4分間のアディショナルタイムの終わりを告げるホイッスルが鳴る。受け入れがたい現実。受け入れなければいけない現実。勝利の喜びに沸くアウェイゴール裏の光景が、より一層、悔しさと情けなさを際立たせる。レベルファイブスタジアムで初めて喫した福岡ダービーの敗戦。そしてバトルオブ九州3連敗。試合後、サポーターのもとに挨拶に訪れた選手たちにはブーイングが浴びせられた。そんな中、中原秀人は話した。「相手は北九州。負ければああいう風になるのはわかっていた。ファン、サポーターがこういう結果を望んでいなかったことは誰もがわかっていたこと。切り替えてやるしかない」。その言葉には、悔しさを悔しさのまま終わらせないという想いが込められていた。
高い位置からプレスをかけて、アグレッシブにゴールを目指す福岡。バランスの取れた守備ブロックを形成し、鋭いカウンターでゴールを狙う北九州。互いに違う特徴を持つチーム同士の戦いは、福岡で一番強いチームを決める福岡ダービーということもあって激しい戦いが予想されていた。実際、立ち上がりの時間帯は、福岡が縦のポジションチェンジからゴールを脅かし、北九州は、持ち味であるカウンターでゴールに迫るシーンが見られた。それは予想通りの激しい展開を予感させるものだった。
だが、それも10分過ぎまで。その後は北九州の思惑通りに試合が進んでいく。
「相手に構えられてしまった分、動きにくかったというのはあった。後ろでは回せるが、そこからパスが入れづらかったというのがディフェンス陣にはあったと思うし、自分も受け手としてすごく受けづらい状態だった」(石津大介)。
その言葉通り、時間の経過とともに福岡のプレーに窮屈さが感じられるようになり、持ち味である、高い位置でのアグレッシブなプレーが消えていく。福岡のサッカーは攻守に渡って高い位置からアグレッシブに仕掛けることが大前提。そこを封じられることは、攻撃が停滞するだけではなく、守備面でも後手を踏むことを意味した。
前への勢いがなくなった福岡に対し、北九州は思い通りに試合を進める。狙いは両サイドバックの裏のスペース。ここへボールを集めて福岡を下げさせ、プレッシャーのなくなった中盤で自在にボールを回してリズムを刻み、福岡が隙を見せると、すかさず鋭いカウンターを仕掛けてゴールを脅かす。流れは完全に北九州。前半はスコアレスのまま折り返したが、自分たちの特徴をひとつも表現できない福岡と、思い通りにサッカーを展開する北九州との差は明白だった。
このままでは終われない福岡は52分、森村昂太に代えて酒井宣福を投入。平井将生を1トップの位置に、坂田を2列目に、石津を右サイドに移動させて状況の打開を図る。さらに64分には平井の代わりに1トップの位置にプノセバッチを投入した。しかし、北九州が中盤を支配し、両サイドのスペースを有効に使いながらリズムを刻む流れは変わらない。そして72分、北九州はゴール前正面で直接FKのチャンスを得ると、壁に当たってこぼれたボールに冨士祐樹が左足を一閃。混戦の中を抜け出したボールがゴールネットに突き刺さった。
福岡は84分、イ グァンソンを前線に挙げてパワープレーでゴールを目指したが、この日の試合を象徴するかのように、それも徹底できず。最後まで自分たちのリズムでプレーする北九州のゴールを割ることができなかった。
単純な決定機の数ということで言えば、両チームの間に大きな差はなかった。しかし、自分たちのサッカーを展開していたのは紛れもなく北九州。90分間にわたって試合をコントロールし続けて、福岡ダービーで初めてアウェイの地で勝利を掴んだ。勝負を決したのはセットプレーからの1点のみ。しかし、内容は北九州の完勝だった。それは、試合を終えてロッカールームを引き上げる選手たち表情にも表れていた。
そして福岡はバトルオブ九州3連敗。しかもホームで戦った長崎(第7節2−5)、北九州にはともに完敗。言い訳のできない状況に試合後の選手たちの表情は暗い。次節は大分をレベルファイブスタジアムに迎えて今シーズン4度目のバトルオブ九州。その試合で勝つ以外に、この悔しさを晴らす方法はない。
以上
2014.04.30 Reported by 中倉一志
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