前節の松本戦でDF木谷公亮が負傷し、守備の組み合わせがどうなるかに注目が集まったが、関田寛士と阿部正紀のセンターバックコンビと、ボランチにヘニキを置く布陣でスタートした。これは松本戦の後半頭から用いられた布陣だが、高さのある2枚のセンターバックの前に、積極的なプレスとボール奪取能力を誇るヘニキを置くことで、中央の守備が安定した。
逆に手を加えてきたのが攻撃陣だ。ダブルボランチの一角を宮沢正史から水野泰輔に代え、2トップもナザリトではなく、難波宏明と遠藤純輝を起用。狙いとしては群馬が3バックでかつ1ボランチのため、ターゲットになる選手よりも裏のスペースやギャップに飛び込める選手を2枚置くことで、ボランチ横のスペースと、3バックの間、脇のスペースを有効活用することにあった。実際に立ち上がりから難波と遠藤が果敢に裏のスペースに飛び出してボールを引き出すと、群馬を守勢に回らせた。

そして32分、難波がラモス瑠偉監督の期待に応える。右FKを得ると、難波や遠藤がゴール前に一気になだれ込む。これに対し、対応が後手に回った群馬は、難波を倒してしまい、PKを献上する。これを難波がしっかりと決めて、岐阜が先制に成功した。その後も岐阜は2トップの動きにうまく連動し、DFラインも高い位置をキープして、群馬を押し込む。
対する群馬は、ボランチの加藤弘堅を起点に攻撃の糸口を見出そうとするが、エース平繁龍一不在の痛手は大きく、アタッカー陣がうまく岐阜の間隙を突き切れなかった。

後半に入って、群馬は反撃に転じてきた。秋葉忠宏監督はリスクを覚悟でDFラインをアップし、前半はアンカーの加藤の位置に吸収されがちだったMF宮崎泰右の位置を高くし、攻撃を厚くした。さらに得意のドリブルを出せなかったFW小林竜樹を下げ、FWダニエル・ロビーニョを投入し、攻撃にテコ入れをしてきた。これに対し、ラモス監督は65分に遠藤に代え、ナザリトを投入。岐阜も攻撃にテコ入れをすることで、決して受け身に回るのではなく、積極的に攻撃を狙うメッセージが込められていた。
双方のベンチが積極的なメッセージをピッチに送り込んだことで、試合は白熱の攻防へと様変わりしていった。

さらに群馬は66分に宮崎に代え、MF青木孝太を、75分にDFクォン・ハンジンに代えて、FW野崎桂太を投入。アンカーの加藤を3バックの右に、FWの永田亮太をアンカーに移し、ロビーニョと野崎の2トップに切り替えた。
前への高い意識を前面に出して攻め込む群馬。それに対し、岐阜は必死で耐える時間が続く。だが、岐阜も耐えるだけでなく、果敢にカウンターを狙う。77分に群馬は左からのセンタリングをDF小柳達司がヘッドで狙うが、ゴール左外。直後の79分には水野のスルーパスに抜け出したナザリトが、GKと1対1になるが、シュートはGKの正面を突く。
お互いが前への意識を見せ合う激しい攻防戦に発展した試合は、アディショナルタイムに群馬がペナルティーエリアで続けて3本のシュートを放つが、いずれも岐阜が身体を張ってブロック。最後は岐阜の気迫が群馬のそれを上回り、タイムアップの時を迎えた。

1点をめぐる白熱の一戦だった。岐阜はホームの意地を見せ、1点を守り抜き、群馬はアウェイの中で最後までゴールを目指した。岐阜はこの勝利を次の東京Ｖ戦（5/3＠国立）につなげなければいけない。また、群馬はこれで5連敗となったが、内容が悪かったわけではないだけに、次の試合（5/3vs千葉＠フクアリ）に向けてしっかりと準備をしてほしい。そう思わせてくれる試合だった。

以上


2014.04.30 Reported by 安藤隆人