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【J1:第8節 鹿島 vs 神戸】レポート:電光石火の逆転劇!神戸が暫定ながらもクラブ史上初の首位に立つ!(14.04.20)

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試合前、カシマスタジアムは特別な雰囲気に包まれていた。選手紹介の締めくくりに聞き慣れた声が響く。
「今日も頼むぜ!勝利の原動力、NO.12!アントラーズサポーター!」
それは、21年間カシマスタジアムのスタジアムDJとして活躍し、先日、急逝されたダニー石尾さんの声だった。サポーターがその声を応える。ゴール裏から一糸乱れぬ声援を選手に送ると、アントラーズの選手たちはキックオフ直後から勢いよく飛び出した。
7分には早々に遠藤康が先制点を奪い、なおも連続して神戸のゴールへと襲いかかる。一体いくつのゴールが生まれるか、と思えるほど、遠藤を中心にした右サイドの攻撃は多彩であり、土居聖真のドリブルや柴崎岳の攻撃参加に、神戸の守備陣は翻弄されるばかりだった。

しかし、決めるべきときに決めておかなければ、そのツケがあとになって必ず巡ってくるのがサッカーの怖いところ。両チーム1点ずつを加えて2-1となっていた65分、FKを増川隆洋と競り合った青木剛が、ジャンプしながらバランスを崩したときに左手でボールを弾いてしまう。これがハンドの判定となり神戸にPKが与えられ、さらに前半で1枚警告を受けていた青木は、2枚目のカードを受けて退場。このPKをマルキーニョスがしっかりと決め、67分に神戸が同点に追いつき、さらに1人多い有利な状況となるのだった。

センターバックの一角を欠いた鹿島は、山本脩斗が左センターバックに入り、左サイドバックには柴崎岳が移って4バックを維持する。しかし、一度変わった試合の流れを急造バックラインでは押しとどめられない。同点弾からわずか2分後、マルキーニョスのクロスに小川慶治郎が飛び込み、神戸があっという間に逆転に成功して試合をひっくり返した。
交代が遅れてしまったことも鹿島にとっては痛かった。退場処分が下されたあと、すぐに山村和也が呼ばれたが、その前にルイス・アルベルトと小笠原満男を交代させようとしていたトニーニョ セレーゾ監督に迷いが生じ、山村がピッチに入ったとき、時計は70分まで進んでしまっていた。
「ボールスピードの方が僕の判断スピードよりも速かった」
セレーゾ監督も時間がかかったことを認めていた。

ダニー石尾さんへの追悼以外にも、この日の試合は2位と3位の直接対決。1位の広島の試合が日曜開催のため、勝ったチームは一時的に首位に立てる試合だった。しかし、鹿島としては痛恨の逆転負けで今季3敗目。その全てをホームで喫しており、前節新潟戦からの流れを止めることができなかった。青木剛を欠いた最終ラインをまとめきれなかった昌子源は、「人生で一番悔しい。広島の優勝を見たのと、この試合は一番悔しい」と涙を飲んだ。
勝利した神戸は、実に15年ぶりに鹿島とのアウェイ戦で勝利。2012年の開幕戦後を除くと、97年のJ1初昇格からクラブ史上初めて、暫定的ながらも首位に立った。

以上

2014.04.20 Reported by 田中滋
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