J1リーグ11試合を終えて、Ｇ大阪が手にしている勝点は９、徳島が３。その数字からもわかるように、苦しい序盤戦になっている両者が、万博記念競技場で対戦する。

昨年のJ2リーグでの対戦成績は２試合戦ってＧ大阪が２勝。ホームでは２−０、アウェイでは５−１と圧勝しているが、現時点でのチーム状況を考えても両者にとって難しい試合になることは間違いない。それぞれが明確に『勝点３』をターゲットに据えた戦いを繰り広げることだろう。
「連敗中だし、しっかり勝っていい流れを作りたい。非常に大事な試合。選手個々がいまの状況が決してよくないことはわかっている。個々が自分を見つめ直すことも必要だし、チームとして引き締め直さなければいけないところもある。全員で気持ちを揃えて臨みたい（MF遠藤保仁）」

Ｇ大阪は第９節の川崎Ｆ戦に始まったゴールデンウィークにおける連戦を３連敗。今季２勝目をあげた第８節の大宮戦を弾みにしたいところだったが、苦戦を強いられている。その中では開幕前に左足首を痛めて離脱していたエースFW宇佐美貴史が川崎Ｆ戦で戦列復帰を果たすなど好材料も見られたものの、そのFW宇佐美も含めて未だ本来の『爆発的な攻撃力』を示し切れていない状況だ。
その証拠に、ここまでチームとしての総得点はわずかに９。平均で考えると１試合に１得点も挙げていない計算になる。加えて、ここにきて失点が目立ち始めているのも気になるところ。３月の試合は点を獲れない悩みが目立つ一方で、守備については無失点で終える試合もいくつか見られたものの、４月、５月は１度も無失点の試合がない。もっとも、これも攻撃でリズムを見出すＧ大阪ゆえ『獲れない』ストレスがマイナスに働いてしまっていることも理由の１つだが、ここ数試合はセットプレーやサイドを崩されての失点が目立つだけに今一度、守備においても規律の確認は必要だろう。

注目は今季初の先発復帰が濃厚なFW宇佐美。長谷川健太監督も「宇佐美は先発でいく。コンディションが上がってきたし、あとはやりながらよりコンディションを上げていく段階にある。横浜FM戦を見ても惜しい場面に顔を出せるようになってきたのはプラス要素。あとはやりながら結果を出していくしかないと思う」と断言しており、先発はまず間違いないだろう。昨年のアウェイでの徳島戦では４ゴールを挙げ、チームの勝利を後押ししたFW宇佐美。試合当日は彼の誕生日でもあることからも『ゴール』への思いはより強まっているに違いない。
「とにかく点を獲りたい。攻撃を自分が変えてやるという思いでピッチに立ちます。誕生日だということは特に意識しませんが、チームを勝たせられるような活躍ができれば、それが自分へのプレゼントになる。また、サポーターの方も悔しい思いをしていると思うからこそ、勝利をプレゼントしてあげたい（FW宇佐美）」

クラブ史上初のJ1リーグを戦っている徳島は、開幕から９連敗と長いトンネルから抜け出せずにいたが、第10節の甲府戦で今季初白星を手に。しかも今季初めて無失点で試合を終え、ようやく浮上の兆しを見せつつある。だが、続く仙台戦は再び完封負け。Ｇ大阪と同様、連戦で勢いに乗りたいはずが、いまひとつチームにいい流れを引き寄せられない状況。ただ小林伸二監督の「残念ながら連勝とはならなかったが、やれるところもずいぶんあった。攻撃は単調だったが、点を獲るという前向きな姿勢は出せた」という言葉にもあるように、１試合の中でチームとして少しずつ手応えを感じられる時間は増えている。
またケガで離脱していたDFアレックスが前節の仙台戦で途中出場を果たすなど、プラス材料もある。あとは自分たちのリズムを見出せる時間をより長くして、結果に結びつけていくかだろう。

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2014.05.05 Reported by 高村美砂