第４節で讃岐とアウェイで対戦した松本。予算の関係もあり全試合に出向くことは難しい筆者にとって、アウェイ取材はたまのぜいたく。まだ足を延ばしたことのない地域を中心に予定を合わせている。讃岐はＪＦＬ最後のシーズンとなった２０１１年に出向いていたが、この時期（３月１日〜４月10日）は『青春18きっぷ』の季節。既に何度も書いてきたので詳細は省くが、わかりやすく書くと「ＪＲの電車に乗り放題のチケット」。もちろん新幹線や特急は乗車できないなどの諸条件はあるが、うまく乗り継ぎさえすれば快速・鈍行でも１日で長野県から九州まで行くことが可能だ。今回はこの『青春18きっぷ』を使って、信州から香川県までの名物讃岐うどんの食べ歩きが主となる遠距離取材を敢行。以下がその記録だ。

信州から香川県高松までの乗車時間はおよそ10時間ほど。３月21日早朝に信州を出発。岡山まで本州横断した後、マリンライナーで瀬戸内海を渡り高松へ。乗車時間はそれほど長くなかったものの、ちょうど３連休の初日ということもあって道中は想像以上の混雑ぶり。硬い補助シートに座ってお尻に痛みを覚えながらもＪＲ高松駅に到着。駅前のカプセルホテルに潜り込み、文明の利器・インターネットで翌日の予定を立てる。香川県はさすがに自ら「うどん県」を名乗るだけあり、県公式観光サイトにはうどんコーナーがある。そのほかグルメサイトなども併せて閲覧した結果、日曜日定休のうどん店が意外と多いことが判明。実は日曜日午前に時間をとって２件ほど有名店を巡ろうと時間を空けておいたのだが、お目当ての某店は休み。あてが外れたが、なに香川県にうどん店は星の数ほどある。すぐに気を取り直して計画を練り直す。
22日。丸亀競技場に入る前にさっそくうどんを１杯いただこうと、高松駅から徒歩１分の「めりけんや」へ。筆者が好きな食べ方はしょうゆ。冷たいうどんの上に大根おろしと絞ったレモン、薬味にねぎとしょうがとちょっとだけ揚げ玉を乗せて、しょうゆをかけていただく。冷たいうどんとしょうゆのシンプルさだけに麺の味と香り、食感がよくわかる。冷水できゅっと絞められたうどんは、もちもちとした歯ごたえがたまらない。やはり茹でたてはおいしい。ロケーション抜群なことから、高松滞在中に当店で計３杯のうどんをいただいた。

満足して迎えた試合は、岩上祐三選手の電光石火のゴールもあり５−０で勝利。サッカーの話は、以上。

明けて23日。レンタカーを借りることも考えたが、脳内で費用対効果を分析した結果、鉄道を利用してのうどん店巡り。１軒目は琴平鉄道林道駅から徒歩30秒の「やまと製麺所」。オムたまうどんや氷山うどん（夏季限定）など趣向をこらしたメニューで、テレビ番組などにも登場する評判店。カウンターが10席ほどの店内に多くのサインが展示されていた。ここはあえてシンプルにかけうどんとＵＦＯえび天をチョイス。ＵＦＯえび天とは衣を円形に整えて揚げたえび天で、いりこベースのつゆに浮かべていただいた。うどんももちろんもっちりとしていておいしかったが、このえび天がまた美味。さっくりとして、油っぽさを感じない。改めて感じたことは、讃岐のうどん店は質量ともにサイドメニューが充実している。

次いで向かったのは、ＪＲ高徳線栗林公園北口駅から徒歩10分ほどの「竹清　本店」。予想はしていたものの大行列。普段なら並んでまで食べるのも…と及び腰になるところだが、ここはあえて参加することに意義があると１時間弱ほど待ち、ようやく店内へ。こちらの名物もやはり天ぷらで、うどんに加えてちくわ天と半熟卵天を別途注文。注文を受けてからカラリと揚げる半熟卵天はあつあつさっくりで、半分に割ると黄身はトロトロ。この熱い天ぷらが冷たいうどんとベストマッチ。

もう１軒立ち寄ろうかと考えたが、朝から５玉すすっており、さすがに満足したので帰路に着くことにした。ふと「竹清　本店」近くの有料駐車場に目を移すと、香川県外のナンバーをつけた車が大挙して駐車されていた。おそらくほとんどが竹清のうどん目当てだったに違いない。このことからも、香川県にとって讃岐うどんが重要な観光資源となっていることがわかる。この度、カマタマーレ讃岐もその１つに加わったと見ていいだろう。「うどんとサッカーのために、香川県へ」――そんな思いを持って香川県へ来訪する人たちがもっと増える日を待ちたい（と、最後はきれいにまとめてみた）。

以上

2014.04.03 Reported by 多岐太宿