今季のリーグ初得点こそ記録したものの、前節・広島戦の敗戦でついに開幕5連敗。徳島は未だ1つの勝点も挙げられずにいる。それだけに、シーズンへ入る前には何人もの選手たちから「J1の舞台を楽しんでプレーしたい」という声が聞かれたが、現時点においてはこの苦しい状況を抜け出すことがまず何より先決。チームとして結果を得ることだけを考え、それを手にするために全員が持ち得る全ての力を尽くさなくては。
ただ、今節ホームに迎えるのは川崎F。前節の名古屋戦に続き、4/2(水)に行われたACL・ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ戦でも高いレベルのパフォーマンスを披露した、これまでにも増して難しい相手だ。
その川崎Fについて述べれば、展開する攻撃はまさに圧巻のものと言えよう。中村憲剛と大島僚太のボランチ2人が前を意識した配球で的確なタクトを振るえば、レナト、大久保嘉人、小林悠ら秀でた能力を持つアタッカー陣が鋭く反応。相手守備の嫌がるところへ入り込む動きで連動し、素早く崩しの形を作り出す。また全体で見せるポゼッションも特筆すべきクオリティだ。絶妙な選手間距離とワンランク上のパススピードによって織り成されるそれは間違いなく極上と言うに値するだろう。
いずれにせよ、川崎Fの強さに疑いの余地はない。今季すでに11得点を叩き出している攻撃は前記の通りだし、開幕3戦で白星を取り損なう原因となった守りもその後改善が施されてきた。間違いなく彼らは非常にハイグレードな組織である。
では徳島はそうした川崎Fに対しどう勝機を探っていくかだが、必要となるのは言うまでもなく粘り強い守備対応。やはり、チームの最も大きな基盤であり生命線とも言えるそれを、ひたむきな姿勢でこれまで以上に徹底しながらやり続けるしかないだろう。
しかし幸いにもチームは前々節・柏戦からそこに確かな進歩を見せることが出来ている。実際前節も小林伸二監督が「あれくらい守れれば悪くない」と振り返っていたように、選手たちはしつこい局面対処と中央をしっかり締めるブロック形成によって広島の攻めをある程度うまく外へ追い出せていた。一瞬の集中を欠いてセットプレーで3失点したことには猛省が必要ながら、流れの中での守備は明るい兆しを感じさせており、そうした事実から今節への期待は小さなものなどではない。
そしてキーマンとして挙げておきたいのが福元洋平だ。福元は第2節・C大阪戦の後半から右サイドバックを担当。持ち味の早い出足を活かしたタイトな寄せと、それによって果敢なインターセプトもたびたび成功させ、本来のポジションがセンターバックであることを忘れるほどの躍動をそれ以降も毎試合継続している。さらに福元の参加が最終ラインのバランスを徐々に向上させているとも言えるだろう。自信を持ってハッキリとコーチングを行う彼の本職の位置で培ったプレーが連携守備の高まりに繋がっているのは間違いない。
「セットプレーや締めなければいけない時間帯での失点が続いているので、チームとしてはどんな時も集中しなければいけませんし、僕自身はDFとしてとにかく集中のための声を周囲へかけ続けていきます。ただ、完璧に崩されて点を取られたという形が多いわけではありません。それに試合を重ねる中で個人的にやれていると感じる部分、チームとして戦うことが出来ている時間帯もあります。だからそれらを結果へ繋げられるよう今節はいっそう集中して、まず絶対失点をしないように戦いたいです」と目前の戦いへの決意を語った背番号2。気持ちのこもったプレーで、川崎Fの攻撃をストップする効果的な働きをきっと見せてくれるはずだ。
たった1つの勝点にもなかなか手が届かない厳しい現状にある徳島。だが、折れないメンタルで諦めずに戦い続ければ、その経験は必ず血となり肉となって自らの成長へ結び付く。チームのさらなる頑張りと挑戦、もちろん今節での勝点奪取にも期待し、開始のホイッスルを待ちたい。
以上
2014.04.04 Reported by 松下英樹
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