今季初の連勝をめざした山形の前節は、細部に戦術が宿る岡山にうまく試合を運ばれて前半で2失点。後半はより前がかりに、可能性のあるクロスも何度か上がったが、人数をかけて集中した守りに入った岡山を崩しきれなかった。石崎信弘監督は「なかなかリズムに乗れないまま失点してしまった、最後は与えなくてもいいコーナーキックで失点してしまったというところで、本当に前半の戦い方に問題があったんじゃないかなと思います」と振り返った。
終了間際に追いつかれた京都戦を含めて、ここまで山形が先制した試合は4試合と少ないが、試合の入り自体が悪くないことは序盤15分間の失点ゼロというデータにも表れている。ただし、次の15分間には失点数が4に跳ね上がる。ハイプレスと早い攻守の切り換えというスタイルによって主導権を握ることはできるが、その持続時間は長くないのが現状。前線からのプレスがかからなくなり、ロングボールやカウンターに対応するうちにコンパクトさが失われたり、逆に自陣でプレッシャーを受けることで、連動性が発揮しにくい条件が整ってくる。一方、ビハインドの展開でリスクを冒す場合には馬力を上げた攻撃ができているが、先にリードされた5試合のうち、ドローに持ち込んだのは1試合のみで逆転はない。ならば先制して主導権を握るのが理想だが、ここ5試合の前半のシュート数は2節前の北九州戦を除いて4本以下にとどまっている。
気持ちの強さだけではボールも人も前には進まない。戦術的な裏付けとともに前半をいかに戦うかがテーマとなる今節、「一番気をつけたいのは、この結果が出てないなかで周りに左右されること」と話すのは松岡亮輔。「キャンプからやってきたことを今年はウチのスタイルとしてやろうと決めている。ブレればまたゼロになるという危険性があるので、そこはチーム全員で意識をしっかり保たないといけないと思う」。ホーム連戦のアドバンテージも味方に、最大限の踏ん張りで難局を乗り越える。
開幕から9試合で2分7敗と勝利がなかった富山は、前節・松本戦でついに今季初勝利を飾った。9試合で3得点と得点力に苦しんでいたチームが、0-0で折り返した後半だけで一気の3得点。どれも印象に残る鮮烈なゴールシーンだったが、現在の富山をもっとも象徴するのは苔口卓也、中島翔哉、白崎凌兵が絡んだカウンターからの先制点。白崎が枠に飛ばしたシュートは相手キーパーの手を弾いてクロスバーに跳ね返されたが、これを中島が直接蹴り込んだ。得点を期待されて今季加入した中島は富山での初ゴール。「得点は生まれていなかったが、前節なんかも相手以上に決定機をつくっている。どの試合でも決定機はつくれていたので、(決められなくても)臆病になってシュートを打たなかったり、挑まなくなったりしたら起用しないと伝えていた。しっかり挑み続け、互いにしゃべり続けたから得点になったと思う」と待ち続けた安間貴義監督の辛抱が実った形だ。
守備では、それまでの4-3-3からボランチを2枚置いたことで中盤のスペースを埋めやすくなるプラス効果を生み、秋本倫孝の存在も大きい。ウォーミングアップ中の水谷雄一の負傷で急遽の先発出場となったGK飯田健巳が再三の好セーブで先制を許さなかったことものちの先制につながっている。苔口のゴールで79分に3-0とリードして以降は松本の猛攻を受け、一気に1点差まで詰められた。前々節・大分戦は3失点中、フリーキックとコーナーキックで2失点。前節もロングスローから失点を喫しているが、課題のセットプレーで守りきることも連勝達成には必須となる。
この試合をもっとも楽しみにしていた舩津徹也は左鎖骨骨折で離脱中。古巣・富山との対戦が8月までお預けとなったことは残念だが、低迷が続く両チームだからこそ発散する危機感がこの試合のメインディッシュだ。中央で宮阪政樹、ディエゴでさばきサイドから仕掛けたい山形か。苔口が起点をつくって2列目を生かし、中島翔哉がドリブルで切り裂く富山か。高い気温が予想されるNDスタを舞台に勝敗が決する。
以上
2014.05.02 Reported by 佐藤円
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