開幕から、はや3試合を消化した2014シーズン。まだまだ順位を気にする時期ではないが、愛媛は2分1敗の18位で、スタートに出遅れてしまった。開幕前から調整は順調に進んでいるかに思われたが、その思い通りにいくほど簡単ではない公式戦。攻守において課題を整理し、1つずつ消化することでまずは1勝を目指すことになる。
その中で、攻撃面ではメンバーを入れ替えながら試行錯誤を続けている状況だ。前節の福岡戦では、ルーキーの表原玄太が初先発。「プロは体が強いイメージがあったけど、フィジカル面も問題ないし、技術も負ける気がしない」と自信を持ってプレーすると、同点ゴールに絡むなど前を向き、アグレッシブなプレーで期待に応えた。同じシャドーの堀米勇輝は「ゲン(表原)は仕掛けられるし、ボランチの(原川)リキが後ろでしっかりつないで前にいいボールをつけてくれる」と振り返ったが、第1節、第2節とは違ったスピード感のある攻撃も披露してみせた。
また、今季初先発となった2年目の渡辺亮太にもゴールのチャンスはあったが、その最前線でもう少し起点を作るプレーもできれば攻撃に厚みが増すだろう。これまで前線の3枚には、運動量が持ち味の河原和寿や新加入で得点感覚に優れた西田剛の他、スピードのある近藤貫太も前節Jデビューを果たしているが、多彩なタレントが揃っていることは既に証明された。新戦力が多いだけにちょっとした意思疎通のズレがフィニッシュへ向かう迫力をそいでしまうこともあるが、そこは時間を重ねていけばより面白い攻撃が増えていく可能性は示している。
一方で今季の愛媛は守備陣もガラッと一新しており、前節ならGK児玉剛をはじめ最終ラインの村上佑介と林堂眞、西岡大輝は全員が新戦力。前節は林堂が自陣でボールを奪われて失点までつながってしまったが、周囲のサポートがあれば防げたはず。カウンターから失点をしてしまった前回のホーム水戸戦では攻撃時のリスクマネジメントを欠いているが、2試合続いている失点を封じることも初勝利を手にするために意識すべきこと。組織で守る守備に大きな穴があるわけではないが、今後はミスや隙をもっと少なくしていく必要がある。
特に、今節ホームのニンジニアスタジアムに迎える東京Vはアグレッシブにしかけてくるチーム。ベテラン平本一樹だけでなく、勢いのある若手が多いのも特徴だ。前線の前田直輝やセンターバックの吉野恭平、サイドの安在和樹がU-21日本代表候補に選ばれるなど、20歳前後の将来性豊かな逸材がチームの中心になろうとしている。それだけに愛媛としては勢いをつけさせないことが肝心だ。甲府時代に平本とチームメイトだった林堂は「平本さんは強引に突破をしてくることもあるけど、まずはスペースを与えないことが大事。他の選手が仕掛けようとしても、同じようにスペースがなければ何もできないはず」と組織で守ることを強調するが、やはり愛媛はしっかりと守備のブロックを作り、奪えばパスをつないで自ら主導権を握るサッカーをしてきたい。
加えて、愛媛が狙いたいのはセットプレーからの得点。今季、村上や西岡を加えた最終ラインには高さもあり、東京Vの吉野と同じくU-21日本代表候補に選ばれた原川力ら正確なキックを蹴ることができる選手も多い。今季の東京Vがセットプレーやリスタートから失点を重ねているだけに、そこで得点を奪うことができれば逆に愛媛は1つ強みを増やすことにもつながっていく。もちろん東京Vとしては今節、そのセットプレーの守備を修正することが1つのポイントになる。愛媛同様、東京Vもここまで1分2敗とまだ勝利がないだけに、1つずつ課題をつぶしながら勝点3へたどり着きたい。
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