スペインのバルセロナが国王杯の決勝でレアル・マドリードに敗れ、11年ぶりに公式戦3連敗となったことが大きなニュースになっているようだが、甲府も公式戦3連敗中で乗り込んでくる名古屋はリーグ戦3連敗中と、ごり押せばバルセロナと似た境遇。置かれた立場はだいぶん違うし、甲府はプロビンチアの星となってJ1に定着することが目標なのでリーグ戦で連敗したくらいでは何も揺るがない。「バルサ無冠危機(スポーツ新聞の見出し)」なんていつかは言われるようになりたいが、今は去年から継続している3−4−2−1で攻守の細部を見直して堅い守備、決定機を増やす攻撃を取り戻したい。
水曜日のヤマザキナビスコカップでは去年と今年加入した大卒ルーキーを中心とする若い選手がそれぞれの能力でアグレッシブさを発揮してくれた。ゴールはなかったが、ここ3試合無得点と悩み大きい攻撃に躍動感をもたらせた。城福浩監督は各々がアグレッシブさを出した点は評価しながらも、「我々は勝点ゼロを取りに行ったわけではない。あれで満足する人間がいればこのチームは危ない」と危機感を強調する。リーグ戦で出せなかったものを出せるところにカップ戦の面白みがあるが、リーグ戦に戻れば別の難しさが待っている。DFの青山直晃は、「ここまでの失点は力の無さの失点。しょうがないという失点は1点もなかった。原因は自分たちにある」と正面から受け止めている。そして、昨年終盤の”守備の堅い甲府”とまったく同じやり方をしているわけではないことも示唆する。選手の配置は同じでもディフェンスラインからのボールの回し方には関わる選手を1枚減らして前に人数をかけるトライも行っている。
また、盛田剛平をワントップに据える場合とクリスティアーノのそれではサポートのやり方も変わってくるのでビルドアップにも影響してくる。攻撃では各選手の特徴を活かすための判断をチームとして出来なければ、ボールを失ったときにすぐに奪い返すのかブロックを作るのかなどの判断にも悪影響が出やすくなる。全体としての印象は悪くないのに勝てないという難しい状況下では、細部の差が大きな差になるのだろう。攻撃では、クリスティアーノが相手ゴール前でスーパーなプレーができる選手であることは証明しているが、強烈な突破力が武器のパトリック(昨年後半のエース)とは違って、出来ることが多い選手なだけに複雑になっている面はある。クリスティアーノを活かすために盛田のワントップもあるし、サイドからの崩しもある。このバランスや判断でもチームとしてブレるわけにはいかない。今節は各々のアグレッシブさを出しつつこれらの課題を乗り越えたい。
ケガ人が多く台所事情の苦しい名古屋は、永井謙佑の出場停止も加わるのでケネディの隣に誰が立つのだろうか。監督が変わり、チームが若返るサイクルにいるのだと思うが、だからと言って中位以下にいても許されるチームではない。クラブの規模や環境を考えれば勝ちながら変わることを求められる。今週はヤマザキナビスコカップの試合がなかった名古屋なので、バスで約10時間かけて新潟往復した甲府よりコンディション面では確実に有利でもある。ここで連敗を止めなければというプレッシャーもあるだろう。広島(2−5●)、浦和(1−2●)と同じスタートポジションのチームに連敗し、次も同じスタートポジションの甲府。やり方はだいぶん違うので、やり難さとやり易さが違ってくるはず。ただ、お互いに負けられないのでガッチリ組み合う渋い展開が予想される。甲府が受けに回ればこれまでと同じ。各々のアグレッシブな面をチーム力にどう変えていけるのかがポイントになりそうだ。
以上
2014.04.18 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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