浦和がついに負の歴史に終止符を打った。埼玉スタジアムでは横浜FMからずっと白星を挙げられない時間が続いたが、今回ようやく8年ぶりに勝利を収めることができた。
前半から我慢のゲームだった。浦和はボールを回して主導権こそ握ったが、なかなか相手の守備を崩し切れない。横浜FMがブロックを作って守りながら、ダブルボランチが「2シャドーへのパスコースを消すという感じでやった」(小椋祥平)ため、効果的な縦パスをなかなか入れられない。縦パスを強引に入れても、相手には中澤佑二、栗原勇蔵というJリーグ屈指のセンターバックがいるため、最後はそこで潰されてしまう。
一方の横浜FMも見せ場を作ることはできない。高い位置でボールが奪えないため効果的なカウンターを繰り出せず、自陣からの攻撃では相手の守備を崩すほどのクオリティーを示せない。ボールを持っても、スペースに抜ける藤田祥史に向けて可能性の低いボールを入れるか、サイドからクロスを入れて跳ね返されるか。守りは堅いが、攻撃は迫力不足。総失点7、総得点7という前節までの数字を証明するかのような戦いぶりだった。
前半の見せ場といえば、浦和が14分に平川忠亮のクロスから原口元気のヘッドでGK榎本哲也に冷や汗をかかせたシーンと、24分に原口のロングボールに対して飛び出したGK榎本がミスで後逸してしまったシーンくらいだった。
そんな膠着気味の試合が動いたのは56分だった。柏木陽介のCKを李忠成がヘッドで押し込み、浦和が先制。この場面では李がゴール前でフリーになっていたが、それには理由があった。
柏木がCKを蹴る直前、永田充、那須大亮、阿部勇樹、李忠成、原口元気の5人が団子になって動き方を相談。その結果、永田がニアに飛び込んだことで栗原を中央から引き出すことに成功。中央ニア寄りに飛び込んだ阿部や、ファーに逃げた那須の動きなども相手DFの判断を一瞬迷わせることにつながり、ゴール前で李がフリーになることができた。
永田は「たまたまのところもあって想定通りだったとまでは言えない」と苦笑したが、李が「自分のプレーというより、那須さんだったり、阿部ちゃんだったりの潰れがあったからスペースができた」と振り返ったように、チームで奪った1点ということに違いはなかった。
ビハインドを背負った横浜FMは兵藤慎剛に代えて、ターンオーバーで温存していた齋藤学を投入。一方の浦和は興梠慎三を下げて鈴木啓太を入れ守備のバランスを取る形にすると、試合は横浜FMが押し込み、浦和が受け身になる展開へと変わっていった。
ただ、横浜FMは攻撃に勢いがなかった。昨季、あれだけ浦和を困らせた連動性の高い仕掛けが出てこない。中村俊輔を中心とした流動的なポジションチェンジからのパスワーク、タイミングのいいバイタルエリアへの動き出しとパス出しといったハイレベルな仕掛けがほとんど見られず、単調な攻撃を繰り出しては浦和の守備に跳ね返されていた。
最後は栗原や中澤が前線に上がってパワープレーを展開し、ラストプレーでは栗原の落としからゴール前でチャンスを作ったが、浦和の体を張った守備を打ち破ることはできなかった。
浦和にとって、決して会心の内容とは言えない試合だった。「疲れている中でセットプレーで点が取れることはチームとして大きなことだと思うけど、チームとしてやりたいことはできていなかったので、試合内容としては満足していない」と柏木も振り返る。しかし、そんな試合だったからこそ、全員が最後まで走り切って勝利を掴み取れたことの意味は大きい。
以上
2014.04.30 Reported by 神谷正明
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