勝ちたかった…。もちろん、その思いはこれまでも同じだが、この試合は絶対に勝ちたかった。得点を追い求める讃岐の選手たち。後半アディショナルタイムのコーナーキックではGKの石井健太もペナルティーエリアに入り1点を目指した。しかし、無情に鳴り響く試合終了のホイッスル。ピッチに倒れ込み、天を仰いだ選手の目には何が映っていたのだろうか―。
22位の讃岐と20位の東京V。どちらもこの試合を今季のターニングポイントと位置付けた気合の一戦。両チームともシンプルに前にボールを入れて勝機をうかがい、守備では集中力が途切れない。見ているこちらも力が入る一進一退の攻防だ。
そんな中、先に動いたのは東京V。39分、前田直輝に変えて森勇介を投入し、右サイドバックでプレーしていた安西幸輝を1列前に上げる。結果はすぐに表れた。42分、中央でボールを受けた安西がドリブルで切り込んでシュート。チームが目指していた先制弾は、ユース出身18歳のルーキーのJ初ゴールだった。
讃岐の1点ビハインドで迎えた後半14分。途中出場の森がこの日、2枚目のイエローカードで退場。1人少なくなった東京Vを相手に讃岐は身長186cmの藤井航大を前線に上げ、2バックに変更して得点を狙いにいく。DFのソン ハンキに代え、福岡戦で同点ゴールを挙げたFWの福家勇輝も投入。が、讃岐は数的優位を生かせず単純なロングボールに頼ってしまう。開幕戦以来の出場となった藤田浩平も「相手が1人減ってからロングボールが多くなった。1回揺さぶって入れるとか、なにかもうちょっと工夫が必要だった」と反省を口にする。
全員で攻撃を仕掛ける讃岐に、全員で守る東京V。東京Vは1人少なくなってからより守備の意識が高まり、チャンスとあればカウンターに持ち込んで2点目を奪いにいく姿勢も忘れない。選手たちは三浦泰年監督のゲームプランをピッチで体現し、連動性と選手間での意思疎通が見てとれた。軍配は勝負にこだわり、アグレッシブに戦い続けた東京Vに上がった。
東京Vがペナルティーエリア付近で人数をかけた守りに入ってから、讃岐の前線の選手全員が東京Vの最終ラインの選手と並び、斜めからのアーリークロスに終始した。全員が並ぶ必要はどこにもない。ボールを受けにいく選手、裏に抜ける選手の役割がはっきりしていなかった。1人が動けば相手DFが付いてくる、そこでスペースが生まれ、得点のチャンスが近づいてくるはずなのに…。東京Vとは反対に意思の疎通が取れていなかった。
この日の試合展開は、どこかで見たことがある。そう、あれは昨年の讃岐と鳥取が戦ったJ2・JFL入れ替え戦2戦目。1人少なくなった讃岐はこの日の東京Vのように守り、鳥取は讃岐のような攻撃しかできずに敗れてしまったではないか。讃岐は、あの時の鳥取と同じ轍を踏んでしまった。ゴールを奪いたいという強すぎる気持ち、追うものの焦り、様々な要因が考えられるが1番は選手同士のコミニケーション不足ではないだろうか。
「個の力では劣るのでチームで戦うことが必要」と選手たちは口にするが、今、チームは一つになれていない。思い出してほしい、チームが一つになったからこそJリーグに加入できたことを。技術の修正より難しい気持ちの修正。選手操縦に長けた北野誠監督は、次節まで中4日という短い期間で立て直しを図ることができるのであろうか。
試合終了後、讃岐の選手たちにサポーターは大きなエールを送った。ブーイングをしてもおかしくない状況の中、次節の勝利を願ってのエールだ。サポーターは讃岐というクラブを愛し、選手たちを本当に愛している。そんなサポーターの声に、次節はきっと応えてもらいたい。「次こそ」という言葉はもう聞きたくない。
以上
2014.05.07 Reported by 中條さくら(オフィスひやあつ)
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