タイトなスケジュールでの3連戦目とあって、やはりどちらにも蓄積された疲労が色濃く感じられた。そのため両チームともに動きの切れを欠き、ひとつひとつのプレーもややその精度が低下。イージーなミスを少なくない数発生させてしまったことは否めないだろう。
しかしながら、勝利した仙台には、この一戦での狙いを体現しようとする一貫した姿勢があった。渡邉晋監督も試合後会見で「わりと人に付いてくるような守備だということは徳島さんを分析する中でありましたし、それをいかに剥がせるか、いかにスペースを突くかということにトライした」と話していたが、チームはそうした狙いを常に意識してプレーを展開。梁勇基を中心に少ないタッチ数でシンプルにボールを動かしながら、徳島DFラインの裏スペースへ抜け出す赤嶺真吾や太田吉彰らを使って好機を作ろうと序盤から繰り返し試みていた。そして実際40分に挙げた先制点もそのような狙いがあったからこそのものだ。攻め上がった左サイド石川直樹の低いクロスを赤嶺が受けて決めたゴールであったが、アシストした石川がしっかりその形をイメージしていたこと、得点した赤嶺がオフサイドラインぎりぎりのところで駆け引きしていたことによってそれは生まれたと言える。
さらに、折り返した後半も、仙台のプレーは全く変わらない。すべきことを深く理解した動きを全員が失わず、強固な組織としての戦いを最後までしっかり続けたと言えよう。前半より多いチャンスを生み出しながら追加点を奪えなかったことは今後への課題であろうが、それでも過酷なコンディションのもとでベクトルの揃ったゲームを貫けたことは次に繋がる大きな収穫であったはず。いずれにしても仙台は、勝点3だけでなく、アウェイの地で今後への確かな足掛かりも掴んだように思われる。
対照的に敗れた徳島は、続けなければならなかった部分が終始薄いものになってしまっていた。それは最近の2戦で高まってきていた攻撃のグループ連携であったが、小林伸二監督も「3人目の動きというところが今日はこれまでの2試合に比べるとすごく乏しいサッカーになった」と振り返っていたように、今節ではその連携がほとんどピッチで見られず。その結果としてチームはゴールの可能性を感じるシーンをほんの僅かしか作れなかった。
加えて、前節J1初勝利を引き寄せる原動力になった粘り強い守備も弱まっていたのがこの一戦の事実だ。特に両サイドは簡単に裏を攻略されたり、クロスを上げられることが多く、そこから何度もピンチを招いてチームは肝を冷やしていた。また残念ながら粘り強さのダウンは個人的なところにも…。後半半ば過ぎ、背後を取られた右サイドの藤原広太朗はその瞬間手を上げ何度も審判に顔を向けてオフサイドをアピール。セルフジャッジで足を止め、ドリブルで進む仙台の選手をなかなか追いかけ始めなかった。冒頭で述べたように疲労の蓄積があったのは間違いないだろう。とは言え、個人の部分にそのような対応が発生していては組織全体としての粘り強さも当然高まってこない。
PKを阻止し追加点を与えなかったGK長谷川徹の執念、アレックスの戦列復帰と、今節には明るい材料も確かにあった。だがこの一戦を終えて言えるのは、もう一度自分たちのやるべきことに集中し、消耗に負けないタフさを出して次節必ずそれを実践すること。ようやく掴んだ前節のJ1初勝利を無駄にせず、残留という目標への第一歩とするためには、それ以外考えられない。
以上
2014.05.04 Reported by 松下英樹
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