ハードな日程でのゴールデンウィークの連戦も今節で3戦目。例年、この時期にどれだけ勝点を積めるかがシーズン中盤以降に関わってくるが、今年は開幕から遂に10連勝とリーグ記録を更新している湘南を除き、2位以下が非常に混戦となっているJ2。現状、2位の磐田から6位の北九州までの勝点差が4、7位水戸から勝点差3で17位千葉まで実に10チームがひしめき、毎節、大きく順位が入れ替わる展開になっている。つまり現段階では、多くのチームにプレーオフ圏内に食い込む可能性があるということ。もちろん、シーズンのわずか1/4が終わったに過ぎず、今の順位そのものに一喜一憂する必要はない。しかしリーグ戦終盤までこうした混戦が続けば、この時期の勝点1や得失点差が終盤に効いてくることも十分あり得る話。そう考えると、今節からの連戦の後半をどう乗り越えていくかは大きな意味を持つ。
熊本は前節、アウェイ水戸に乗り込み、倍近いシュートを打たれる苦しい展開になりながら、この数試合で終盤に失点が続いていた課題も払拭。今シーズン2度目の完封で貴重な勝点1を加えた。10試合を終えて4勝3分3敗の勝点15は、昨シーズンと比べてもじゅうぶん誇れる数字だ。これについて小野剛監督は「選手達が素晴らしい取り組みをしてくれて、自分たちのサッカーを自分たちで築き上げてくれている」と話し、チームの成長に手応えを感じている。数字以上に、積極的なプレッシングをはじまりとしたコレクティブな守備から素早く攻撃に切り替えるスタイルと、最後までハードワークする姿勢が浸透してきたことが大きな収穫で、しかもそうした戦い方を、選手を入れ替えながらでも実践できていることが、チーム全体が底上げされてきたことを物語る。フィジカル的にはかなりのキツさを感じていることも見て取れるが、前節も終盤まで運動量が落ちなかったのは、プレシーズンに5日連続でトレーニングマッチを行い、短いインターバルでの回復を取り入れた成果でもあるだろう。
そうした中ホームに迎えるのは、影山雅永監督体制で5シーズン目を迎えた岡山だ。開幕から3試合勝ちがなくやや出遅れ、また最終ラインに負傷離脱が相次いで苦しい状況になったこともあってなかなか波に乗れていなかったものの、前節、前々節といずれも2得点&完封で連勝して4勝2分4敗と五分の戦績に戻した。DF陣にケガ人が多く、シュート数で相手を上回る試合は少ない、つまり被シュートが多いにも関わらず、失点の少なさはリーグで5番目。相手が枠を捉えきれていない、ということもあろうが、シュートを打たれる場面でもそれだけコースを限定する寄せができていることの表れだろう。
また前節の山形戦では、前々節札幌戦から1トップ2シャドー、さらに左右のワイドなど6人をごっそり入れ替え、しかもそうして起用された妹尾隆佑や今季初先発の清水慎太郎が今季初ゴール、同じく初先発の三村真、田中奏一の両ワイドが左右で起点になるなど、熊本同様、新たにチャンスをつかんだ選手が躍動したことで、チーム全体に勢いが出ているはず。昨日、荒田智之と竹田忠嗣の負傷がリリースされているが、攻撃陣には久保裕一や染矢一樹などキャラクターの際立つ――熊本にとって厄介な――選手が揃っている。なかでも大きな存在感を発揮しているのが、7節の東京V戦から加わった上田康太。札幌戦では加入後初ゴールを決めているが、その推進力や視野の広さを生かした展開力、精度の高い左足のキックなど、攻守において岡山のカギを握っていると言っていい。
熊本としてはやはり、この上田、そして千明聖典の2人のボランチをいかに抑えるかが焦点。ここへのケアを意識しすぎてサイドから中へ引き寄せられすぎると、タッチライン際にスペースを与えてしまいかねないため、アプローチのかけ方とそれに応じたポジションの微調整をしながら、岡山の起点を潰したいところ。同時に、ボールに対して食いついてきた背後を狙うことも常に意識しておきたい。3バックの脇を狙うというセオリーをベースにしつつも、数的優位を作れるポイントを見極め、ボールを前に運ぶアグレッシブさを表現できるか、そのために攻撃時のイメージとタイミングを合わせることができるかがポイントとなる。もう1点、注目点を挙げるとすれば、スコアが動いてから、特にリードしてからの試合の運び方。讃岐、山形、長崎と、リードする展開で全体がやや下がってしまった熊本に対し、岡山は前節の山形戦、2−0として以降も攻める姿勢を失わずに戦った。ゲームの終盤に入れば心理的な変化も生まれるが、そうした面でもチームとしての進化を見せたい。
順位こそ開きがあるが勝点差はわずか1。小野監督と影山監督の師弟対決という側面でも、目が離せない一戦だ。
以上
2014.05.02 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第11節 熊本 vs 岡山】プレビュー:5試合負けなしでホームに帰ってきた熊本が連勝中の岡山を迎える一戦。連戦の後半に向けて弾みをつけることができるのはどちらか。(14.05.02)
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- 2024J2昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off