長崎と千葉のサッカースタイルは対照的だ。だが現在、チームが置かれている状況は酷似している。3節を終えて両チームとも1勝1敗1分の勝点4。順位は共に13位で、得失点差も−1で同じ。2得点をあげ3失点している。順位について話すことはまだ早く、互いに敗戦の中から課題を見つけ、真摯に取り組むことで長いリーグ戦を乗り切るため準備をしている最中だ。
開幕からこれまでの両チームの戦い振り返ってみよう。長崎は第3節、約14,000人が埋め尽くしたアルウィンで松本のホーム開幕戦に臨み、長崎が持つ本来の姿といえる激しいプレッシングサッカーを臆することなく披露し、高くて、早くて、強い松本の攻撃陣を機能させなかった。やはり戦列に復帰した(湘南戦は契約上、出場できず)山口貴弘の力は大きく、久しぶりに先発出場を奪い取った下田光平と共にことごとく松本のロングボールを跳ね返して、サビアや船山貴之を自由にプレーさせることはなかった。アウェイの地で無失点。これらは全て第2節の湘南戦で浮き彫りになった課題”球際での勝負に負けないこと”をしっかりと修正できたからこそついてきた結果だろう。この時期に松本相手にそれができたことはチームとして大きい。湘南戦後の会見で高木琢也監督が「負けて得るものがあると考えなければ」と話していたが、まさに敗戦を糧としたと言える。おそらく長崎の選手たちがこの試合で手にしたものは勝点1以上に去年と同じようなサッカーができたという「自信」だったに違いない。
一方の千葉も、開幕戦は特有のプレッシャーからか本来の動きを発揮することができず(栃木に0−2)で敗れたが、第2節の岡山戦では一転、チーム全体が躍動感のあるプレーを見せ、山中亮輔が豪快なミドルを決めて岡山を一蹴(1−0)している。第3節の東京V戦でも得意のパスサッカーを見せた。先制されるも、アディショナルタイムに渾身の同点弾を捻じ込み、引き分けとはいえ、おそらくクラブが最も欲している「勝負強さ」が見れた試合となった。
前節、共に勝点『1』以上の成果を得ることとなった両チームにとって最も大切なことは、次の試合もしっかりと同じような試合ができるかどうか。リーグ序盤で掴んだきっかけは必ずや大きな力となるはず。J1昇格を目指すのであれば、早いうちに「自信」や「勝負強さ」を本物にしなければならない。
ただ、この2チームの対戦データを振り返れば、長崎にとって千葉は「お得意さん」。昨季、長崎はホームとアウェイの2試合とも豊富な運動量で凌駕し、快勝(2−1、2−0)。幸野志有人や金久保彩のゴラッソも飛び出すなど、長崎サポーターならば鮮やかな記憶が残っていることだろう。ただ、今季の千葉は守備が厚く、町田也真人や田中佑昌がプレスや上下動を絶やさないで、走る。クロスからの攻撃に加え、攻守の切り替えの早さも加わった。絶対的なエースでありながらも、ハードワークをしないケンペスがスタメンでないことが何よりの証拠ではないだろうか。
長崎の選手たちに千葉について聞いてみると、山口は「個が強いので長崎はチャレンジャーの気持ちでいかないとやられる」と警戒し、東浩史は「千葉の固い守備をどう崩すかっが楽しみだ」と話し、新加入の黒木聖仁は「攻守に組織的なチームだと思う。自分はボールを落ち着かせてから、展開したい」と意気込みを語っている。
繰り返しになるが、この試合は両チームにとって大事な試合となる。長崎が昨年のように運動量で凌駕するか、あるいは山中亮輔や大岩一貴など若い選手の躍動で変わりつつある千葉が個の力の差と組織的なパスサッカーで格の違いを見せ付けられるかが大きな見所になるだろう。
以上
2014.03.21 Reported by 植木修平
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