試合が動いたのは残り10分間のことだった。83分の右コーナーキックからの展開。MF遠藤保仁が放ったキックは一旦、大宮DFにニアサイドでクリアされたものの、そのボールを再び拾ったMF遠藤がMF二川孝広へパス。それを受けたMF二川のクロスに、ファーサイドにいたDF丹羽大輝が右足のアウトサイドで合わせ先制点を奪い取る。
後半に入り攻勢に試合を進めていたG大阪が、再三にわたるゴールチャンスをようやく得点に結びつけた先制点。これでG大阪の攻撃がより加速するかと思われたが、大宮も負けていない。その4分後の87分にはDF今井智基がゴール前にクロスを供給すると、ゴールマウスから飛び出したGK東口順昭の手前でDF菊地光将が頭で合わせ、すぐさま同点に追いつく。
「出られるという判断で出たんですが、思ったより伸びてこなくて。『キーパー!』と自分で声を出していたので無理矢理出た感じなんですけど…。風は確かに読みづらかったところはあったとはいえ、僕の判断ミスだと思います」とはGK東口の試合後のコメントだが、G大阪としては先制したのも束の間、嫌な形でゴールをこじ開けられ、重い空気がのしかかる。
だが「今日は前半戦の分岐点になる試合だと思っていた。引き分けでは意味がない。勝つことがチームのカンフル剤になると思っていた」とのDF丹羽の言葉通り、G大阪の足も、気持ちも止まらない。その直後には粘り強く、ゴール前にボールを運び、ゴール前の混戦からMF倉田秋がMF遠藤へパス。受けたMF遠藤が、左側でフリーになっていたMF今野泰幸にボールを送ると、1トラップから豪快に左足を振り抜く。ボールは相手DFに当たってコースがやや変わり、ゴールネットに突き刺さる。この日はベンチスタートとなり、しかも守備固めのために投入された直後に失点を喫したこともあって、その責任感の強さから試合中も大きなプレッシャーを背負い続けていたDF今野。その重圧を自ら振り払うように放った一発は、この日の彼だけではなく、苦しみ続けたチームを救う値千金のゴールとなった。
終わってみれば、前半は大宮のゲーム、後半はG大阪のゲームといった印象。前半は大宮が、G大阪の攻撃の軸であり、この日はボランチでスタートしたMF遠藤を封じ込めることを徹底しつつ、サイドチェンジを効果的に織りまぜながら攻撃に勢いを見せたことでペースを握ったが、後半は一転。大宮の足が止まったこともあってだろう。また、MF倉田を投入してからは特に、G大阪が相手選手の間をうまく突いてパスを繋ぐ、テンポある攻撃を展開。その中で2ゴールをたたき出した。
つまり、それぞれが勢いを見せた時間帯に、ゴールを奪えたか、奪えなかったかの差が試合の明暗を分けたこの日の一戦。もっとも、今季のJ1リーグのホーム戦ではまだ1度も白星を挙げられていなかったG大阪が最後の最後まで見せ続けた『勝利』に対する執念が、待望の白星を引き寄せたことも間違いないが。
以上
2014.04.20 Reported by 高村美砂
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