勢いとは、こういうことを言うのかもしれない。前節の鳥栖は、対清水で初めての勝利を挙げた。「うちは、無失点で抑えて先制点で勝つサッカー」とは、この試合で決勝点を決めたMF藤田直之の試合後の言葉である。
その前のアウェイ戦でも、名古屋相手に2度追いつかれながらも、終了間際に決勝点をあげて勝利した。「鳥栖のサッカーはFWを起点にハードワークするというもので、それが90分通してできたからこその最後の得点」だとDF安田理大が振り返った。
どちらも、鳥栖のサッカーができたことを指している。言い換えると、自分たちのサッカーさえできれば、勝てる自信を持っている。そうなると、『その自信をホーム戦で見せてくれ!』と思うのは、鳥栖サポーターの本音であろう。前回のホーム戦では、先制しながらも広島にうまい試合運びを見せられて逆転負けを喫してしまった。ゴールデンウィーク最後のホーム戦となれば、多くのサポーターが駆けつける。是非とも鳥栖らしく、先制点で勝ちきるサッカーを見せてほしい。
対する柏も、絶好調と言っていいのではないだろうか。なにしろ、第3節・名古屋戦(3/15@柏)で敗れて以来、約2カ月間を無敗で乗り切っている。1敗(5勝5分)はリーグ最少タイ。主力選手の去就についての噂もあるが、かえってチーム全体での推進力は出てきているように見える。爆発的な得点力はないものの、機を見て複数の選手が攻撃参加をしてくる戦い方は、柏のスタイルである。
今節は、両サイドの攻防に注目しておくとサッカーのおもしろさを見ることができそうだ。鳥栖は、両ワイドを使っての攻撃を得意としている。左MFの金民友、右MFの水沼宏太が個人技でサイドを切り開き、中央に走り込んだ選手にボールを送り込むスタイルを確立している。これに、左DF安田理大、右DF丹羽竜平が絡んで、サイドの攻撃に多彩さを加える。対する柏も高山薫、渡部博文の両ウイングバックが上下運動を繰り返し、幾度となく起点を作る。どちらのチームがサイドで優位な状態をより多く作るかで、この試合の主導権は決まってくる。言い換えると、サイド攻撃を繰り返すことで、相手のストロングポイントを消すことになる。勢いを持ったチームのストロングポイントを消すためには、自分たちのストロングポイントを出し切ることが妙策と言える。
サイド攻撃をより生かすために、前線の選手がどれだけボールを引き出せるか。鳥栖は、センターに高さと強さを持つFW豊田陽平が構えている。クロスボールに対して、ファーサイドから中に入ってきてのヘディングシュートはリーグ一の強さ。その高さと強さを生かして、トップ下に入るFW池田圭がスペースを突いてくる。サイドにボールが入るとDF裏だけでなく、クサビのパスも受ける動きを見せて、相手DFを攪乱している。実に、相手にとって嫌なFWだ。あれだけ前線で動き回ると、相手にとってもつかみどころがないはず。サイドの突破力に加え、前線での高さと強さ、運動量は今季の鳥栖の好調さを支える大きな要因であり、チーム総得点がリーグ4位というのもうなずける。
柏はチーム総得点ではリーグ7位タイと爆発的な得点力は見せていないものの、攻撃の多彩さでは鳥栖に劣らない。FW工藤壮人を中心に、FW田中順也、MF太田徹郎と個性派が前線を彩る。彼らも、わずかなスペースさえあればシュートを打てる技術を持っている。鳥栖のDFはコンパクトな布陣を引く分だけ裏にはスペースができる。狙い目はそのスペースだろう。勢いを持ったチームのストロングポイントを消すためには、自分たちのストロングポイントを出し切ることが最善策なのである。
ボールが動けば、それだけドラマが生まれる。ボールをゴールに運べば、その分だけ白熱した試合になる。ボールを持った方が優位に時間を使うことができるサッカーの攻撃は一様ではない。その分だけドラマも多彩になる。サッカーは、ボールを自らの意志で動かすことで点につながるスポーツなのである。
以上
2014.05.05 Reported by サカクラゲン
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