J1初勝利を引き寄せる原動力となったのは、間違いなく集中した守備。キャプテン斉藤大介が「みんなで集中して体を張ってゼロでいこうと意思統一できていた」と試合後語れば、思い切った攻撃参加から殊勲の決勝点をもぎ取った橋内優也も「自分たちらしい戦いができた」と口にしていたように、念願の白星はチーム本来のベースである粘り強い守備対応を継続したからこそ手に入れることができたと言えよう。徳島は徳島らしさを最後まで失わなかったことで、求め続けた結果へついに辿り着くことができたのである。
しかしそうした前節のゲームにも見過ごせない大きな問題があった。それは、押し込まれるシーンを自分たちで必要以上に作ってしまっていたこと。事実、甲府がフィニッシュの正確性を高め切れなかったことで助けられたが、徳島はトータル19本ものシュートを浴びて多くの時間で失点の危険と隣り合わせになっていた(ちなみに徳島のシュート数は2)。
そしてその原因が、ボールを奪った直後の繋ぎの精度不足にあったのは明らかだ。小林伸二監督も「その後(ボールを取った後)少しボールがテンポよく回ればよかったんですけど、プレーが細かくて広げたりちょっと長いパスが短いパスの中から入らなくてミスをしてしまうところが勿体ないなと」と振り返っていたが、奪取に成功したボールを自らのミスで何度もまたすぐ甲府へ渡してしまったことがそうした状況を招いていた。
それだけに今節は必ずその部分を改善しなければならない。J1で凌ぎを削るハイレベルな猛者たちが付け入るチャンスをみすみす見逃してくれるようなことはほぼ無いのだし、それ以上に、幾ら自分たちらしい粘り強い守備を体現していても余りに絶え間なく攻め続けられるとやはり耐え切るのは難しいのだから。どうしても組織に小さな傷口が開き始め、それらが最後には致命傷にまで至ってしまう。
そう考えればキーマンとなるのはセンターバックであろう。今節はおそらく4バックシステムに戻り、その位置には斉藤と橋内が入るのではないかと予想されるが、自陣で激しく寄せてボールを奪いにいく場面の多い彼らには、局面の争いに勝つだけでなく、そこからの正確かつ効果的な繋ぎが強く求められる。その実践度合いはきっと、チームが前節よりもさらに強くらしさを出し、続けての勝点獲得へ近付けるかどうかの非常に大きなポイントとなるに違いない。
一方、アウェイへ乗り込む仙台としては、改善しても幾つかは発生すると思われる徳島の前記のようなミスを見逃すことなくきっちり得点へ結び付けたいところだろう。ただ、それだけに勝機を頼るようなことは決してないはず。現在3戦ノーゴールとなってはいるが、前節・川崎F戦では太田吉彰らが仕掛けるスピーディーなカウンターなど自らの特徴を出す形で得点の可能性を感じさせていた。仙台の選手たちも、巻き返しへの勢いを纏うためには自分たちらしいやり方で成果を挙げていくことが必要と捉えているであろうだけに、そのような戦いをいっそうハッキリ表現しながら勝利をもぎ取りにくると予想される。
徳島も仙台も、今の厳しい立ち位置から、この一戦で目指すものは勝点3だけ。ドロー決着はいずれにとっても痛いものでしかない。それゆえキックオフと同時に火花散る激闘が繰り広げられるのは必至。
普段は闘志を内に秘める徳島のボランチ・濱田武が「ファン・サポーターの皆さんも待っている今季のホーム初勝利を何としても掴みたい」と珍しく強い意気込みを聞かせてくれたが、果たして自分たちらしさをより強め、今後への足がかりとなる勝点3を手中に収めるのはどちらかか!?注目に値する一戦である。
以上
2014.05.02 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第11節 徳島 vs 仙台】プレビュー:『らしさ』をより強く出せるのはどちらか!?徳島はボール奪取直後の繋ぎに精度を高めることがそのカギ。(14.05.02)
- 2024 明治安田Jリーグ終盤戦特集
- アウォーズ2024
- 2024J1昇格プレーオフ
- 2024J2昇格プレーオフ
- J3・JFL入れ替え戦
- bluelock2024
- 2024JリーグYBCルヴァンカップ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- FIFAワールドカップ26 アジア最終予選 特集ページ
- 2024天皇杯
- 明治安田Jリーグ 月間表彰
- 2024Jユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE
テレビ放送
一覧へ明治安田J1リーグ 第37節
2024年11月30日(土)14:00 Kick off