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【J2:第10節 愛媛 vs 栃木】レポート:苦しみながらも栃木が鬼門の地で初勝利。愛媛はゴールに迫りながらも決定打を打てず(14.04.30)

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ゴールデンウィーク4連戦の2戦目、愛媛は原川力がスタメンに戻った。一方の栃木は赤井秀行が最終ラインに入り、FWには昨季まで愛媛に在籍していた重松健太郎が今季初先発。ともに最小限の入れ替えで試合に臨んだ。
愛媛は雨の天気予報が杞憂に終わり、気温も20度を超えたことで選手たちのコンディションも試合の展開を左右する要素となっていたが、序盤は愛媛の出足がよく、試合のペースを握った。特に、この試合ではサイドのスペースを有効に使ってチャンスを生む。そして中のスペースが空きそうになれば、シャドーの河原和寿や原川力がセンターバックの脇をすり抜けようと動き出す。愛媛が狙いを出して、栃木ゴールを奪うかに思われた。

しかし、先制点は栃木に生まれる。前半25分、1本の縦パスが重松に入ると一気にスピードアップ。パス交換から瀬沼優司が裏へ抜け出すと、GK児玉剛も交わして先制点を奪った。栃木はその後もカウンターで追加点を狙ったが、ゲーム全体を俯瞰すると愛媛がボール支配率を高め、同点を目指す時間帯が長くなっていった。

その中で愛媛はロングボールも織り交ぜた大きな展開から、栃木に揺さぶりをかける。前半32分には左サイドのキムミンジェが突破して代健司のシュートに繋げると、アディショナルタイムに今度は代が右サイドを突破。原川がシュートを放ったが、ゴール左へと逸れてしまった。

そして、愛媛にとって最大のチャンスが後半5分にやってきた。最終ラインからのロングボールに渡辺亮太が競り勝つと、こぼれ球がフリーで待つ河原の足元へ。このシュートはGK榎本達也のファインセーブに阻まれたが、続くコーナーキックから今度は林堂眞が体勢を崩しながらシュート。しかし、今度はポストに当たり、愛媛はゴールを奪うことができなかった。試合は最後まで愛媛がペースを握ったままだったが、得点を奪えずそのままタイムアップ。栃木はJFL時代から通じて、なぜか勝てなかった愛媛の地で初めて勝利を挙げた。

結局、栃木は愛媛のポゼッションに苦しみながらも鋭い攻撃で先制、手堅く逃げ切ったという点では悪いながらも持ち味を出したといえる。阪倉裕二監督は「攻撃に移った時にいい質を出してくれていた」と初先発の重松を評価したが、大久保哲哉や廣瀬浩二とも違うタイプのストライカーが台頭すれば心強い限り。この日は不発のセットプレーも、今後期待したい彼の強みだ。このまま連戦を乗り切るにはベンチワークも含め、前線からの守備をより意識していく必要もありそうだが、何よりも今節は勝って次のホーム(5/3札幌戦@栃木グ)に繋げられたことが大きい。

逆に、愛媛にとってはあと一歩の所で届かなかったゴールが、重苦しい雰囲気も生みかねない。ただ、石丸清隆監督が「思ったよりアタッキングサードにはスムーズにボールを運べた」と振り返ったように、攻撃面ではボールの運び方やフィニッシュに至る過程で前進している姿が見て取れた。あとは石丸監督が続けた「最後のアタッキングサードの問題」に尽きるだろう。精度が簡単に上がらないのであれば、回数を増やすしかない。今節のシュートは10本だったが、それ以外にもよりベターなシュートのタイミングもあった。そこはよりゴールへの意識を研ぎ澄ましていくしかない。残りの2連戦はアウェイ松本戦(5/3@松本)、ホーム磐田戦(5/6@ニンスタ)と強敵との戦いが続くが、その中でも勝点3を奪えないようであれば、残りのシーズンも厳しいものになりかねない。

以上

2014.04.30 Reported by 近藤義博
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