昔からサッカー少年にパスの有効性を伝える簡単な言葉がある。
「ボールは汗をかかない」
サッカーにおいて、ボールを10m移動させる場合、ドリブルで持ち運ぶのかパスを使うのか、方法は一つではない。パスは、相手を動かして疲れさせる一方、味方はほとんど疲れる事なくボールを移動させられる便利な武器だ。もちろん、その必要があればドリブルすればいい。サッカーは瞬間ごとに刻々と状況が変化するため、その時々で選手たちが自ら判断してプレーを選ぶ必要がある。そんなとき、疲れずにスピーディーにボールを運ぶ方法として効果的なのがパスである。
前節の仙台戦は、国内では今季二度目の無得点試合を演じたが、この仙台戦を前に小林悠は「そうですね。体は相当キツイですが、頭はドンドン冴えてきている。研ぎ澄まされている」と話している。「体はキツイ」と話しつつも「元々、ぼくなんかは途中出場の試合が多かった選手なので体がきつくても試合に毎試合出れているのは嬉しいですし、本当に1試合1試合、楽しみながらやれています」と充実感を口にする小林は、感覚を研ぎ澄ませ、ミスしないサッカーを追求することの重要性を述べていた。そして小林が感じていたこの感覚が、今の川崎Fには必要である。
連戦の真っ只中にある川崎Fの選手たちに疲労が蓄積しているのは当然のこと。体がきついからこそ、相手をいかにして動かすのか。そのために、相手の逆を取り、相手を動かしてボールを失わずして相手ゴールを陥れる。そのためのパスであり、ドリブルであり、これらのプレーの選択が川崎Fの選手たちには問われている。だからこそ、感覚を研ぎ澄ませ、余計なミスをしないことが求められる。
風間八宏監督は常々、実戦こそが練習だと話してきた。その実戦の舞台を踏み、日々成長してきた選手たちが、この甲府戦でどこまでミスを減らし、マイボールの時間を増やし、相手を動かして相手を押しこめるのか。楽しみな試合である。
とは言え対する甲府は簡単な相手ではない。城福浩監督に率いられた選手たちは、チーム戦術に忠実に戦ってくる。もちろん川崎Fのスカウティングも十分に行われているはずで、どのような試合で苦戦したのかは把握済みのはず。と考えると、ある程度試合の流れが止まっても仕方ない、という厳しい試合を挑んでくる事を想定しておくべきだろう。また前節の徳島戦では、開幕9連敗中の相手に対しシュート19本を放ちながら得点できず。その一方で、わずか2本のシュートの1本をねじ込まれ敗戦する屈辱を味わっている。サッカーは何が起きるかわからないということを、敗戦という結果とともに胸に刻みつけているだけに、簡単な試合にはならないだろう。
そんな甲府の攻撃は、盛田剛平を起点に始まる。盛田は泥臭いプレースタイルながら積極的にポジションを変えてボールを引き出し、起点を作る。また、2列目に控えるクリスティアーノ、河本明人と絡みながら全体の押し上げを待つ。今季栃木から加入のクリスティアーノは、器用さのある点取り屋で、一発を持つだけに警戒が必要であろう。また、左サイドには今季名古屋から加入した阿部翔平が控えており、比較的シンプルにクロスを上げて、前線の高さを活かそうとする。状況に応じては、ボランチのマルキーニョス パラナが攻め上がる重層的な攻撃を見せることもあり、一筋縄ではいかない怖さがある。
昨季の等々力での甲府戦は、ワンチャンスを生かされて先制点を奪われると、粘り強い守備を前に苦しい戦いを余儀なくされた。結果的に同点には追いつけたが、守備意識の高い甲府に対し川崎Fは逆転するまでのパワーは残っていなかった。甲府が徳島に敗れたように、先制されると試合は難しくなる。勝点6差の首位鹿島との勝点差を広げられないようにするためにも、一つずつ勝ち星を積み上げていかなければならない。
選手たちに疲労はあるはずだが、それを言い訳にせず、楽に試合を進めるためにどう戦うべきかを追求してほしいと思う。そのためにもボールに汗をかかせつつ、感覚を極限まで研ぎ澄ませ、頭をフル回転させて戦ってほしいと思う。
以上
2014.05.02 Reported by 江藤高志
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