「どんな試合でも、負けていい試合はない」
ヤマザキナビスコカップ初戦となる予選リーグ第２節を前に語った尹晶煥監督の言葉である（鳥栖は、第１節に試合が組まれていなかった）。その負けてはならない予選リーグ第２節・鹿島戦では、逆転負けを喫してしまった。今季は、「なにかタイトルを取る」（尹監督）と宣言してシーズンに入っただけに、ヤマザキナビスコカップで早く勝利をあげたいと思っているのは、選手たちだけでなくサポーターとて同じである。試合に勝つのは当たり前。今季の鳥栖は、その勝ち方にもこだわって戦っている。

それは、Ｇ大阪も同じだろう。ここまで予選リーグ２試合で１勝１敗。第１節こそ、リンスのゴールなどで神戸に勝利したが、第２節は０−１で清水に敗れてしまった。予選リーグを突破するためには、もう負けられない状況である。ましてや、リーグ戦第５節では鳥栖にいいところなく０−２で敗れている。なんとしてもこの屈辱を晴らしたい。鳥栖のプレスを受ける前にパスで崩して攻めたいところ。

とはいえ、置かれてる状況だけでは語れないのがヤマザキナビスコカップ。今節は、リーグ戦の間のウィークデーに行われるだけに、コンディションなど調整するのが非常に難しい。日ごろのトレーニングとベンチワークが求められることは間違いない。

それぞれのヤマザキナビスコカップ前節を見ると、鳥栖は大幅にメンバーを入れ替え、Ｇ大阪はリーグ戦のメンバーを主体に試合の流れを見ながら選手を起用している。今節も同様の戦い方になると思われる。鳥栖は、ここに来てケガ人が多く出ていることもあり、大幅なメンバー入れ替えが予想される。発表されているだけでも、GK奥田達朗、センターバック菊地直哉、呂成海、そしてリーグ戦第7節の監督会見で明らかになったGK林彰洋、DF安田理大、丹羽竜平などの回復具合も気になるところ。JFA・Ｊリーグ特別指定選手のFW山崎凌吾、MF福田晃斗も含めて総力戦の様相を見せている。
Ｇ大阪も、リーグ戦第７節では大阪ダービーでＣ大阪と壮烈な試合を行った。敗れはしなかったが勝つこともできなかった。大観衆の前でいつも以上に緊迫した試合を行っただけに、疲労は相当なものだろう。しかも、中３日でのアウェイ戦ということもあり、決して十分な準備ができたとは言えない状況である。両者とも、ベストな状態でないことだけはわかる。

そんな中で、「やることはいつもと変わらない」と尹監督は言う。これは、長谷川健太監督(Ｇ大阪)も同じであろう。
鳥栖は、できるだけDFラインを上げてＧ大阪にプレスを掛けて行きたいし、Ｇ大阪はそのプレスを受ける前にボールを動かし、鳥栖のDFをできるだけ下げて戦いたい。選手交代が３枠なのは、リーグ戦と同じ。90分を戦う中で、思惑通りに試合を運ぶとなれば、先発メンバー選びが重要となってくる。
鳥栖のサッカーは体力を求められるため、大幅なメンバー入れ替えは間違いないだろう。若いセンターバック坂井達弥、MF崔誠根、FW山崎凌吾らセンターラインに入るであろう選手たちが、冷静にＧ大阪のパス回しに対応できるのかを注目しておきたい。
Ｇ大阪もどれだけ効率よく前線のリンスや佐藤晃大らにボールを集めることができるのかにかかっている。鳥栖のハイプレスがどれだけＧ大阪にかかるのか、それをＧ大阪が交わしながら鳥栖のDF裏にボールを送ることができるのか、90分の攻防が楽しみである。

そして、情報をもう１つ。
平日開催ということもあり、今節は後半より半額チケットが販売される。販売時間は前半終了時（19:45頃）からで、仕事帰りなどでも楽しむことができる。勝利の瞬間をその目で確かめ、選手とともに歓喜することができるわけで、サポーターには何ともありがたい企画である。ほかに、通常価格４０００円のチケットが２人で１０００円で観戦できるお得な「体感ペアチケット」の販売も。いつもとは違う雰囲気で、リーグ戦とは違う醍醐味を感じてほしい。キックオフは19時である。

勝つために試合を行い、シュートを打つためにプレーを続ける。ゴールはその過程の結果であり、勝敗は１試合を通しての実力である。目の前に転がってきたボールを無視する選手はなく、隙あらばゴールを目指すのである。私たちも選手と一緒にゴールを目指そう。私たちは拍手と声援でプレーすることができるから。サッカーは、見ている人も楽しめるスポーツなのである。

以上

2014.04.15 Reported by サカクラゲン