開幕から好スタートを切った湘南は、岐阜、松本と続いたアウェイ連戦でも勝利を収め、目下無傷の５連勝を挙げている。得点はリーグトップの13を記録し、失点はリーグトップタイの３と少ない。数字だけを追えば圧倒的にも見えるが、しかしチームからは特別な感慨も浮ついたムードも伝わってこない。元気や明るさといった彼ら本来のよさを抜きにすれば、聞こえてくるのはむしろ何がしかの反省や課題だ。

たとえば、４−１で勝利した前節の松本戦で１ゴール１アシストを決めた大槻周平は言う。
「アシストして点も取れましたが、僕のなかでは他に納得のいかない部分もあって」。その心は。「前半の難しい時間帯はチャンスも少なかった。もっと最初から前の３人で崩したり、もっと僕が起点になったり、そうやってチームのために貢献することが大事やと思います」。

試合終了間際にＪ初ゴールを鮮やかに決めた菊地俊介も同様だ。ゴールについては「前の試合で（同期の）三竿（雄斗）も決めていたし、早めに欲しかったのでちょっと安心しています」と頬を緩めたが、ゲーム全体を振り返ると「スコアほど内容に差はなかったと思います。１−１に追いつかれてから相手の勢いで逆転されていてもおかしくないような展開だったし、圧倒して勝っているわけではない。フワフワした感じはまったくないですね」と語る。

フワフワしない理由は大槻のこんな言葉にも表れる。「次に向けて課題を直していかなければ成長が止まってしまうので、しっかり課題と向き合っていきたい。J1の舞台でもう一度戦いたいという気持ちがほんとうに強いので」。注ぐはつねに目の前の一戦一戦、内容こそ振り返って検証しても、見た目の数字には捉われない彼らがいる。

そんな湘南が挑む次、迎える岡山は前々節、アウェイで水戸を下し、連敗を２で止めた。前節は大分にフリーキックを直接決められ先制を許したものの、ゲーム終盤に追いつき、勝点１を引き寄せた。今季のホーム初勝利とはいかなかったが、守備は堅く、また湘南の菊地と同じくルーキーの片山瑛一にＪ初ゴールが飛び出したことも好材料だろう。堅守を背景に得点力も高めていきたい。

同じフォーメーションを採用する両者の特徴にあって、サイドの攻防は今節のひとつのポイントとなるだろう。開幕から右のワイドでスタメンを張る宇佐美宏和は、「自分としてはもっと攻撃に絡みたい。イメージはありますが、ビデオを見返してもまだまだ少ない」と、振り返ればこちらも反省が先に立つ。マッチアップする岡山の田所諒とはＣ大阪の下部組織でともにプレーした仲だが、対戦となれば初めてだという。「キックの精度が高く、体力にも秀でている。走り負けたらいま自分が出ている意味がないですし、先手を取れれば相手の攻撃は少なくなる。課題に取り組みながら自分のいいところも出していきたい」。

宇佐美は続ける。「目標に向かって皆すごく高め合っていると思います」。日々の切磋琢磨がピッチに映る。３試合ぶりとなるホームゲーム、自分たちを存分、表現したい。

以上

2014.04.04 Reported by 隈元大吾