ここまでの5試合でともに1勝にとどまり、前節はスコアレスドローに終わっている山形と愛媛。そのチーム状況よりも先に心配なのは前節、水しぶきの中でボールコントロール、ボディコントロールがままならない条件下での試合となったNDスタの空模様だ。試合当日の予報はまたも雨、低温。この1週間の予報で出されていた雪の心配はどうやらないようだが、先週の試合を受け、今はむしろ雨の量に気を揉むことになる。時間帯で見ると試合時間までに雨が上がる可能性も出てきているが、いずれにしてもグラウンドはやわらかく、すべりやすい状況が予想される。山形、愛媛ともにパスを攻撃の重要な要素と位置づけるだけに、気持ちよくボールが転がってくれない場合にどう対処するのか。状況に応じたデリケートな判断が今節も要求されそうだ。
「いつもの試合よりは疲労があとまで残った」との声もあれば、「気疲れする試合だったが体の疲労はそれほどでもなかった」という声もあり、山形の選手内でリバウンドの度合いはさまざま。1トップで今季初先発を果たした川西翔太は「あのピッチの中で勝ちにいくために何をせないかんかったかというのは監督も言ってたんですけど、それが難しかった」と話す。しかし、サッカーとしての評価するのが難しいコンディションのなか、得点こそなかったものの、セットプレーを増やしながらシュート8本を重ねた戦い方は悪くない。ボール支配率の高さを中盤で支える宮阪政樹は愛媛戦を前に、「去年はポジションは違うが点が取れたし、いいイメージはある。あとは宇佐美さんを負かしてやりたい(笑)」と昨年まで山形に在籍したトレーナー・宇佐美元宏さんを挑発したが、シュート数の多さをどう得点に結びつけていくか、その課題克服へのトライアルは当面続けられることになる。
今季初勝利は第4節・東京V戦。前半に西岡大輝が負傷退場するアクシデントがありながら、後半に高卒ルーキーの表原玄太のゴールで先制。直後に追いつかれたが、アディショナルタイム直前、原川力のフリーキックに途中出場の河原和寿が流し込んで突き放した。チーム事情で第3節から1列下げてボランチでプレーする原川はゲームをつくりながら決定的なパスを再三配給し、両ウィングの表原や堀米勇輝は常にシュートを意識しながらドリブルで守備をはがしていくなど若い選手たちが躍動。センターバックの一角・村上佑介も積極的に攻撃参加してクロスを供給するなど、組織のなかで選手個々の特長が発揮された好ゲームとなった。
決勝ゴールの河原を1トッブに据えて臨んだ前節はその内容を継続することができなかった。石丸清隆監督は「全体的に体が重くて、全てにおいて反応もプレースピードも遅くて、相手がやらせてくれなかったというよりも自分達がやらなかったという印象」と振り返り、センターバックの林堂眞も「長いボールを使うということはノーリスクでいくために必要だが、それとビルドアップすることを使い分ける、それをもっとやらないと」と反省を込めたコメントを残している。ただ、そのなかでも失点を防ぎ、勝点1を積み重ねたことは今節につながる部分。ここまで3引き分けと勝ちきれない試合は多いが、拮抗したなかで勝ちきれるチームに成長できるのか。今節もまたそこへたどり着くための重要な一歩となる。
石丸監督のもとでもプレーし、今シーズン、愛媛から山形に移籍したGK兼田亜季重は「ショートパスをつないで、ボールを大事にして、自分らでアクションしていくという感じ。スタイルは変わっていないと思う」と見ている。ワイドに人を配置するシステム的な強みを生かしゴール前に多くの人を送り込むためにも、愛媛は自陣からつないでビルドアップを図るのが理想で、早めに蹴ってしまった前節の反省もあるが、対する山形も高い位置からプレッシャーをかけるスタイルを得意としている、いわば“けんか四つ”。愛媛が前にボールを運んで敵陣に入れるか、山形がそれを許さないプレッシングで奪ってショートカウンターに持ち込むのか、その攻防が大きな見どころになる。
逆に山形がボールを保持する場面では、山形がサイドバックをどれだけ起点にできるか。愛媛は運動量を生かして3トップでパスコースを制限し、ハマったと判断すればウィングバックもアプローチに加勢してくる。山形はそれをうまくいなすことができれば、引かれて5バックのブロックを崩すよりもシュートシーンまで持ち込むことは容易だ。愛媛は素早くボールが回る山形のパスワークを自陣で許さないためにもバイタルエリアはしっかりと閉じておきたいが、前線と連動してコンパクトにならなければ中盤で起点をつくられ、ブロックの統制を解かれる自体になり兼ねない。
両チームともにチームのバランス感覚と一体感が求められる一戦。目の前の条件を見極め、味方につける賢明さを発揮したチームが今季2勝目を挙げ、「雨のち晴れ」への扉を開く。
以上
2014.04.04 Reported by 佐藤円
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