲームの一つである鹿島戦での勝利が良薬に、せめて流れを変える栄養剤になっていてくれれば、という思いは名古屋の選手・スタッフの総意だろう。ライバルマッチという冠と、西野朗という対G大阪における大きな媒介、そして豊田スでの初勝利。負傷者も続々と戻ってきた今、名古屋にはそうした壁を乗り越える真の強さが求められている。
以上
2014.05.09 Reported by 今井雄一朗
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