讃岐のメインスタジアム:香川県立丸亀競技場脇の遊歩道は八重桜が満開となっていた。
“サクラサク”。讃岐もこの八重桜のように艶やかな花を咲かせることが出来るだろうか−。
前節の熊本戦で1−4と完敗し、開幕7連敗という1999年に甲府が記録したJ2ワーストタイという不名誉な記録に並んだ讃岐。ホームに迎えるのは前の長崎戦で2−5の大敗を喫した福岡だ。失いかけた自信とサポーターの信頼を取り戻すため、どちらにとっても負けられない戦いの火蓋は切られた。
讃岐は現状を打破すべく3−4−2−1の布陣に変更。メンバーも若干入れ替え、西野泰正が今季初めて本来のポジションであるフォワードで4試合ぶりのスタメン出場。関原凌河も初の先発となった。一方、福岡もゴールキーパーに4試合ぶりの先発となる清水圭介、ボランチが同じく4試合ぶりのスタメン武田英二郎、そして中盤に開幕戦以来となる森村昂太が入る。
試合開始3分、ファーストシュートを放ったのは坂田大輔。讃岐に前節の悪夢がよみがえる。が、ポストが福岡の先制を防いでくれた。続いてのシュートはその3分後、今度は讃岐の番だ。高木和正のCKに持留新作が合わせてきた。堤俊輔のディフェンスに阻まれるも、讃岐のトレーニングの成果が垣間見えるトリッキーなプレーだった。その後、福岡のボール占有率が高まり流れは徐々に福岡へ。均衡が破られたのは35分、城後寿のシュートだった。讃岐のディフェンス陣2人が追うも今季3得点目を決められてしまう。武田有祐は「あれは裏一本でやられてしまった。うちの初歩的なミス。もっと厳しくやらないといけなかった」と悔やむ。讃岐は39分、疲れの見え始めた我那覇和樹に代え、スピードのあるアランを投入するも得点には至らず前半終了。前半を見る限り、讃岐の勝点がまた少し遠のいたかのように思えた。
しかし後半、主導権を握ったのは讃岐だった。後半開始1分も経たずして持留がシュートを放つ。その後も、藤井航大、西野が立て続けに惜しいシュート。福岡は前半とチームが違ってしまったかのように運動量が落ち、連係も崩れてきた。逆に讃岐は西野や持留を起点にゴールへと向かい、後半終盤、福岡は防戦一方の戦いを強いられてしまう。チャンスをものにしたのは途中出場の福家勇輝。4試合ぶりのベンチ入り、6試合ぶりのリーグ戦出場を果たした福家は86分、得意の左45度まで自身のドリブルで持ち込みシュート。ゴールネットを揺らす。「あれはイメージ通りだった」と福家。地元出身の大卒ルーキー・福家のゴールに讃岐サポーターは大興奮だ。「今までチャンスを貰っても決められてなかったので次にチャンスを貰えたら決めたいとずっと思っていた」と本人も喜びを噛みしめる。全く足の止まってしまった福岡を相手に、讃岐はその後も果敢にゴールを狙うが決めきれず試合終了。福家の記念すべきJ初ゴールは、讃岐の記念すべき初の勝点へとつながった。
後半の内容は完全に讃岐が圧倒していた。北野監督が「後半はひとつラインを落としスペースを空けるというところでアランと福家というスピードのある選手を入れ、そこが上手く機能した」というように讃岐の戦略がゲームにはまったというところもあるだろう。が、それ以上に福岡が自滅してしまった感が否めない。坂田大輔は自分たちの後半のパフォーマンスについて「同点に追いつこうと前から来ている相手の迫力に多少引いてしまったかもしれない。相手のプレッシャーで周りが見えなくなって焦った部分もあった」と肩を落とす。
讃岐はこの1週間、勝つためのトレーニングに時間を費やしてきた。前線でのプレス、縦への推進力、チームが一つになること。技術的なこと以上に、チームが一つになるというトレーニングが勝点1を呼び寄せた。具体的な内容については、また別の機会に詳しく紹介したいと思うが、北野監督が選手間の会話を増やすための策を取ったのだ。ゴールを決めた福家は「木島さん(良輔)に仕掛けの部分、思い切りの良さがなくなっているとアドバイスをもらい、そこを練習からやってメンバーに入れた。翔平さん(山本)にも自分の良さを出しつつ人とのコンビネーションとかをアドバイスしてもらった」と感謝を口にする。ベンチ入りの選手もそうでない選手もチームが一つになったからこそ勝点1を呼び込むことが出来たのだ。この価値ある引き分けという結果をステップとして、よりチームが一つとなり、次は勝点3を手にして欲しい。
“いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな”
今日、丸亀で讃岐は確かに一段と美しく咲いていた。
以上
2014.04.21 Reported by 中條さくら(オフィスひやあつ)
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