前節の愛媛はアウェイで山形に敗れて通算1勝3分2敗となり、順位を18位に下げた。第4節の東京V戦では2得点を挙げて今季初勝利を得たが、そこから2試合無得点。決してゴールのチャンスがないわけではないが、そのチャンスを生かすことができず勝点を伸ばせていない。勝つためには欠かせないゴール。愛媛にとって現状で、最も改善していかなければならないのがゴールを奪うために必要なプレーになってくる。
当然、前線に入る選手はその意識を強く持っている。原川力は「シュートまではいくことができている。でも入らないと意味が無いし、もっと大胆さも必要になる。前の選手はまずシュートを意識しなければいけないし、きれいに崩すことや形にこだわりすぎないことも必要」とゴールへの意欲を語ってくれたが、まずその姿勢はフィニッシュに関わる全選手が最低限持っておくべきものになる。ただ、「力が入りすぎて視野が狭くなったり、選択肢を無くしている選手もいる」と石丸清隆監督は指摘をするが、ゴール前では冷静であることも大事。愛媛には若い選手も多く、これまでの実績という点ではまだ経験不足でこれからの選手も多い。ルーキーの表原玄太も「決めないと勝てないし、誰が取ると言われたら僕らが取らないと。若い選手ということは関係ないし、点を取らないとやばいという危機感は持っている」とゴールへの貪欲さは持っているが、彼に限らず前の選手にはいざチャンスという時に落ち着けるメンタリティーを持てるかどうかも求められる。ゴールを重ねれば身についていく感覚的なものを、今後ピッチで体現してチームの力に還元できるようになれるか。前線の選手は今、その壁にぶつかっているところだろう。
もちろん、その壁を乗り越えるためにチャンスを増やすことはチーム全体での課題となる。「まだ狭いところを無理やりこじ開けようとしているところもある」と石丸監督は語るが、例えば昨季なら前線の3枚で相手のディフェンスラインをスライドさせて空いた逆サイドを突くシーンもあったが、今季はまだそういうプレーは少ない。そうしたプレーの幅を増やすためには中盤の選手のポジショニングや開いたスペースを察知する力も必要になる。当然、前の3人だけではできない課題をチームとしてもクリアしていけば攻撃に厚みもでるし、その点では今の愛媛はまだまだ改善できる余地を残している。
リーグ戦ではチームが1試合1試合、力を蓄えていくことが必要になるし、それができるかどうかが上にいけるかどうかのポイントにもなる。開幕から6試合を終え、明らかになった課題をクリアして成長する力を見せられるかどうかがこの富山戦では求められる。同じように富山は前線に中島翔哉や苔口拓也、白崎凌兵といった個で打開できる能力を持った選手がいながら、まだまだチームとして彼らのよさを引き出しきれていない。以前愛媛にいた内田健太も、もっと得点に絡める選手だし、チーム内でのズレを埋めている段階だろう。そして富山はまだ今季未勝利と結果が出ていないが、どちらもポテンシャルの高い選手が多く、可能性を持ったチームであることは間違いない。きっかけをつかむ産みの苦しみのような状況でもあるが、愛媛も富山も1試合でも早く殻を打ち破るターニングポイントを迎えることで、これからの上位進出を目指したいところだ。
以上
2014.04.12 Reported by 近藤義博
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