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【J1:第9節 清水 vs 仙台】レポート:清水が公式戦5連続完封で、7年ぶりのリーグ4連勝。内容では仙台が上回る時間もあったが“勝ち切る力”で明暗が(14.04.27)

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「毎回つねに美しいサッカーができるわけではありません。ただ、今日のような戦い方の中でも勝ち方を見つけられるようになってきたことは、本当に大きいと思います」
試合後に清水のゴトビ監督が語った言葉が、この勝利の意味をもっとも短く、的確に表現していた。

新たなエース・長沢駿を右膝前十字靭帯断裂で欠いた中でホーム連勝を目指す清水は、長沢の代わりに高木俊幸をトップ下に入れ、ノヴァコヴィッチをトップに上げるという変更を加えたが、その他は前節までとまったく同じスタメン。対する仙台は、前日の負傷の具合が思わしくなかった鎌田次郎が、キックオフ直前で出場を回避し、急きょメンバーを変更。ケガから復帰したボランチの角田誠をセンターバックに、2列目の梁勇基をボランチに下げ、左MFとして佐々木勇人を先発させてアイスタのピッチに臨んだ。
「清水の好調さやアウェイでの戦いというところで、守備から入ろうと確認してゲームに入りました」(渡邉晋監督)という仙台のゲームプランもあって、立ち上がりは比較的静かなスタート。最近の試合では、そこから清水が徐々に攻撃のリズムを上げて、主導権を握っていくという流れになっていたが、今節はそれが思うようにできなかった。仙台が攻撃陣もいったん引いてコンパクトな守備ブロックを構築する中、清水は前線に効果的なパスを入れることができず、深い位置までボールを運んでクロスを入れることもできず、なかなかシュートまでいけない状態が続く。選手個々のアクションが少なく、ミスも多く、そこから仙台のカウンターを食らう場面も目立った。DFラインからパスの出しどころが見つからず、やむなくロングボールを蹴っても、長沢不在で前線の高さは半減しているため、そのセカンドボールを拾って起点を作ることもできなかった。
一方、仙台のほうも、相手のミスを突いたカウンターだけでなく、自分たちがボールを持てるときはしっかりパスをつないでゲームメイクを試みたが、そこから良い形を作れる場面は少なかった。だが、30分を過ぎたあたりから右MFの太田吉彰が斜めに走って裏に飛び出すパターンで徐々に活路を見出し、清水ゴールに迫る場面を増やしていった。カウンターやセットプレーも含めて、前半は明らかに仙台のペースで試合が進み、チャンスの数も多かったが、そこで決めきれないことが、今の仙台がもっとも苦しんでいる部分だ。

それでも仙台としては、「後半、相手も少し落ちるところで仕掛けていく」(渡邉監督)という後半勝負のプランもあった。だが、ハーフタイムでゴトビ監督に激しく檄を飛ばされた清水の選手たちは、全体的に動きのギアを一段上げ、攻守に前への意識を高めて、後半のキックオフ直後から攻勢に出る。前半の途中から河井陽介をトップ下、高木俊を右ウィングに変更した形も機能し始め、立ち上がりから相手ゴールに迫る場面は前半よりも増えていった。
そうして清水が流れをつかみ始めてきた後半18分、左センターバックのカルフィン ヨン ア ピンが攻撃参加して深い位置から左クロスを入れ、それをファーサイドの高木俊が1タッチで折り返し、ゴール前でフリーになっていた河井が豪快なシュートを決め、ついに清水が均衡を破る先制点を決めた。それまで清水は、長沢を欠く中で空中戦に強い仙台のDFラインをなかなか攻略できずにいたが、この場面では一山越してファーサイドからの折り返しを狙ったことによって、高木俊、河井という高さのないコンビでゴールを奪うことに成功。「練習通りファーで待っていたらボールが来たので、練習通りフリーで待っていた河井君に落とした」(高木俊)という、まさに練習の成果が表われた貴重な決勝点となった。

その後も、清水が受け身になることなくゲームをコントロールし続けたのは、最近の試合でもっとも進化している部分。何とか1点返そうと反撃に出る仙台のクロスやロングボールを、ゴトビ監督が「この試合のMVP」と称えた平岡康裕を中心に跳ね返し続け、そのセカンドボールから村田和哉(後半35分〜)のスピードを生かしたカウンターで追加点のチャンスも作った。ヒヤリとする場面も何度かあったが、そこは仙台の決定力不足にも助けられ、最後まで落ち着いて守り切って公式戦5試合連続の完封を実現。清水にとっては7年ぶりのリーグ戦4連勝を、すべて無失点で手にした。
逆に仙台のほうは、2試合連続の無得点。サッカー自体はけっして悪い内容ではなかったが、「良い流れの時間帯で点が取れないというのがずっと続いている。でも、そこで一発入れば変わると思うので、やり続けていくしかないと思います」(太田)という見方は、客観的に見ても同じ印象だ。おそらく仙台サポーターも、チームと選手を信じて辛抱強く見守ってくれることだろう。

一般的に、タイトルを獲れるチームになるには、内容が悪い日でも勝ち切れる力が必要だと言われる。その意味では、この試合で清水は良い兆候を見せた。ただ、それでもシュート数が90分でわずか3本(前半1本、後半2本)というのは少なすぎる。次の鹿島戦からリーグ中断までの5試合は、上位陣や難敵との試合が続く。清水の真価が問われるのは、ここからの3週間だ。

以上

2014.04.27 Reported by 前島芳雄
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