GW連戦初戦、京都と愛媛の一戦は互いに決め切れずスコアレスドローで勝点を分け合った。愛媛は、渡辺亮太をトップ、河原和寿、表原玄太を2シャドーに起用。京都は前節と同様、負傷で戦列を離れているアレッサンドロのポジションに有田光希を先発起用した。
試合は、序盤から京都がリズムを握った。10分には駒井善成がドリブルからシュートまで持ち込んだ。12分に愛媛が京都のCKのクリアボールをつないで攻め込んだが、表原が遠目からしか狙えなかったのを見ても京都が流れを掴んでいた。
それを変えたのが14分の愛媛のプレーだ。右サイドで突破を図ると、クロスに対しエリア内にもセンターに渡辺、その裏に河原が詰めるという迫力ある攻撃。京都DF石櫃洋祐がクリアしたが、これで愛媛が落ち着いた。その後はカウンターからチャンスを作る愛媛、ボールを持って攻撃を探る京都という図式になる。
39分には愛媛が左からのクロスに渡辺が飛び出すシーンを作るもオ スンフンがブロック。オ スンフンのプレーは今節、京都の勝点獲得の原動力となった。特に、ファインプレー後の冷静沈着な様子は、味方に落ち着きを与えるのにプラスになったようにも見えた。
京都のビッグプレーは終了間際。工藤浩平のロングパスを愛媛DFがこぼすと、そこには大黒将志。ボールに寄り、振り向きざまにループシュート。その滞空時間にスタジアムは時間が止まった。そしてボールはバーを叩く。
後半は、互いに攻め合う内容に。後半15分に途中出場した三平和司(out有田)がゴール前に飛び出しチャンスを作ると、同28分には愛媛がCKから頭で合わせ京都ゴールに迫る。愛媛は後半17分から途中出場した堀米勇輝(out表原)がシュート3本を放つなど存在感を見せる。そして決定機についても、試合後、京都のバドゥ監督が「大体6回くらいゴールチャンスがあったのでは」と語ったが、その大きなものが後半に集中。後半36分に、カウンターで右サイドから左へと送り最後は中の渡辺。そして44分に右サイドから中へドリブルで仕掛けて京都DFが寄ってきたその背中にボールを送ると、それをまたもや渡辺がシュートと、愛媛が決定機を作った。だが、結局、互いにチャンスを決め切れずスコアレスドロー。勝点1の積み上げにとどまった。
試合後、愛媛の石丸清隆監督は「狙った通り奪えることも多く、その後のカウンターもしっかりできていた」と自信をのぞかせたが、愛媛からするとその通りの内容だろう。京都側から見ると、試合後に石櫃が「相手が全然出てこなかったので、そこをどうするか」と語り、石丸監督が「(守備について)ある程度(スペースを)埋めにいったんですが」と明かし、また「しっかりと誰が残って、誰がマークするというのはある程度明確にできていたのではないか」とした。また愛媛・吉村圭司も試合後「山瀬選手と駒井選手の所へ自由にボールが入らないように自分たちがしっかりラインを作って、入ってきたボールに対して、しっかり狙っていくことを試合前から話していた」と明かしていた。これらを判断しても、愛媛は5バックでスペースを消し、その最終ラインと中盤で守備網を形成、京都は相手最終ラインを破る突破を繰り出せなかったというのが、今節の大きなポイントになる。ただ、この愛媛のやり方は大げさなものではなく、京都がホームで愛媛はアウェイなのだから、当然のやり方だろう。逆に前節、松本はホームだったから高い位置でボールを奪おうとサイドの選手が前に出ていたと感じている。だから3バックのサイドのスペースを使えていたように、個人的には思えた。
この愛媛のやり方に対し京都側の判断は、ロングボールで相手の背後というのが一つあった。前半33分には相手の背後を狙い、それが流れたものの大黒が相手DFに詰めて、それを有田が跳ね返してシュートまで持っていった場面があり、意図と成果がリンクしていた。ハーフタイムコメントを見ると「オーバーラップを効果的に使っていこう」とある。個人的にはこの意見に納得する。その背景には、京都のサッカーが、型にはまってカチッとし過ぎていた感があったということだ。
例えば、練習で、ゴールを置いて3対3のゲームをするとする。ボールを持ったチームの選手は動きまわり走りまわりマークを外そうとするはずだ。ここに、片方のチームに選手を一人加えて4対3にする。4人が優位のはずなのに、余った一人が「俺はパスを出す役」と判断して3人がマークを外すのを見計らっていれば、それは3対3とそう変化はないだろう。役割を自分で決めて、それを破ろうとしない、そんなカチッとした固定観念にとらわれていた印象だ。ワイドの位置には石櫃と比嘉祐介、最前線に大黒、パスを出す役に工藤。他の選手は「愛媛守備網の中で」動きまわり、攻撃ではセンターバックは関わらない(一度バヤリッツァが仕掛けたが)。どこか、カチッとした印象だった。そんな役割を破って欲しかったというのが正直なところ。役割を破って、相手の背後に飛び出していく、「オーバーラップ」にはそんなイメージを持っている。
そのためには、石櫃が前に言っていた「サポートをしないと」ということになる。サポートのためには動かないといけない。動いて、役割を破って大胆にプレーする、それがハーフタイムコメントにもあった「動きの量、アイデアをもっと増やしていこう」にもつながるのではないか。
とは書き連ねつつも、個人的には全く悲観していない。西京極では相手は守ってくるのは当然で、それをどう崩すかは必ず出てくる話だ。それを選手全員が実感できたのは大きいのではないか。そして次は中2日で迎える湘南戦。楽しみである。湘南もカウンターを主体とする。プレビューにバイエルンの話を出したのは湘南がドルトムントを標榜しているから。紙幅の都合で書けないが、湘南もスペースを使う飛び出しをしてくる。それに京都の選手が何を感じるか、それも楽しみにしたい。ただし、相手のカウンターに尻込みするようならそれは、残念の一言になる。
以上
2014.04.27 Reported by 武田賢宗
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