長崎は3連勝を、北九州は2連勝を賭けて激突したバトル・オブ・九州だったが、ダービーマッチの幕開けは立ち上がりから想定外のスタートとなった。長崎の高木琢也監督が試合後の会見で「(北九州は)普段の試合と違って前からボールを取りに来る中で、我々は受身になるシーンが多かった」と言うように、北九州はしっかりブロックを敷いてカウンターで勝負をかけてくるチームだと想定していたが、この日は積極的なアプローチで球際で競り、セカンドボールを収めることでペースを掴んだ。前半のシュート数は長崎の7本に対して北九州は9本と上回った。ただ、星原健太や鈴木修人の惜しいシュートもあったが、フィニッシュの質が問題だった。
攻撃について北九州の柱谷幸一監督は「セカンドボールも周りがしっかり狙えて拾えていたので、非常に守備のほうは安定していた。(中略)ただ攻撃面ではもっとやれる」「クオリティを全体で上げていかないと決定的な場面を多く作り出すのは難しい」とコメントしている。
そんな中で、最初に得点したのは劣勢の長崎だった。44分、長崎が得意とするワイドの選手を使ったフリックボールが佐藤洸一へ。それがダイレクトで東浩史、奥埜博亮へと繋がり、前線の3人の間でコンビネーションが生まれ、奥埜のシュートの零れに佐藤が詰めて先制した。これぞ長崎と言えるような得点シーン。高木監督も「人の動きの出入りの中でコンビネーションが上手くあったシーン」と評価していた。ただしこの試合で、”これぞ長崎”と言えるような攻撃はこれ以外に見ることは出来なかった。
先制ゴールから1分後、まだ先制点の喜びに沸く長崎のスタンドを静まりかえらせたのは九州リーグ時代の長崎と対戦経験のある池元友樹だった。リスタート直後、星原が詰めて古部健太のクリアミスを誘うと、ゴール前に走りこんだ池元にスルーパス。これを池元が落ち着いて決め、あっという間に同点に。長崎は気が緩んでいたと言われてもおかしくないプレーだった。
サイドが変わった後半。体力が落ちてきた北九州は自陣でブロックを形成。長崎はそれを剥がそうと、攻撃を続ける時間が続いた。しかし、引いて守る北九州にスペースはなく、長崎はクロスを入れては、跳ね返されるという形が延々と繰り返された。高木監督は「全体としてアクション不足だったと言えると思います」と試合後に攻撃に工夫が加えられなかった事を悔やんだ。
ボールを圧倒的に保持しながらも、ゴールが割れない。そんな気持ちからだろうか。高木監督は「ゲーム前は寒かったのですが時間の経過とともに、モワーンとした感じになって、ゲームも例えるならば最終的にはそんな感じになった」といった表現でゲームを振り返っている。
北九州はブロックを固め、攻めているのに点が入らないというジレンマによって長崎を「モワーン」とさせることに成功。北九州としては、してやったりの勝点「1」だったに違いない。(ちなみに後半の北九州のシュート数はゼロ)
池元は今回のバトル・オブ・九州を振り返って、「僕がニューウェーブ北九州にいた時(2005、06年)はお互い地域リーグでしたし、僕が岐阜に行った時も地域決勝で一緒に戦った相手でした。こういうJリーグの舞台で試合ができるのはお互いのチームにとって素晴らしいことだと思うし、これからもっと上を目指して大きなチームになっていく中で、同じ九州の中でもっと『ダービー』になっていければいいのかなと思います」と話してくれた。おそらくこれから、幾多の名勝負数え歌がこの2クラブの間で生まれるのだろう。今回は北九州が長崎を「モワーン」とさせて引き分けに終ったが、本城ではまた必ず違ったドラマがあるはずだ。
以上
2014.04.06 Reported by 植木修平
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