ボールを保持できてもショートパスを多用しながらの攻めが思うように得点に結びつかないことから、千葉は前節から相手の背後を突くことをより重視した攻撃にシフトした。そして、今節はその形を作りやすくするため、前節はスタメンから外れたケンペス、そして田中佑昌の2トップにシステムを変更。また、右サイドバックには前節でミスが目立った天野貴史や竹内彬ではなくキム ヒョヌンを起用した。一方、讃岐は前節での3バックとそこに入る選手はそのままに、北野誠監督の話によるとケンペスの動き方への戦術的な対応で3バックの3人の位置を変更した。また、我那覇和樹の負傷欠場もあってか前線は3トップ気味で頂点に入ったのは前節は出場なしのアンドレア。3トップ気味の左サイドに前節はスタメンだった高木和正と同様にプレースキッカーを務める綱田大志が入った。
立ち上がりは、システムやスタメンは試合によって変更しながらも、前からの激しいプレスと縦に速い攻撃というスタイルは昨季から変わらない讃岐がペースをつかんだ。ボールを奪うとスペースにパスを出し、ドリブル突破を交えてゴールを狙う。12分のFK、13分のCKはキッカーの綱田が入れたボールに藤井航大がヘディングで合わせ、12分はクロスバー直撃の決定機で、13分はクロスバーの上。さらに、29分にはソン ハンキの距離の長いFKからの流れで山本翔平が決定的なシュートを打つなど、千葉ゴールに迫った。
千葉は細かいボールコントロールのミスと、「細かいタイミングのズレ」(谷澤達也)で連係ミスが多く、18分は中村太亮のクロスから、19分は井出遥也のパスからケンペスがヘディングシュートも精度を欠いた。だが、35分、兵働昭弘の長めの浮き球のパスをタッチラインのそばで受けた中村は、タッチライン際の突破ではなく切り返して中への仕掛けからクロス。ケンペスが讃岐の小澤雄希と競って潰れた背後に入った谷澤達也が、ソン ハンキのヘディングが届かなかったボールをダイレクトでシュートして先制点を奪った。
試合の流れをつかみながらも先制点を奪えず、千葉にワンチャンスでゴールを許した讃岐は56分、FK後の流れからアンドレアが決定的なシュートを放つが千葉のGK岡本昌弘が好セーブ。63分、64分には千葉に決定機を作られるが体を張ってしのぐと、65分、小澤のスローインを受けた交代出場の高橋泰が前線へタイミングよくパス。これを受けたアンドレアは千葉の大岩一貴と競り合いながらもドリブルで仕掛け、うまくゴール右隅にシュートを決める。アンドレアの今季初得点で讃岐は前節に続いて同点に追いついた。
昨季のJ2リーグ第16節長崎戦はロングスローからの流れで2失点したように、自分たちのものも相手のものもスローイン時は集中力が切れやすい千葉には本当にイージーなミスの失点。その後は勝ち越しを狙って何度もCKを取り、山口智の2度のヘディングシュートなど後半はセットプレーからのチャンスが多かった。だが、90+3分の流れの中からの谷澤のシュートはクロスバー直撃と、最後までフィニッシュの精度不足が目立った。
讃岐も初勝利を目指して攻めてはいたが、アンドレアの同点ゴール後は千葉の勢いに押される形で攻撃の形を作れず、シュートまでいけなかった。それでも2試合連続で同点に持ちこんだことに森田耕一郎は「今までもなかったわけではないけど、チームとしてシンプルに最後まであきらめない気持ちが出てきたというか、このままでは終わらないという感じで粘ってしぶとくなった。そこはチームとして成長している点だと思います」と話した。
千葉は前節同様に、いや前節よりもチャンスを作れていただけに前節以上に『2点目』が取れなかったことが響いた。だが、背後を突く狙いがあってもそれ一辺倒で単調になるのではなく、45+1分の谷澤と佐藤勇人のコンビネーションからのクロスで作った得点機のように、選手がバランスよく動いて仕掛ける多彩な攻撃がやはり勝利には必要だ。
以上
2014.04.27 Reported by 赤沼圭子
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