3月22日（土）J2 第4節 栃木 vs 群馬（14:00KICK OFF/栃木グ）
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まずは、群馬に感謝しなければいけない。互いに好位置につけた状態で、今節の“北関東ダービー”を迎えられるのだから。近年は聖杯こそ水戸にレンタルしているものの、総合順位では栃木が北関東でトップに立ち、リーディングクラブとして他の２チームをけん引している。つまり、今回のような上位対決（８位・栃木、７位・群馬）は珍しいのだ。それゆえ、普段以上に白熱することは言うまでもない。開幕から無傷の栃木が無敗街道を突き進むのか、それとも群馬が連勝を３に伸ばすのか。ダービー史に刻まれる、最高のバトルが目に出来そうだ。

千葉戦を皮切りに横浜ＦＣ、京都と、Ｊ１経験クラブとの３連戦を１勝２分で終えた栃木。勝点５を得られたこと自体は悪くないが、前節の京都戦は「勝点１を取れたのは良かったけど、内容は一番良くなかった」（山形辰徳）。その要因を、「相手の攻撃を受けていた」と瀬沼優司は振り返る。そのため、千葉や横浜ＦＣを相手に見せたアグレッシブさや、闘う姿勢が希薄になったのだ。ライバルの群馬を打破する上で、気持ちの部分で劣っていては話しにならない。「彼等の方が順位は上だし、連勝している。こちらが向かっていかないと、いい結果は得られない」と、阪倉裕二監督もチャレンジャーとしての姿勢を崩さない。死闘までに、しっかり気持ちを整えておきたい。

栃木は３バックのチームと今季初対戦となることから、その対策を水曜日の練習で実施。入念に崩し方を確認したことで、既に頭の中にイメージは出来上がっている。廣瀬浩二は言う。
「群馬は前から来るのでトップに当てて落として、３人目の動きが大事になる。サッカーは、ワンタッチのパスからチャンスになることが多い。しっかり（受け手と出し手の）タイミングを合わせていきたい」
激しさが売りの群馬の逆手を取り、ボールに食い付いて来たところで生じるギャップを突き、サイドに展開してから侵略を図る。体が覚えるまで、そのパターンを何度も繰り返した。１ボランチの群馬にはダブルボランチのチームよりもクサビが打ち込みやすく、必然的にバイタルエリアの使用範囲も広くなる。トップ下の大久保哲哉はもちろん、１トップの瀬沼にもポストプレーの精度が求められ、上手くボールが収まればイニシアチブを握れる。比較的自由が確保できるサイドバックから果敢にクサビを入れて圧力を加え、消極的だった前節の反省を活かしたいところだ。

岡山に前節２−１で快勝した群馬も、栃木同様にサイドが生命線。その証拠に、奪った２ゴールはいずれもサイドから生産された。変則的な３-５-２の優位性を発揮するには、夛田凌輔と瀬川和樹の両ウイングバックがキーマンになる。最終ラインに吸収されずに、いかに栃木のサイドハーフとサイドバックの間で仕事ができるか。そこが勝敗の分かれ目になるはずだ。上手くボールを呼び込み、いい状態で決定力のある平繁龍一にクロスを供給したい。

「試合に大きい、小さいはないけど」と前置きしてから、瀬沼はダービーの位置付けに関してこう続けた。
「ダービーは特別なモノ。サポーターも気持ちが入るし、（ダービーの）雰囲気を作ってくれる。選手同士はもちろん、クラブとクラブの戦いでもある。負けられないし、気持ちを強く持って臨みたい」
ダービーに負けて過ごす１週間ほど憂鬱なモノは、この世にない。裏を返せば、ダービーに勝利して迎える１週間ほど、色鮮やかで晴々しいモノはない。開幕からのいい流れを群馬に止められるわけにはいかない。

阪倉トチギは黄色の魂を、この一戦に注ぎ込む。そして、高らかに勝ちどきを上げる。

以上

2014.03.21 Reported by 大塚秀毅