ワンサイドゲームではない。両チームとも持ち味を存分に生かした試合だった。それでも、チャンスを確実にモノにした京都が大黒将志のハットトリックで勝利し、3位に浮上した。
キックオフ直後、京都はペナルティエリア内でドリブル突破した駒井善成の切り返しが、チェ・ジョンハンのファウルを誘いPKを獲得する。そのチャンスを大黒将志がしっかり決め先制。早い時間帯にアドバンテージを得たアウェイチームは、「結果的にいい形で我々が臆することなくプレーができ、勝点につなぐことができた」(バドゥ監督)
攻撃に打って出る大分に対し、バヤリッツァと酒井隆介の長身CBがしっかりと中を固め、はね返したこぼれ球を電光石火の如くゴール前に運ぶ。12分に見せた攻撃は、その象徴的なプレーだった。大分のCKに対し、3人を前線に残し、バヤリッツァのクリアが攻撃のスタートとなった。カウンターに備えていた大黒にボールが渡ると、一気に大分ゴールを襲う。最後尾から比嘉祐介が抜群のスピードで攻め上がり、ゴールには至らなかったがラストパスに滑り込んだ。
両SBの積極的な攻撃参加に、何度もディフェンスラインの裏を狙い動き直す大黒。チームの中でのルール、意識づけがしっかりあり、連動してタテにパスが入る。チームコンセプトの狙い、コアの部分が分かりやすいだけに、見ていて爽快なのだ。それでいて「90分間、選手がクールな頭で計算しながら試合を運んでくれた。キープするところとカウンターをする選択が良かった」とバドゥ監督が振り替えったように、工藤浩平、山瀬功治といった実力者が攻撃にメリハリをつけた。60分、81分には連係から大分の守備を崩し、フィニッシャーの大黒が追加点を加える。大黒の自身6度目となるハットトリックで勝利を決定付けた。
ホーム3連勝を狙った大分は、「今季一番の試合の入り方、クオリティの高いボールの動かし方ができた」と田坂和昭監督が話したように、イメージ通りにパスがつながりフィニッシュまでの形を作った。36分、38分に見せた複数のダイレクトパスをつなぐシーンは、繰り返し練習で見た形だった。ただ、ともに最後のシュートの場面でトラップが大きくなり、ゴールネットを揺らすことはなかった。後半に入ってもハイテンポの流れで試合を進め、「1点入れば逆転できる雰囲気はあった」(田坂監督)が、前掛かりになった隙を突かれ追加点を与え、試合は決した。
シュート数13本、CK8本、FK11本のスタッツは全て京都を上回った。「大分の方が我々よりチャンスを多く作り、創造的なサッカーをしていた。大分は13本もフィニッシュの形を作っていたのだから」とバドゥ監督が賞賛したように、内容では大分が優勢だった。
しかしスコアは0−3。ペナルティエリア内に進入する回数は多かったが、「ゴールを奪えなかったのは課題」であった。田坂監督は「ゴールを奪うレシピはない。トレーニングから選手を育てていくしかない」と語り記者会見場を後にしたが、特質な才能が必要なゴールゲッターの不在はJ1昇格を目指すのであれば切実な問題だ。流麗な連係から胸のすくようなゴールが生まれる日はきっと近いはずだ、と信じたい。ただこの課題が繰り返されるようであれば、前線に何らかの改善策が必要だということだ。
京都には大黒がいて、大分には大黒がいなかった。大黒というクオリティが両者の差となった。
以上
2014.04.06 Reported by 柚野真也
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