第３節を終了し、３連勝しているチームは１チーム（湘南）だけ。今年のＪ２も混戦が予想される中、前節に今季初勝利を挙げた横浜FCと山形が激突する。初勝利まで３試合を要したかもしれないが、両チームともにこの３試合でそれぞれのスタイルを出せており、その積み重ねで今季初の連勝を果たすことができれば、混戦を抜け出す大きなステップとなる。その意味で、この試合が持つ意味は非常に大きい。

横浜FCは、開幕の愛媛戦、第２節の栃木戦は引き分けに終わった。この２試合では、安定した守備を見せるものの、一方で相手のゴールを脅かすという意味では、少し迫力を欠いたこともあり、同じ引き分けでも「勝ち無し」と受け取れるような不完全燃焼が色合いが強いものだった。だからこそ、前節の富山戦の勝利はその雰囲気を「負け無し」というポジティブなものに変えることができる大きな勝利だった。雨の中決して良いコンディションではなかったが、集中を切らさず攻め続けた。ゴールは、野上結貴、ドウグラスのCBバックコンビがセットプレーの流れから挙げたものであるが、コーナーキック11本という数字は、ゴール付近まで優位に運んだシーンが多く、チームの攻撃の形がある程度できていることを示している。また、セットプレーでの松下年宏のキックも冴えており、今年の横浜FCの大きな武器となっている。

横浜FCにとってこの山形戦で求められることは、この３試合で見せた守備の安定と、攻め続ける姿勢を継続すること、そして、攻撃陣がゴールを挙げることだ。4-2-3-1の形になることが多い今年の布陣の中で、１トップを生かしたゴールという結果を出していくことが必要。前節も積極的なシュートが多くそれがコーナーキックに繋がっていたが、この試合ではネットを揺らすシーンに繋げていきたい。前線によるゴールシーンが積み重なることで、チームとしての攻撃パターンが蓄積されていく。シーズン序盤だからこそ、このようなシーンが求められる。また、ここ２試合は、先手を取られて追いつく、逆転するという展開になっているが、この試合では立ち上がりからいかに積極的に行けるか。ホームであるニッパツ三ツ沢球技場の後押しを生かしたい。

そのニッパ球に乗り込む山形は、１勝１分１敗と、勝点という意味では横浜FCよりも１少ない状況だが、これまでの３試合の合計シュートが47本、コーナーキック25本と相手を圧倒しており、その攻撃力は脅威だ。山形も4-2-3-1のフォーメーションを取るが、トップの萬代宏樹、２列目のディエゴを中心とした攻撃のコンビネーションはすでにスムーズであり、それに動き出しの良いサイドの選手が加わった攻撃の小気味良さは、石崎信弘監督就任１年目ながら完成度が高い。前節の岐阜戦は悪コンディションの中で、ロングボールが多くなったとは言え、それでも要所要所で絶妙な距離感を生かしながらのパスワークが光った。前線のシュートの意識は非常に高い。横浜FCの守備も非常に安定しているが、この山形の攻撃陣を抑えることができるのか、大きな試金石になるだろう。

横浜FC、山形ともに大きなテーマとなるのは、攻守の切り替えの早さだろう。奪ってからトップとサイドを使いながら、相手の隙を突いていく攻撃は両チームともに似たような展開になることが予想される。より効果的な展開のためのサポートの動き、裏に抜けていく動き、その質をより高めた方が勝利に近づく。試合日の天気予報によると良いコンディションが期待できるだけに、素早い切り替えからのスリリングな攻防が期待できる。

横浜FCは約１年前の2013年3月31日（第６節）、NDスタジアムで行われたアウェイの対戦で雪の中1-5という大敗を喫した。この敗戦が昨季の大きな出遅れの原因となってしまった。だからこそ、今季も序盤で当たるこの対戦ではリベンジを果たしたいところ。山形は、ニッパ球では６勝５敗４分とアウェイながら勝ち越しており、この相性を生かしたいところだ。重要な開幕ダッシュに向けた一戦。両チームの良さが出る試合になることは間違いない。是非スタジアムに足を運び、その戦いを目撃していただきたい。

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2014.03.21 Reported by 松尾真一郎