ここまではまだ結果は出ていないが、上位に迫る力は十分に持っている15位の清水と16位のF東京。浮上のきっかけをつかむという意味でも、何としても内容と結果を伴わせたい3月最後の戦いだ。
リーグ戦ではこれがホーム2試合目となる清水。ホーム初戦(第2節)は横浜FMに完敗したが、その後は徐々にチーム状態を上げてきている。とくに大きな収穫は、ヤマザキナビスコカップの仙台戦と前節・浦和戦でボランチを竹内涼と六平光成という攻撃的なコンビに変えて、良い感触を得ている点だ。とくにプロ2年目の六平は、今季は練習試合でセンターバックとしてプレーするなどして課題の守備面で大きな成長を見せ、アフシン ゴトビ監督の信頼を獲得。守備が良くなったからこそ、持ち前の攻撃センスをより生かせるようになり、ここ2試合で攻守に大活躍。浦和戦では1アシストと自らのビッグチャンスも生み出すなど、今の清水でもっとも勢いのある選手だ。
今週A契約を手にした六平本人も、「ボランチは楽しいし、良い感じでやれているので、もっと自分たちでボールを支配するとか、細かいところもうまくやって、もっと結果を求めていきたいです」と、今の状況に奢ることなく貪欲な姿勢を見せる。また、コンビを組む竹内も「(六平とは)同い年だし、お互いに良い刺激を与えあえています」と語る。今回もこのコンビで戦うとは限らないが、彼らが組めばこれまでよりも攻撃が多彩になることは、過去2試合が如実に物語っている。
また、3年間の武者修行(3チームへの期限付き移籍)で大きく成長した姿を見せている長身FW長沢駿も、公式戦2試合連続ゴール中と勢いのある選手。仙台戦でノヴァコヴィッチのゴールをアシストした場面も「自己中心的にならずにパスを出した。そういう部分が今後チームが良くなっていくためには必要」とゴトビ監督も高く評価している。
チームの守備に関しても、ここ2試合で1失点。「この2戦は、昨年、一昨年と一緒にやってきたメンバーでコミュニケーションも問題なくやれているし、カバーリングがスムーズにできていると思います」(平岡康裕)と安定感が出始めてきた。あとは、前からの守備がより機能して高い位置でボールを奪える場面が増えてくれば、良い攻撃にもつながる。さらに、ボールポゼッションも高くなり、攻撃も多彩さを増してくれば、当然セットプレーの回数も増えて、高さや大前元紀のプレースキックといった今年のストロングポイントも生かせる。そうした好循環が重なることが、目指すサッカーにより近づいていくためには必要であり、清水が上昇気流に乗っていくためにもっとも重要なところと言える。
対するF東京は、Jリーグ初のイタリア人指揮官、マッシモ フィッカデンティ監督が今季から就任。現時点ではチームを再構築している途上にあり、ここまでリーグ戦未勝利(2分2敗)で、得点3/失点8と不本意な成績となっている。とくに前節の多摩川クラシコではホームで川崎Fに0−4で敗れ、「自分たちのミスが大きく結果に影響いてしまった」とフィッカデンティ監督も悔しさを滲ませた。その悪いイメージを払拭する意味でも、この試合ではミスからの失点をなくし、自分たちのペースを失うことなく結果につなげたいところだろう。
そう考えると、清水の前線からのプレスにいかに対応するかという部分が、F東京の戦い方で大きな見どころとなる。危険な位置でミスを犯してボールを奪われ、カウンターから失点するようなことがあれば、川崎F戦の二の舞になってしまう可能性もあるが、自分たちのペースを作るためには、しっかりパスをつないでいきたいという面もある。そうした思惑とセーフティーさのバランスをどうとるかという部分にはぜひ注目したい。
またF東京の攻撃は、クロスの数がJ1でもっとも多く、特に元清水の左サイドバック・太田宏介が、ここまでもっとも多くクロスを上げた選手となっている。クロスの精度も非常に高い選手なので、対面する清水の右サイドバック・吉田豊も「前の選手と連動して、宏介くんにクロスを簡単に上げさせないようなポジショニングや(相手のプレーに対する)予測をしなければいけない」と語る。このサイド対決で、どちらが主導権を握るかという部分も、楽しみな要素のひとつだ。
清水としては、ホームで4勝3分6敗と負け越している相手だが、今度はリーグ戦でのホーム初勝利を何としても実現しなければならない戦い。その準備は十分にできているし、今度は無観客試合だった浦和戦と違って多くのサポーターが後押ししてくれるはずだ。あとは、今の自分たちの力と自信を、アイスタのピッチで存分に発揮するだけだ。
以上
2014.03.28 Reported by 前島芳雄
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