勝ち切れない試合が続く。第7節を終えた時点で柏は2勝4分1敗、ヤマザキナビスコカップを合わせると公式戦10戦中6試合がドローゲームである。
この状況を打破するカギは、まず第5節大宮戦のトラウマを払拭できるかにあると見ている。75分まで完璧な試合運びで2−0とリードしながら、終盤のパワープレーによってわずか数分で2失点を喫し、内容に見合わない引き分けを演じてしまったことによって、チームは極端な守備偏重の意識が芽生えた。その後の試合では、途中からラインが後退し、逆に相手に主導権を渡してしまう展開に陥っている。前節の川崎F戦は、まさにその典型的な試合だった。
ラインが下がり過ぎ、工藤壮人、田中順也らアタッカーへの守備のタスクが増えることで、今度は攻守が切り替わった際には前に出ていく推進力が失われる。しかし、引いて守備に人数は割いているのだが、反面「集中に欠け、失点してしまっている」とネルシーニョ監督が振り返るように、守備に人数を割いても守り切れない現状があり、しかも奪ったボールを丁寧につないでいくのではなく、その場しのぎのクリアで相手にボールを渡してしまう。そんな悪循環が勝ち切れない原因のひとつでもある。
ただし、ヤマザキナビスコカップの大宮戦は、幾分その課題は解消傾向にあり、工藤も田中も川崎F戦に比べれば攻撃に行ける時間帯が増えた。「後ろ5枚とボランチ2枚でどっしりと構えていれば、前線の3人は前に残れる。必要以上に守ることはない。そこはトライしていくべき」と大谷秀和も話しているが、守備偏重にならずに攻撃に出ていく勇気を持てるか。後方の選手は前線の選手に際どい縦パスを付けられるか。もちろん時間帯に応じて戦い方は変わってくるだろうが、柏が引き分け続きの現状から脱するためのカギは、戦術云々、メンタル面に大きなポイントがあるのではないだろうか。
レアンドロ ドミンゲスを諸事情により欠くものの、工藤、田中、レアンドロの3人のアタッカーはハイレベル。事実、各試合ではチャンスを作れている。あとはネルシーニョ監督の言葉通り、「訪れたチャンスで確実に決め切ること」が必要だ。
対する横浜FMは、15日(火)にAFCチャンピオンズリーグを戦い、全北現代の激しいプレスに苦しめられながらも、齋藤学のスーパーゴールを含む2得点で見事な逆転勝ちを収めた。アジアを代表する列強相手の勝利は、前節仙台戦の敗戦の悪い流れを断ち切るとともに、今節のリーグ戦、そして来週のACLグループステージ最終節に挑むチームに俄然勢いを与えた。
ACLでの海外クラブとの対戦は想像以上のエネルギーを要する。中でもアジアの戦いを並行して厄介なのは目に見えたフィジカル的な疲労よりも、目に見えないメンタル的な疲労である。肉体的な疲労は感じていないのだが、最大限まで集中力を研ぎ澄ませて戦ったACLの激闘がリバウンドし、判断の部分で微妙な遅れやミスが生じてしまう。昨年の柏はACL準決勝まで進んだことで、そのメンタル的な疲労には相当苦しめられた。
横浜FMは来週22日(火)にもアウェイで広州恒大との大一番を控えているため、そこに向けて再び莫大なエネルギーを必要とされる。張り詰めた緊張感の続く休めない状態、それが引き起こすメンタル的な疲労を選手たちが強い気力を持ってどうカバーするのか。
柏と横浜FMは、置かれている立場は違うとはいえ、両者とも本来の実力を発揮し、勝利を手にするためには、選手たちの強いメンタリティーが問われる一戦になりそうだ。ただ、それさえ発揮できれば、高い実力を持っている両者の激突だけに、昨季第10節の対戦のように、ハイクオリティーの試合が見られることは間違いない。
以上
2014.04.18 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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