日が落ちると、昼の暑さが抜け肌寒い夜となったが、西京極のスタンドはアツい声援と太鼓の音が鳴り響いていた。バドゥ京都のホーム初勝利は、４得点の快勝劇だった。
「メンバーを変えてフレッシュな気持ちで臨んだ」（讃岐・北野誠監督）讃岐、そして京都も先発の構成を変え、さらに４−３−３の布陣をとった。
ゲームの入りは互いに探り合いつつという感じ。その中で京都が時折、相手の逆を突く仕掛けを見せていた。その状況から京都がスコアを動かした。19分に中盤から大黒将志へボールを送ると、讃岐ＤＦが一度阻止、しかし、そのこぼれを工藤浩平がさらに大黒へ送る。エリア内で前を向いた大黒は迷いなくＧＫの頭上を通るループシュート。この大黒の抜群の判断力で京都が先制する。
さらに22分、京都は自陣左で、比嘉祐介、中山博貴らでボールを落ち着かせると、中盤の横谷繁から右サイド、前のスペースへ走り込んだ石櫃洋祐へ。そこからアーリークロスを入れると中央に走り込むのは大黒と、その前に三平和司。三平が頭で流し込み京都が２−０とリードを広げる。

後半、京都は前半で痛めたバヤリッツァと石櫃を下げ、山瀬功治と下畠翔吾を投入。ジャイロを下げて、横谷が中盤にスライドして下がる、そして前線に山瀬を置いた。讃岐も前線に岡村和哉（out西野泰正）を起用。讃岐はさらにフォーメーションも４バックに変えて、４−３−３にした。後半が始まると讃岐がアグレッシブに戦いを仕掛けてくる。
だが、京都も鋭い攻撃で反撃する。後半７分、山瀬から相手の間に入り込んだ横谷にボールが入ると、ドリブルで仕掛け、エリア正面やや左、すぐ外の位置でＦＫを獲得。山瀬の直接シュートは讃岐のハンドを誘い、ＰＫ獲得。これを大黒が決めて、京都は讃岐の出鼻をくじく３点目を取る。
さらに５分後、裏に走る大黒へ浮き球が送られると、讃岐ＤＦが戻りながらのクリア。これがクリアミスになり、三平が決め、京都が４−０とほぼ試合を決定づける。
後半の構図は、讃岐が積極的な姿勢を見せ、遠目からでもシュートを狙うものの、ラインを上げて果敢にプレーしてきたので、京都もその裏を狙うというもの。ボールの往来の激しい試合内容になった。後半だけでシュート数は京都が９本、讃岐が８本で、それを表している。
そして終了間際のアディショナルタイム１分、讃岐がロングスローから高橋泰がつなぐと岡村和哉が頭で押し込んでゴール。意地を見せる。
この４−１のスコアでタイムアップ。京都が快勝で今季の西京極初勝利を飾った。

試合後、北野誠監督は「ハーフタイムでは、先ずシュートをしてくれと」、と選手を送り出した。前半の引き気味だった戦い方から一転してプレスの効いた戦いぶりへと変貌した。
この変化は今節のゲームの見どころになったのではないか。
京都側から観れば、前半は讃岐が５バック気味に観えた。前線左の高橋も守備に戻る回数が多かった様に思うので守備的だったはずだ。その中で京都は工藤が飛び出し、中山、比嘉が走り出しゲームを動かした。後半は一転して讃岐がボールへのプレッシャーを強めたことで、讃岐自身がゲームを動かした。だから、京都は大黒、三平、そして宮吉、山瀬が相手の背後を狙える展開になった。
つまり、相手が動かなければ京都が動かし、相手が動いたら京都はその背後（最終ラインや中盤の逆、或いは、その間）を狙う形になったということ。中山も試合後、後半の相手の出方の違いを感じていたと口にしていたので、冷静な判断が出来ていたのではないか。前後半でやり方を変えた相手に柔軟に対応できたのは高く評価できるだろう。

もう一つ。細かいプレーだが後半32分、京都は右サイドからクロスを入れられ逆サイドに送られた場面があった。そこに相手がいたが、山瀬功治が戻って相手にプレーをさせなかった。これは大きなプレーだろう。ゲームの流れを左右するワンプレーではないか。
守備の戦術云々よりも「しっかりと戻る」ということ。基本的なことを厳格にこなすことで防げる点は結構多いと思う。失点が流れを大きく変えることは全員が分かっているはずだ。それを防ぐためにも、戻らないといけない時は戻ること。基本的な事ながらそれをきちんとやった山瀬のプレーは得点と同じレベルのファインプレーだと評価したい。

中２日で京都は横浜ＦＣ戦を迎える。横浜ＦＣがどう戦ってくるかで、ゲーム内容はまた変わるだろう。だから今節の勢いを持っていける部分もあるが、また違う判断を強いられる部分もある。その判断が出来るか、その辺りも楽しみにしたい。

以上

2014.05.04 Reported by 武田賢宗