ほとんど手も足も出なかった。
極端な表現と思われるかもしれないが、しかし実際そうであったとしか言い様がない。メンバー的なことが要因としてありはしたものの、それでもこの一戦、両者の間に存在した「差」はとてつもなく大きなもの。徳島は、初挑戦となったヤマザキナビスコカップの初戦、新潟にやりたいようにやられてしまったと認めざるを得ないだろう。
足の状態が万全でないと思われる川又堅碁ら数人の変更でこの一戦へ臨んだ新潟に対し、徳島は小林伸二監督が非常に大胆な選手起用。加入した昨季全く出場のなかったGK川浪吾郎やDF木下淑晶も使うなど、4日前に行われたJ1第3節(横浜FM戦)から先発11人全員の総入れ替えを行ってきた。すると立ち上がりは、「チャレンジすること」という指揮官の意図通りその選手たちがフレッシュなパワーを感じさせる。小気味よく中央でショートパスを繋いだところから両サイドへ幅を作る展開を何度か見せ、悪くない試合の入りをしていたと言えよう。
しかし、そうした流れも開始10分頃まで。落ち着いてプレーする新潟にその時間あたりからポゼッションを高められると、徳島は急速に危険なシーンを作られ始める。そして田中亜土夢と鈴木武蔵のホットラインに中央を破られ16分に先制を許した徳島は、続く24分にも失点。木下が見せたやや不用意なクリアのこぼれ球を拾われる形から突き放されてしまった。
さらに徳島の選手たちはここから本当の大きな差を見せつけられていく。それは例えば、個の部分で言うと技術の確かさや球際の強さ、判断・予測のスピードで、組織としてはサポートやカバーの早さとその距離感、トライアングル形成の徹底度といったところ。いずれにしても徳島はあらゆる面でハッキリと新潟に上回られ、それによって彼らにピッチ上を支配されていったのである。
そのような状況は折り返した後半も変わらない。いや、「後半になって運動量が落ちてしまうとボールを回せずにすぐ蹴ってしまっていた」と小島秀仁も語っていたように、後半45分間の徳島はいっそう厳しい戦いになっていたというのが正解だろう。事実、ボールを奪っても保持できるのは最終ライン付近だけ。そこから前へボールを運ぼうとしても強さの落ちない新潟のプレスに遭い、攻撃は前半以上に可能性ある場面へ辿り着けなかった。また守備も体力の消耗から時間を追うごと脆い状態に。実際、後半はアタッキングサードで嫌というほどパスを繋がれて振り回されたし、73分の3失点目のシーンではペナルティーエリア内でボールを拾った新潟の選手を複数人で囲みながら潰し切れなかったことがダメ押し点へ繋がってしまった。
確かに、PKながら今シーズンの初得点を記録したことは徳島にとって収穫だ。加えて小林監督も試合後会見で口にしていたが、青山隼や小島が個人的に時折光るものを見せていたのも今後へのプラス材料となろう。だが、このゲームで改めて痛感させられたJ1の高い壁を超えるには、やはりチームとして早急に成長を重ねていかなければならない。もちろんそれは一朝一夕にできるものでないが、だからと言って今季J1残留をもぎ取るためにはゆっくりしていられないだろう。
また4日後にはすぐリーグが組まれている。とにかく選手たちは1日1日のトレーニングを大事にし、これまで以上の集中をもってそれへ臨み、力の上積みを他のどのチームよりも貪欲に追求していかなくては。
さて対し、勝利した新潟についてだが、「みんなが同じ意識を持ってやっていたと思います」と田中が振り返っていた通り、組織はメンバーの入れ替わりを感じさせないスムーズな連携を出せていたと言っていいはずだ。しかも「ポゼッションしながら裏も狙ったりとバリエーションも出せた(田中)」ことで内容的にも高い質を披露できていた。とは言え、柳下正明監督は「また1カ月後にやるチームとの試合で、終わり方が非常に悪い。もっと徹底的に叩きのめして、リーグ戦で対戦する時に「かなわない」と思うくらいやっておかなければいけない。そのあたり、まだまだ甘さがある」と手厳しいコメント。チームにさらなる成長を求めていたが、その柳下監督の要求を満たすところまで力を高めることができれば、新潟は今シーズンきっと目指すものを手に入れられるに違いない。
以上
2014.03.20 Reported by 松下英樹
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