さいたまダービーで嫌な流れを断ち切る。浦和は3月29日に行われた神戸戦に1ー3で敗れ、公式戦3試合勝ち星から見放されている。ここでローカルライバルを叩くことで心機一転を図り、週末のリーグ戦に向けて弾みをつけていきたい。ヤマザキナビスコカップの初戦を落としていることを考えても、この一戦は負けられない。
神戸戦を腰痛で欠場して状態が心配された柏木陽介だが、この一戦には出られそうだ。「症状がひどくて休んだというより、1年通して戦うことを考えた」と大事を取っての休養だったという。主力選手が連戦で疲労のたまるなか、充電を終えた柏木にかかる期待は大きい。「痛みは取れたし、あとは良いプレーをしていくだけだと思う」と本人もスタンバイOKだと気合が入っている。
一方、この試合では、初戦の柏戦で退場処分を受けた槙野智章が出場停止となる。チームのストロングポイントである左サイドの一角を担う槙野の欠場は痛いが、控え組にとってはチャンスだ。
代役候補の1人である濱田水輝は「次はダービーということだけでかなりモチベーションが上がるし、僕はリーグに出られていないのでナビスコはチャンスだと思っている」と闘志を燃やしている。
また、DFラインでは、コンディション不良を訴えて31日の練習を欠席した那須大亮も大事を取って温存される可能性がある。その場合、永田充が出場することが濃厚だが、「最近ちょっと良いイメージで入れているので力になれると思う。こういうチャンスで自分をアピールしていきたい」とこちらも気合十分だ。
対する大宮は開幕から2連敗とスタートで躓いたものの、そこから2勝1分けと調子を上げてきている。大熊清監督が指揮を執るようになって間もないため、まだ試行錯誤が続いていると思われるが、総得点はリーグ2位タイの11ゴール。ただ、総失点も9と多く、出入りの激しい試合をしている。
結果が出ている攻撃面でチームの軸になっているのは、新加入の家長昭博だ。2005 FIFAワールドユース選手権で師弟関係にあった監督の強い要望で加入したという家長は“自分の世界”を持っている異質な存在だ。フィジカルの強さを生かした圧倒的なキープ力でタメを作れるので、それだけで攻撃のテンポを変えられる。さらにセンスも抜群なので、彼にボールが渡ると、それまでとまったく異なる展開が生まれることもしばしば。「家長の周りだけ違う時間が流れている」。そう感じさせることも珍しくない。
実際、大宮のチャンスの多くに家長は絡んでおり、浦和からすれば絶対に気分良くプレーさせてはいけない選手だ。恵まれた天賦の才の二面性と言うべきか、昔から好不調の波は大きく、守備で味方に負担をかけることもあるが、その分、攻撃でノリに乗った時は誰も止められない。濱田も「前線は特に家長選手がキーになっている感じがする。ドリブルもできるしパスもできる選手だし、タメを作らせたくない」と強く警戒する。
ヤマザキナビスコカップで両者が顔を合わせるのは3年ぶりだ。昨年のリーグ戦では1勝1分けの痛み分け。今季のさいたまダービーで最初に笑うのはどっちだ?
以上
2014.04.01 Reported by 神谷正明
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