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【J2:第10節 湘南 vs 京都】レポート:要所を逃さず得点を重ねた湘南が開幕10連勝。京都は最後までゴールを割れず(14.04.30)

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ピッチコンディションの影響は否めなかったろう。選手たちはそれを言い訳にはしないが、序盤から互いに攻めきれない展開が続いた。自らボールを失うことも多く、なかなか攻撃のリズムをつくれない。
ただ、そうした難しい状況のなかで、手にしたセットプレーのチャンスを着実にゴールに結ぶ湘南の戦いぶりには成長が萌す。25分、丸山祐市が放ったフリーキックは壁を越え、GKオ スンフンの手をも掠めてネットに届いた。

京都の大黒将志は言う。
「前半はこちらのほうがボールが回っていたと思うし、内容は悪くはなかったと思います。ただ、セットプレーで決められて流れが悪かった」
リスタートからの得点に加え、時間帯も効果的だった。先制した湘南はさらに前半終了間際、加点に成功する。永木亮太のサイドチェンジを菊池大介が受け、追い越した三竿雄斗のクロスに武富孝介がニアで合わせた。後半開始早々にも自分たちのキックオフからコーナーキックを得、遠藤航がヘッドで力強く仕留めた。46分、まだ笛の余韻すら残る、電光石火の3点目だ。

しかし、彼らの表情が勝者のそれに程遠いのは、やはりその内容にあったろう。たとえば先制ゴールの丸山は語っている。
「全体としてはミスが多かったと思うし、攻撃に関して言えばもっと全員で走ってやらなければいけない。ほかの試合に比べたら攻撃のバリエーションも全然なかったし、シュートも相手より少なかった。もっともっとできたと思います」

3−0となって以降、ことに終盤は京都の時間帯が続いた。大黒が際どいシュートを放ち、石櫃洋祐や駒井善成らもゴールに迫った。対して湘南も、GK秋元陽太をはじめ永木やDF陣がカバーするなどして譲らない。そのままスコアは動かず、ゲームは決着した。

永木の表情は厳しい。「うまく攻撃のリズムを掴めなかったことは自分たちの課題です。今日の反省はすぐに試合があるので活かすしかない。今日はほんとうに悪いところがたくさん出たので、ここでしっかり修正したい」。一方、京都GKオも、「大事なのは次の試合に切り替えて準備していくこと」と、ホームに讃岐を迎える次節を見据えた。

湘南は開幕10連勝を記録した。輝かしい足跡を刻み、「真摯にサッカーに取り組むなかで、よく成長してくれていると思う」と曹貴裁監督も称える一方で、永木の言葉に代表されるように、足元をしかと見つめる彼らがいる。指揮官が引用したオーケストラを例にとるなら、タクトにしがみついて演奏するような段階に彼らはない。自身の目や耳、呼吸を研ぎ澄まし、仲間の音を聴き合いながら、最良の響きを皆で創りあげていく、その過程にある。

曹監督は語る。「彼らの力は僕がいちばん分かっているつもり。彼らの力であれば、もうすこしハーモニーを見たかった」。指揮者を唸らせるほどの、もっと観衆を震わすほどの響きに今後、期待したい。

以上

2014.04.30 Reported by 隈元大吾
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